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ミャンマーの次世代をつくる平和活動家、強く切ない「女優」の素顔~スタッフが語る、ここだけのIMPACT HERO・ウェイウェイ編

こんにちは!Earth Company note編集部の小松です。

「スタッフが語る、ここだけのIMPACT HERO」と題し、私たちが支援するアジア太平洋でSDGsのために人生をかけるチェンジメーカー「IMPACT HERO」を、スタッフ目線で語るシリーズの最終回は、ミャンマーの平和活動家ウェイウェイをマーケティング担当の樋口実沙が語ります。

米国トランプ大統領にロヒンギャの現状を訴える一方で、自腹でコックスバザールのロヒンギャ難民キャンプで女の子のための学校を運営するなど、トップダウンから草の根活動までこなすウェイウェイ。

おしゃれが好きだった普通の女子大生だったウェイウェイが平和活動家になったのは、不当逮捕による7年間もの投獄経験がきっかけでした。そんなウェイウェイの素顔を、1人でも多くの方に知ってもらえたら嬉しいです!

思考停止しかけた問題に、現れた小さな希望

こんにちは!樋口実沙です。

私が「ロヒンギャ問題」を知ったのは、Earth Companyのスタッフになる前、ファッションブランドのマーケティングを担当していた頃。2017年8月にミャンマーの少数民族のロヒンギャの人々が迫害を受け、隣国バングラデシュに避難をしたニュースを目にした時でした。

70万人の人々が難民になり、歩いて国境を超える。その規模と写真に衝撃を受けたと同時に、彼らの抱える背景の複雑さに、「一体どうしたらいいんだろう」と、思考停止をしてしまいたくなるような、そんな気持ちでした。

そんな中、私のライフワークであるカレーを通じて知り合った人たちの中に、ミャンマーの文化や難民問題に詳しい人たちがいて、話を聞いているうちに、ロヒンギャの人々がとても気になる存在になっていきました。

昨年、転職を決意して「国際協力の道に進みたい!」と検索してたどり着いたEarth Companyのサイトで見つけたのは、ロヒンギャの女性リーダー、ウェイウェイ・ヌーの支援を始めるというアナウンス

驚いたのは、ミャンマーで迫害を受けているマイノリティ出身の若者であり、かつ女性で国際的に活躍している人物が存在するということでした。

アウンサン・スーチー氏のイメージこそあれど、今なお軍の影響が強く、男性社会のミャンマー。そこで誕生した類稀なる女性リーダーの存在に、小さな希望を見つけた瞬間でした。

同じ舞台に立って、初めて見えてきた光景

ウェイウェイの活動に対して、私が最初に関わったプロジェクトは、昨年の6月の「難民の日」から行ったクラウドファンディング でした。

皆さんの暖かい応援もあり、目標 は無事達成しましたが、その時に感じたのは、残念ながらロヒンギャ問題についてが日本ではあまり知られていないこと。そして、その問題の複雑さゆえ、伝わりにくいということでした。

「ウェイウェイは、この複雑な問題に毎日立ち向かっているのか...!(衝撃)」

そして同年10月に、Earth Companyの5周年記念イベントのため、ウェイウェイが現在拠点にしているアメリカから来日することになりました。

「父親がアウンサン・スーチーと議会で一緒にいた」という理由だけで、18歳からの7年間刑務所生活を強いられたウェイウェイ。その経験から入国に特別な書面が必要でギリギリまで調整が続き、なんとか無事到着することができました。

「ウェイウェイは、いつもこんな綱渡りを強いられているのか...!(涙)」

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【写真】成田空港からスタッフと都内に向かう電車で。

忙しいスケジュールの合間の、たった4日間の弾丸来日。

イベントでの彼女のプレゼンテーションでは、数々の国際会議で活躍してきたウェイウェイのすごさを目にすることができました。

【動画】その壮絶な半生と、ウェイウェイが活動する理由を語ったプレゼンテーション。

しかし一番衝撃を受けたのは、日本記者クラブでの記者会見でした。

会場は報道陣で満席、異国のメディアのカメラに囲まれるという状況で、ウェイウェイは物怖じひとつせず、会場に颯爽と入ってきました。

そして真ん中の席に座ると、「こんにちは」と日本語で挨拶をして、とても丁寧に、ロヒンギャの人々の置かれた現状を語りはじめました

国連をはじめとする様々な国際会議で登壇する機会が多いウェイウェイですが、政治的で複雑な背景が関わるロヒンギャ問題は、根拠に基づいて語ること、当事者と関係者のプライバシーや安全面を考慮した発言が求められます。

それらを全てケアしながら、カメラの向こうにいる人たちを想像し、人の心に訴えるスピーチをする姿を目の当たりにしながら、こう思わずにはいられませんでした。

「ウェイウェイは、女優なのか...!(驚)」

【動画】日本記者クラブでのウェイウェイの会見

ウェイウェイの舞台(厳密には会見場の)裾で、その眩しいフラッシュを微かに浴びながら、高鳴る鼓動を抑えられずにいました。

女優・ウェイウェイの切ない素顔

そんな「女優・ウェイウェイ」ですが、来日中に涙する場面もありました。

それは、ウェイウェイの活動を支援してくださっている株式会社日ノ樹様でのイベント。

6月から行ったクラウドファンディング のリターンとしてウェイウェイが講演した際、いつもは明るく笑顔も交えながらスピーチする彼女ですが、主催者である日ノ樹様と会場の温かい歓待に途中で感極り、

「人間の尊厳を奪われた自分の過去を、誰にも経験させたくない。だからこそ泣いている場合ではなく、強くならなければと頑張ってきた。でも私は強いばかりじゃない」

と涙ながらに語りました。

普段見せない彼女の弱さを見た瞬間、来場者や他のIMPACT HEROたちも涙を流していました。

そう、壇上で堂々と心を動かすスピーチを行い、記者会見をし、国の指導者に会って現状を訴えるウェイウェイの姿は、自分を鼓舞して彼女が作り上げた「女優」としての姿だったのです…。

ウェイウェイを照らす光になりたい

2019年12月、ロヒンギャ問題で大きな展開がありました。

ミャンマー政府が行ったロヒンギャ掃討作戦が「ジェノサイド条約」違反にあたるとして、ガンビアが訴訟を起こし、国際司法裁判所で審議が行われたのです。そこでも活躍したのがウェイウェイでした。

最前線で活躍するウェイウェイに突き動かされ、2020年2月に、ヤンゴン・ユース・リーダーシップ・センターという、彼女が運営するミャンマー・ヤンゴンの教育現場を尋ねることにしました。

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そこでは、マジョリティーであるビルマ族から、マイノリティーのシャン族、カチン族などの若者が、民族の壁を超えて学び合い、平和なミャンマーを築いていこうとする意欲に満ちていました。その教室の壁には、ウェイウェイの写真がたくさん飾られていて、生徒たちの敬意を感じました。

ミャンマーを後にし、バングラデシュのコックスバザールの難民キャンプで訪問した先でも、ウェイウェイ活躍を知っている人々に会いました。

まだ見えない問題解決の道筋に、不安を抱えながら暮らす彼らにも、彼女の姿は届いていて、希望になっていることを確信しました。

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スクリーン越しに活躍するウェイウェイの姿に、励まされる人々に出会って、私はそんな舞台に立ち続けるウェイウェイを、少しでも照らす光になりたいと、改めて強く感じることができました。そして、思考停止をせずに、関わり続けることの大切さを身を持って学びました。

現代の社会課題は様々な要素が複雑に絡み合っていますが、それをたどっていくと、自分に繋がることを実感します。

ロヒンギャ問題もその一つ。

それは関わり続けることで、みえてくるもの。

Earth Companyを通して、そんな体験を1人でも多くの人にしていただけると嬉しいな、と思います。

一人ひとりの応援が、IMPACT HEROたちの光になります。

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【写真】2020年に来日したウェイウェイと。

※今、Earth Companyではウェイウェイへの支援活動を継続するために、仲間を100人募るキャンペーンを開催しています!
→詳しくはこちらへ!

★文中で紹介したウェイウェイ・ヌーのプロフィール
平和・政治活動家。ミャンマー生まれ。「父親がアウンサン・スーチーと議会で一緒にいた」たったそれだけの理由で家族全員が逮捕され、18歳から7年間を、社会的弱者であった女性たちと共に刑務所で過ごしたウェイ・ウェイは、獄中で自分と同じように強制収容された多くの女性たちに出会って「この国を変えたい」と決意。

教育こそが、自由や平和、そして社会的平等の扉を開き、民族間に信頼関係を築くと確信し、自らもロヒンギャであるウェイ・ウェイはミャンマーの少数民族のための教育施設を設立。偏見や差別のない平和な社会を築く次世代リーダーを育成している。

★スタッフが語る、ここだけのIMPACT HERO・バックナンバー★

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