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「日記」と数ヶ月のまとめ。

 年季の入ったリビングテーブルに、おかずがこんもりした大皿を並べる。今日の献立は、菜の花と豚肉の柚子胡椒塩胡椒炒め、ねぎがたっぷり入った卯の花、豆腐入りのひじき煮、生野菜サラダ、合わせのお味噌汁、それに昨日の残り物が2品。私好みのラインナップだ。弟がひじき煮を山盛り取り皿にのせて、どんどん口へ運ぶ。「豆腐がいい仕事をしている。」と、「うまっ、うまっ。」と鳥のように鳴きながら。
 その豆腐は、下茹でをして、水を切って、きつね色に炒めてある。塩で茹でると、浸透圧で水が抜けるのだ。豆腐の形がしっかりして煮崩れを起こしにくくなり、さらりとしていた食感が少しもっちりとする。風味も幾分か濃くなる、気がする。一度炒めてきつね色にするのは、たんぱくな味に香ばしさを足したくて。今回は、冷蔵庫の底で傷み始めていた蓮根と年末に母が飛びついて買った10kg800円のにんじんを薄く切り、鍋で優しく炒める。そこに、別で炒めておいたひじきとその豆腐を入れて、目分量の酒、本みりん、顆粒だしで一煮立ち。どぼど、どぼどぼ、ぱらぱらぱら、とこんな感じ。本来ならだしではなく細切れの鶏肉でも使うところだが、うちの妹は“煮た鶏肉”がすきではない。そして妹も弟も豆腐がすきだ。ただそれだけの理由で、私はわざわざ豆腐にこんな手間をかけてひじき煮に入れる。そのあと濃口醤油で味を整え、また一煮立ち。一度火を止めて、一晩冷やしてから、食前に温めがてら水気がとぶまで火を入れる。別々で炒めるのは、香ばしさが出る気がしたり、食感がちょうど良くなる気がするから。調味料ごとに一煮立ちさせたり一度冷やすのは、その方が味がよく滲みる気がするから。15年ほど台所に立って、なんとなく覚えていたり、気づいたことたち。いつも全てをやるわけじゃない。時間と体力と気力の三者が言葉を交わすことなく決めている。だから私の作る食事にはむらがある。それも生活って言葉に似合っていて、とても気に入っている。
 私の口の中で、ひじき煮のれんこんがシャッキリと音を立てる。「いい仕事は、どちらかと言えば私がしているのよと。」と静かに心躍らせながら、にっこりと「それは良かった。」と返した。私の作る食事は、美味しい。



数ヶ月続いていたこの1ヶ月のまとめを残すnoteの投稿が随分と間があいてしまいました。
確認したら11月から書いていないのですね。
理由はあれこれありますが、しばらく続いていたものができなくなるとなんとなく自分に自信がなくなります。
何にもしていないのに、今年がもう2ヶ月も終わってしまった〜。
そう思いながら、喫茶店でスマホで色々振り返ると、思った以上に文章を残していました。
一言のものも数えて、3日に1回くらいのペースで。ちょっと感動。
そういえば、この喫茶店の時間がそもそもとても久しぶりで、そういえば、私は喫茶店でこの作業をするのだったなあ。
今回の文章は、そんななんでもない日の日記のひとつを整えたものです。
なんでもない日を、静かに、きらきらきらっと感じて生きています。


以下、11月から今日までのまとめ。

広島旅行
韓国舞踊鑑賞
狂言鑑賞
ブックサンタ参加(企画)
クリスチャンツィメルマン鑑賞
テート美術館展
落語鑑賞
能登半島募金
栗の渋皮煮
バレンタインお菓子作り
恵那
映画枠(バベットの晩餐会)
リトルナイトメア(ゲーム鑑賞中)

映画
キリエのうた
ジョジョラビット
かぐや姫の物語
ハイキュー ゴミ捨て場の決戦
バベットの晩餐会
プラダを着た悪魔
ミスターアンドミセススミス
クロース
君たちはどう生きるか

本(短編集は作家名)
宮沢賢治
谷川俊太郎
村上春樹
イリナグリゴレ
バベットの晩餐会
葬送のフリーレン
お茶の間スイーツガーデン
凪のお暇
ヌードル食べるプードル
そりゃあもういいひだったよ
オーギー・レンのクリスマス・ストーリー
森の絵本
ギャシュリークラムのちびっ子たち



らくがきアルバム

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