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サバゲー体験記

「サバゲー」という言葉を聞いたことはあるだろうか。おそらく日本国民の70%は一度も聞かずに生涯を終えるであろう。
これは「サバイバルゲーム」の略で、簡単にいうとエアガンを撃ち合って、弾に当たらずに生き残ったチームが勝ち、というゲームだ。

なぜこんな物騒な話を始めたかというと、昔、まだ自分に怪物級の行動力が残っていた時、この物騒なゲームに参加したことがあるからだ。その時に使ったエアガンは今となってはホコリをかぶって冬眠している。いや、おそらくもう二度と出すことはないから永眠というべきだろう。

そのころの話をしていこうと思う。

1. エアガンとの出会い

それは、本当に偶然の出会いだった。ことは2017年の年末にさかのぼる。東京に用事があった私は、たまたま早めに目的地についたので、時間をつぶすために近くでアクティビティ的な何かを探していた。プールとか温泉とか、ベタだが神社とかがないか調べていた。すると、検索結果の中に妙なものが紛れ込んでいた。「射撃場」。詳しい説明を見ると、どうやらエアガンを借りて撃つことができるらしい。普通に面白そうだったし意外と近かったので行くことにした。

店は地下にあり、薄暗かった。カウンターで銃のタイプと弾数を指定して料金を払う。
私が選んだのはデカいスナイパーライフルだった。それがなんか無骨でかっこよかったからだ。コッキングをして、狙いを定めて、引き金を引く。コッキングをして、狙いを定めて、引き金を引く。やることは単調だが、気分は完全にスナイパーのおっさんだった。タバコが吸えれば一服でもしていたかもしれない。
そんなことを考えている間にもらった弾を打ち切り、時間もちょうどよかったのでそこをあとにした。

おそらくこれが、私をサバゲーへと導いた最初の一歩だったように思う。

2. サバゲーに至るまで

最初にエアガンを打ってから半月が過ぎたころ、私は初めてサバゲーというものがあることを知った。どうやらいろんなフィールドでエアガンを撃ち合うゲームらしい。
「最高じゃん」真っ先に思ったのがこれだった。
自分で選んだかっこいいエアガンをもっていって、BB弾を振りまきまくり、敵をなぎ倒す。完全に脳内は敵を一網打尽にする妄想でいっぱいになっていた。
こうなると私はとまらない。
まず広島でサバゲーができる場所を調べたが、サバゲー会場はほとんど郊外にあり、車がない私がいける範囲にはなかった。ただ、それでも頑張ればぎりぎりJRで行ける範囲にあったので、とりあえずエアガンを買ってから考えることにした。
(このあたり、何も考えずにエアガンを買うことだけを決めているのがなんとも私らしいというか…ほんとに騙されやすいタイプだと思う)
まずネットでエアガンにどんな種類があるか調べ、いろいろ見て回った結果「M4 Patriot」というエアガンが見つかった。比較的軽く銃身も短く取り回しがききやすいということで、「これだ」以外の感情は思い当たらなかった。

こういうのはネットで買ってもいいのだが、一度店頭でどういうものかを見ることは極めて重要だ。そこで、広島でエアガンを売っている店を検索し、現地に直行した。
そこで実物をみて「意外とでけえなこれ…」とか思っていたのだが、話は別の方向へ歩みだした。そこの店長がよくしゃべる人で、質問に答えているうちに私もいろいろ聞いていた。
その中で、たくさん話した末にサバゲーのチーム的なのが広島にあることを知った。
話をさらに聞けば、そのチームは自分たちで土地を持っていてそこでサバゲーをしているらしい。なんと施設と違ってタダでサバゲーができるのだ。
なんなら行き返りも送迎してくれるらしい。ここを頼るのが最善だろうと思われた。

店長に言われるがまま、チームの連絡係の人と連絡を取り、その週の日曜のサバゲーへの参加を取り付けた。

3. サバゲー初参加

チームの方の迎えをうけ、この時はまだエアガンは買わずに、貸してもらって参加することにした。
実際に参加してみたサバゲーは、普通にクソ難しかった。
まず相手がどこにいるか見えない。みんなうまく隠れている。顔を出して探そうものなら即座に弾が飛んでくる。そんな感じで敵を見つけられない間に倒されることが多かった。
それでも何人かはなんとか倒すことができたので、まあ初日はこんなもんかあ…ということにするしかなかった。
普通にもうちょっと遊びというか、簡単な、ライトなゲームだと思っていたのだが、現実はガチのプレイヤー同士がそれぞれの技術でもって戦うゲームだった。想像の十倍くらいは難しかった。

私のような人間の一番よくないところは、この段階に来ても「まあいずれ私もうまくなって勝てるようになるだろ」という超楽観的な思考をするところにある。
いつも死ぬほどマイナス思考で生きているというのにこういう自分に都合のいい時だけ楽観的になるのは本当に危険だ。

ともかくこのタイミングで上に挙げた「M4 Patriot」とその他もろもろをそろえた。合計3万ほど。はじめてのバイト代はここにつかった。


これ以降の話はそこまで詳しくは書かない。重要なのは、1か月ほどで普通にやめてしまったことだ。当初の予想と違った。全然勝てねえ。サバゲーのために練習するほどのモチベはないし。
そんなこんなで、3万円が虚空にきえてしまった。ただ後悔はそこまでしていない。買いたかったから買ったし、やめたくなったからやめたのだ。

今となっては話のネタくらいにはなるので重宝している。
意外と昔自分が持っていた謎の行動力も、バカにできないのかもしれない。

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