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これから飲食店の情報発信はどう考えていくべきか?

SNSなどでの告知を見るに、5月18日あたりから徐々に営業再開し始めた店が増えた印象があるが、明日もしくは6月1日をもって、大半の飲食店において、店内での飲食を伴う営業再開が予定されているようだ。いよいよwithコロナでの飲食店営業が始まる。飲食を愛する一お客さんの立場としては非常に嬉しいが、店側としては第二波の懸念もある中で、難しい判断を常に下しながら慎重に進めなければならないだろうと想像している。

あくまで「広報」という立場から「情報発信」をテーマに、こうしていくのがいいのではないか?という極めて個人的な考えをここにメモしておこうと思う。実際、私には経営側からの視点は分からない。ただ、経営者とは違う広報担当者の目線というのも、きっとあるものだと信じて。

店としてのスタンスを明らかにする

グラフを見ると感染の収束が伺えるのだが、ゼロになったわけではなく、またワクチン開発もしばらく時間がかかる状況からすると、感染対策は必須だ。知人・友人などの話を聞くと「対策している店なら積極的に外食したい」という人もいれば、「まだ外食そのものを控えたい」という人もいて、地域差も個人差もあることがわかった。店によっても対策度合いは様々だと思うが、どういった策を講じるかについて、スタンスを明確にして情報開示することが大切だと思っている。

昔からの常連さんはわざわざ伝えなくてもお店のスタンスを理解してくれるかもしれないが、それを伝えることによって、新たなお客さんとの新たな信頼関係が築けることもあるからだ。そのため、メッセージの濃淡・長短は店ごとに異なるだろうが示しておくことは大切だと思っている。

顧客をひとくくりにしない。たった一人のあなたへ

「市場拡大から市場濃縮へ」というAfterコロナにおける市場変化予測があるが、これは飲食業界においても重要視したほうがいいと思う。どんな繁盛店も、営業再開に向けて少なからずの不安があると思う。コロナ以前のようにお客さんが来てくれるのかと...。この局面において何より心強い存在は「再開したら必ず行くよ」と言ってくれる(思ってくれる)常連さんはじめ、お店のファン(=コアファンと呼ぶ)だろう。この方々とのコミュニケーション、コミュニティづくりについては今一度見直してもいいのではないか。例えば、コアファンしか知り得ないマニアックな情報を提供したり、新メニューを一定期間コアファンだけがオーダーできるなど、アドバンテージな体験を作ることについても考えたい。そして、発信においてこだわりたいのは、「ファンのみなさん」ではなく「ファンのあなた」という一人一人に視線を向けるということ。「自分のためにしてくれている」ということが感じられると誰だって嬉しい。そうしてお店とファンの関係性を強めることこそが大切だと私は強く感じる。実際に私が広報を担当している飲食店では、DMの冒頭に「メンバーズのあなたへ」と書いている。そして、極力当事者意識を持って読んでもらえる表現に気を配っている。

条件に見合うのではなく、無条件で行きたいと思わせる

今までは食べログ、Retty、ぐるなびなどで検索して飲食店を探し訪問する。という流れだったが、外食頻度が下がれば「どうせ行くならこの店」と指名買い的に選択することが増えるだろう。また、リモートワークがより一般化されれば自宅界隈での外食比率が高まり、「条件検索」する機会が総体的に減っていくのではと考えている。買い物においても「(この商品は)私たちに何をしてくれるのか?」という消費的思考から、「(この商品で)私たちは何をすべきなのか?」という応援的思考に変化すると予測されており、消費者は受動的から能動的な行動へ変化していくと考えられている。

これを飲食シーンに当てはめた場合、お店のコンセプトやスタンスに共感できるところへ、食事をする行為を通じて貢献しようと主体的に店選びをする人が増えるのではと感じた。それはコロナの影響で大変だろうなという一時的な応援消費ではなく、店と客の信頼関係が産んだ恒常的な消費(消費という言葉はあまり使いたくないが)と位置づけたい。「駅近」「高コスパ」「女子会お得」といったラベル的な情報ではなく、なぜそこから仕入れ、どうしてその料理に仕立てたのか。店側の意思が温度感を持って語れる店が強いはず。条件に見合う店ではなく、無条件で行きたい店。そう思わせる情報発信を心がけたい。

というわけで、今回のポイントは3つ。これは自分自身への確認も含めて胸に止めておこうと思う。

・コロナ対策へのスタンスを示し、発信を
・顧客をひとくくりにしない、たった一人に向けて発信を
・条件に見合うのではなく、無条件で行きたいと思わせる発信を

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