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"なぜ"運べないのか?

物流クライシスが叫ばれていますが、そもそも"なぜ"運べないんでしょうか?

当然、ドライバー不足という労働力の観点はありますが、それ以外に"運べなくしている要因"は何かを探っていきたいと思います。

需要と供給のバランス

当たり前ですが、需要と供給のバランスが一致していない事が挙げられます。

これでは当たり前すぎるので、もう少しかみ砕いてみると

サプライチェーンマネジメントの考え方に則ると、必要なものを、"必要な時"に"必要な"だけ運ぶという事になります。

しかし、トラックドライバーが不足する環境下では、それを実現する事が困難となってきております。決して1年365日を通じて輸送能力が不足しているわけではありません。

宅配問題を例にすると解像度が上がりますでしょうか。

特に東京都内においては単身世帯・夫婦共働き世帯が多く、確実に荷物を受け取る事ができる時間帯が早朝(~ AM7:00)もしくは夜間(PM21:00 ~)である事がほとんどです。

そうなると、早朝、夜間ピンポイントで全ての荷物を運びきらなくてはならず、必要なトラック台数やドライバー人数が多くならざるを得ません。

例えば、お届け時間の指定が無い世帯ばかりであれば、限られたトラック台数、ドライバー人数を回転させて配送する事が可能です。

別記事で触れますが、1人あたりの納品先が多ければ、運収も上がるのでトラックドライバーにとっても旨味のある仕事になってきます。

ここでポイントとなるのは何でしょうか。

荷物の受取り側の許容度

実現するためには荷物の受取り側の許容度がポイントとなります。特に消費財については、ビジネス上のサプライチェーンだけでなく我々一般の消費者が多少の欠品を許容する姿勢が求められます。

Photo by Jon Tyson on Unsplash

でも、Amazon等のECサイトで何か買った時に、お届け日時を指定できないと「なんて不親切なんだ!」と感じちゃいますよね。

特にAmazonは"いかに早くお客様にお届けするか"をKSFにしていると考えられ、とにかく一秒でも早く(かつ配送料無料で)お届けするために物流へ投資しています。

Photo by Christian Wiediger on Unsplash

ここまで説明した通り、限られた物流資源を有効活用しなければ運べない時代になってきた一方で、消費者は依然として"必要な時に必要なだけ"の商品を求めています。

それに合わせてサプライチェーンの各工程において輸送能力や倉庫スペックなどを設計しており、サプライチェーン全体の機能不全に陥っていると言えます。

当面消費者の価値観は変わらないかなと思うので、しばらくはサプライチェーンの中で吸収する必要があります。

次の記事では"ブルウィップ効果"というキーワードを使いながら考えていきたいと思います。


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