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チガサキ⊿ライフ019 : 口達者

1. 病院

 コロナ禍前の話し、息子が39度の熱を出し、救急病院でもある近所の総合病院に、家族で出かけた。リラックスした状況では無いのだが、待合室で交わす妻と娘の会話に思わず笑ってしまった。
「お母さんは薬飲んで熱は下がったみたいだけど、まだ体がだるいんだあ。どうしてかなあ?」
「お父さんがいるからじゃない。」
5歳児とは思えない、なかなかシニカルな返答である。悪巧みと得意げな表情を併せ持つ笑顔を浮かべ、さっらと発言するのだが、そんな会話の例を以下に示す。

2. 好き嫌い

 嫌いな食べ物を残そうとする娘に、父親が好き嫌いなく残さず食べるように言い聞かせる。この平凡な風景も、この娘にかかると一苦労である。
「好き嫌い無く、残さず全部食べなさい。バランス良く食べないと体に悪いで。」
「でも、お父さんも納豆食べないじゃん。」
「大阪出身の人は納豆を食べへんのや。地域によって食べ物は違うねん。中国の人は、犬食べんねんぞ。」
「でも、お父さん日本人じゃん。関係無いじゃん。」
「関係あるわ。ぐちゃぐちゃ言わんと、残さず食べなさい。ちぇんとしないと、お父さん怒るで…。」

3. 交渉

 議論するのは嫌いでなく、仕事上の交渉も苦手でない私だが、娘はすでに手強い交渉相手である。論理的な交渉術の肝をすでに掴んでおり、感情的な反論しか出来ない妻はすでに手に負えず、5歳の娘に言い負かされている。と言うより、優秀な弁護士を得たかのように、私に対して娘を通して要求を訴える時すらある。一度この女弁護士の背後で、「もう少し娘が大きくなったら、口を訊いて貰えなくなるよ。」と言って妻はニヤニヤしていた。最近息子の話しのレベルアップも著しく、姉に「駄目だよ。」と駄目だしする機会が増えてきた。この駆け出しの男検察官の台頭で、我家の交渉勢力図はどうなっていくだろうか、興味深い今後の成り行きである。

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