なぜ株で利益が出るのか?株の仕組みと取引の基本をやさしく解説
株は企業が資金調達をするために発行しているものです。株を安く買い、高く売ることで売却益が得られ、保有していることで配当金が得られます。このような利益を狙った投資を株式投資といいます。詳しくみていきましょう。
そもそも株って何?どういう仕組み?
まずは基本的な株の仕組みや知識に触れていきます。
株の仕組み
株式は、企業が投資家から資金を調達する際に発行した証書です。企業は株式を持つ投資家(株主)に対して、配当金や優待として利益の一部を還元します
現在の株式投資はインターネット上で売買されることが多く、証書を個人投資家が手にすることはほとんどありません。
株式を「安く買って高く売る」ことで利益を生むのが株式投資です。企業の価値の上昇を見込んで株を買い、値段が上がったところで売って利益を出すことが投資家の目的です。
会社が株を発行する理由
会社は事業を拡大したり、新しい事業を始めたり、設備投資をしたりする際に、株を発行することで必要な資金を集めています。
銀行等からの融資は返済の必要がありますが、株式による資金調達なら返済の必要はありません。ただし、利益は株主に還元するため、事業がうまくいって利益が出れば、株主はその利益を享受できるというわけです。
株の種類
株式投資をしていると、様々な株の種類を耳にすることでしょう。ここでは、株式投資の際に覚えておくと良い基本的な株の種類についてご紹介します。
●小型株、中型株、大型株
東京証券取引所では、東証一部上場銘柄のうち時価総額の大きさと流動性の高さでランキングし、上位100位以内の銘柄を大型株、101位~400位までの銘柄を中型株、それ以外を小型株に分類しています。
大型株は頻繁に売買されるため流動性が高く、比較的穏やかな値動きです。一方小型株、中型株は流動性が低く、値動きが荒れやすい傾向にあります。注目を集めるような出来事があると、一方的に大きく値が動くため、投資による損益は大きくなりがちです。
●割安株
その会社の資産や業績に対して、株価が低い株のことをいいます。株式市場がその会社の価値を正しく評価すれば株価が上昇するはずの株で、バリュー株と呼ばれることもあります。割安株への投資は株式投資の基本です。
●成長株
業績がよく、成長を続けていて、株価も現に上昇中の企業の株のことで、グロース株ともいわれます。
流行による成長であることが多く、株価の大きな上昇が見込める一方、問題があれば急落する可能性もあるため、投資先の動向は細目にチェックしておきましょう。
●低位株
単純に株価が低い株のことですが、明確な定義はありません。
他の銘柄と比べて、少額から投資できるという特徴があり、初心者にとっても投資しやすい銘柄といえるでしょう。ただし、常に株価や企業の動向には気を配りましょう。
●仕手株
大きな資金を持った投資家が、意図的に株価を操作していると思われる銘柄
値上がりするような動きを見せて他の個人投資家の買いを誘い、価格が上昇したところで売り抜け、利益を上げます。同じように投資できれば大きな利益を上げられる一方、大きな急落に巻き込まれる可能性もあるため注意が必要です。
株で儲かる仕組みとは?株で得られる3つの利益
株で得られる利益は、以下の3つです。
売却益(キャピタルゲイン)
配当益(インカムゲイン)
株主優待
それぞれの特徴を把握して、自分がどのような利益を狙って投資するのか、はっきり認識しておきましょう。
(1)売却益
売却益は、保有していた株を売却することで得られる利益で、このような性質の利益をキャピタルゲインと呼びます。
売却益を得るためには、買ったとき以上の株価で株を売らなければなりません。例えば、1株100円の株を100株買ったとすると、投資総額は1万円です。その後、株が値上がりし、1株150円になったところで保有していた100株を売却すれば、総額1万5,000円となり、5,000円の利益が生まれます。これが売却益です。
(2)配当益
配当益とは、株式会社が得た利益を株主に還元する現金配当(配当金)による利益のことです。このように資産を保有することで継続的に得られる収入のことを、インカムゲインと呼びます。
会社が定める権利確定日の2営業日前に株を保有しており、権利確定日に株主名簿に登録されていることで、配当金を得られます。
配当金の額は、会社によって異なりますので、各社の情報を確認しておきましょう。
(3)株主優待
株主優待とは、株式会社から株主への贈り物のようなものです。権利確定日の2営業日前に一定数の株式を保有していると、もらえます。株主への還元の一環や会社の知名度向上、株主の安定を目的に実施されています。
内容は、自社製品やサービスなど様々で、各社個人株主の獲得や商品の宣伝のために工夫を凝らした株主優待を行っています。
詳しい銘柄情報については前回の記事「2024年東証スタンダードテンバガー銘柄候補」をご参照ください。 2023年のTOPIXスタンダードの株価動向(後編)と2024年の注目テーマ株を紹介
株のリスクはどのくらい?
株式投資に限らず、投資ではリスクの管理が非常に重要です。株式投資にまつわるリスクを把握し、管理することで安定した投資が実現します。
株式投資には、3つのリスクがあると言われます。1つずつ確認していきましょう。
(1)値下がりリスク
株式投資で多くの人がイメージするリスクは、値下がりリスクではないでしょうか。1万円で買った株が5,000円に値下がりしてしまえば、5,000円の損失です。だからこそ値上がりしそうな株を選んで買うべきなのですが、簡単なことではありません。
長年の投資経験があり、長期的に利益をあげている人でさえ損失を被ることがありますので、リスクは避けられないものだと考えた方が良いでしょう。値下がりによる損失を最小限に抑え、トータルでプラスにするという意識が重要です。
(2)倒産リスク
株を保有していた企業が倒産してしまうと、保有していた株式の価値がなくなってしまう可能性があります。
投資した金額は、戻ってくることもあれば戻ってこないこともあります。企業の業績や展望といった情報には常に注目しておきましょう。
(3)流動性リスク
株の取引は、買い手と売り手がいるからこそ成り立ちます。保有している株を売却したくても、買い手がいなければ売却できません。
取引量は企業によって異なりますし、同じ企業であっても状況次第では急激に流動性が低下することもあります。
例えば、突発的にネガティブなニュースが報道された企業の株が一気に売られたような場合です。売ろうとする人が圧倒的に多いと、買い手が足りなくなり、売りたくても売れない状況に陥ります。取引が成立しても株価は大きく下落し、想定以上の損をしてしまいます。
流動性の低い株式には常にこういったリスクがありますので、取引量も確認しながら取引銘柄を選択しましょう。
証券取引所の役割と仕組み
株式投資による株の売買は、企業と直接するわけではなく、証券取引所で行われます。国内の証券取引所は、東京、名古屋、札幌、福岡にそれぞれありますが、上場企業の数や上場条件は異なります。
最も上場数が多い取引所が東京証券取引所で、中でも東証一部に上場しているのは、厳しい上場条件をクリアした、規模の大きい企業です。
個人投資家は楽天証券などの金融商品取引業者を介して証券取引所で株を売買します。証券取引所は、企業が資金調達をしやすくするために投資家と企業を繋ぐ仕組みを提供し、証券会社がその仲介をしているイメージです。
また証券取引所に上場するためには、取引所に定められた条件をクリアする必要があるため、上場企業は投資対象としてある程度安心できるともいえるでしょう。
株の始め方
ここまで、株式投資の基礎知識をお伝えしてきました。では、実際に株式投資を行うためには、いくら用意し、どのような流れで始めれば良いのでしょうか。ここからは、株式投資を始めるために用意すべき資金や株購入の流れ、銘柄の選び方についてお伝えします。
株はいくらから始められる?
この質問は、最も多い初歩的な質問のうちの1つです。
株式投資に必要な資金は、株価×単元株数で算出できます。単元株数とは、株を購入する際の最低株数のことです。単元株数は証券会社や銘柄によって異なりますが、多くの場合、100株に設定されています。
つまり、株価が100円で単元株数が100株であれば、1万円の資金で株式投資を始められるということです。
株購入の流れ
株の購入は、前述の通り証券会社を介して行います。まずは証券会社で取引口座を開設しましょう。口座の開設は多くの証券会社で無料ですし、口座維持費用もかからないケースがほとんどです。
各証券会社のHPには、株式投資初心者向けに口座開設方法や株式投資についての解説ページが設けられていますので、是非参考にしてください。
銘柄の選び方
その他、取引ツールや証券会社のHPには、取引金額や株価等で条件を設定して検索するスクリーニング機能があります。好みの銘柄を選定する際は、利用すると便利です。
また、普段利用している商品やサービスなどを提供している企業に注目する方法もあります。顧客目線で商品やサービスが良いと感じる企業は、成長の可能性があるとも考えられます。
株の売り方
株取引で利益を出す方法の1つが購入した株の売却です。評価益が出たタイミングで売ることで利益が出ます。株の売却も、購入と同様、証券会社を介して行います。
注文方法には複雑なものもありますが、売却したい価格を指定する「指値注文」と、価格を指定せず現在価格で売却する「成行注文」が基本です。相場を見ながら売却するときは、「成行注文」で良いですが、仕事や家事などで相場を見ていられないときは、「指値注文」を入れておくと、売り時を逃さずに済みます。
証券会社の選び方
初心者が証券会社を選ぶにあたって、重視したいのはユーザー数です。多くのユーザーに選ばれていることには必ず理由があるため、最初の証券会社はユーザー数が多い証券会社の中から選ぶことをおすすめします。楽天証券は2020年12月時点での口座開設数は500万口座を突破。9カ月で100万口座を増やし、今注目の証券会社です。ネット証券のため取引手数料も安く設定されており、楽天ポイントのバックもあります。証券会社を選ぶ際には、ぜひ検討してみてください。