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詩: 『ある一羽の鳥』

ある一羽の鳥がいた

止まる木の枝の上
鳴いている

美しいとは言い難い声だ

周りの鳥たちの声も聴こえる
聴き慣れた綺麗な高い音

あの鳥は他の鳴き声など気にもせず
ただ自分の声をあげる

なぜ君は鳴くのか
周りとは違う声で
なぜ君は歌うのか

鳴きたいからさ
声を思い切り出したいからさ
歌っている時が一番楽しいのさ
嬉しいのさ

みんなそれぞれ違う声
同じ歌などないよ
自分にしか出せない音
自分にしか歌えない歌が
それぞれあるのさ

僕は自分の声が好きさ
歌う歌は宝物なんだ

君にどう見えているか知らないが
みんなも同じ気持ちでいるよ
僕の声は僕だけのもの
あの子の声もあの子の声も
みんなそうさ
自分だけのために歌うのさ

そうしてみんなの歌が一つになるよ

そうしてもっと素敵な歌になるよ

彼は歌った
最後に幸福を祈り飛び去った

とても美しい声だった
とても綺麗な歌だった

一筋の涙が頬を伝っていた

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