#167_棚卸資産の評価方法の届出書

先日提出した
・法人設立届出書
・給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書

に加えて、新規法人設立時には

・棚卸資産の評価方法の届出書
・青色申告の承認申請書
・減価償却資産の償却方法の届出書

の提出が必要に応じて必要とのこと

■棚卸資産の評価方法の届出書


棚卸資産の評価方法の届出書とは、
12種類ある棚卸資産の評価方法のどれを選択するかを指定できる書類
とのこと。
もし選択しないとデフォルトで「最終仕入原価法による原価法」となるそう。
http://tax-ita.net/corporation-tax-choice/%E6%9C%9F%E6%9C%AB%E5%9C%A8%E5%BA%AB%E3%81%AE%E8%A9%95%E4%BE%A1%E3%80%80%E7%AF%80%E7%A8%8E%E3%81%AB%E3%81%AF%E3%81%A9%E3%82%8C%E3%82%92%E9%81%B8%E6%8A%9E%E3%81%99%E3%82%8B%EF%BC%9F/

こちらが申請書

下半分に評価方法を記載する箇所がある

12種類は以下

  1. 原価法

    1. 個別法

    2. 先入先出法

    3. 総平均法

    4. 移動平均法

    5. 最終仕入原価法 ←何も指定しないとこれにされてしまう

    6. 売価還元法

  2. 低価法

    1. 個別法

    2. 先入先出法

    3. 総平均法

    4. 移動平均法

    5. 最終仕入原価法 ←★ベスト

    6. 売価還元法

結論から言うと、「2.低価法の5.最終仕入原価法」がベストである
理由は2つでA. 節税B. 手間の観点である

■A.  節税の観点


まずA. 節税の観点として

  1. 原価法とは、帳簿価額に記載した額を棚卸価額とする方法

  2. 低価法とは、帳簿価額と時価とを比較して、低い額を棚卸価額とする方法

であり後者(低価法)が有利である。

たとえば帳簿価額1,000円の商品について、

・期末の正味売却価格(市場での売価から原価の控除額)が800円の場合

→差額の200円を評価損として計上することが可能

結果として、200円分利益を少なく計上でき、節税となる

つまり低価法の方が原価法より節税メリットがある
こととなる。

■B. 手間の観点


次にB. 手間の観点として、最終仕入原価法がベストである

  1. 個別法

  2. 先入先出法

  3. 総平均法

  4. 移動平均法

  5. 最終仕入原価法 ←★ベスト

  6. 売価還元法

■1. 個別法

・商品をひとつずつ個別に管理して期末在庫を計算
・理論的にいちばん正確な棚卸資産の金額
・同じような規格の商品を多量に扱うときは向いていない
・宝石、中古車、不動産業者の土地や建物など個別管理が必要な場合に採用するとよい

■2. 先入先出法

・先に仕入した商品から売却したとして期末在庫を計算
・商品の自然な流れにそった方法
・物価下落(デフレ)時は在庫商品の仕入単価が低くなり、売上原価は多くなり、利益が減少→節税となり有利
・物価上昇(インフレ)時はその逆で不利

■3. 総平均法

・期首の商品と期中に取得した商品の総平均単価で期末在庫を計算
・決算期末まで単価を計算できないので迅速性に劣る
・一方で計算は比較的簡単で迅速性をカバーする為、月毎に計算するとよい
・粉末や液体を混合・保管時等買った順番が明確でない場合に採用例有
・物価上昇(インフレ)時は 期末の高い単価と今迄の低い単価の平均をとる為、仕入単価が低目に出ることで売上原価が多くなり、利益が減少、節税効果がある
・物価下落(デフレ)時はその逆

■4. 移動平均法

・商品仕入の都度、仕入品とすでに保有の商品との平均単価を算出
・最後の平均単価で期末在庫を計算
・物価変動が薄まる
計算が煩雑な為、中小企業では特に理由がなければ採用を控えるのが得策

■5.最終仕入原価法 ←★ベスト

・決算期末前の最後の仕入単価で期末在庫を計算
計算は最も簡単
決算前に安く仕入れることで、これまで高い金額で仕入れた商品も期末在庫の計算では最後の安い仕入単価を使用することとなる
・結果として売上原価が多くなり、利益が減少、節税になる

■6. 売価還元法

・期末在庫の販売価額に原価率を掛算して計算
・採用例は小売店で商品が多数あり、商品全部の単価計算が困難なケース
・同種類の商品グループごとに計算
・製造途中の仕掛品や半製品の期末在庫の計算にも有効

このように、最終仕入原価法が最も煩雑でない処理となります。

加えて、期末最終仕入額を抑えることで節税効果もある、と言うことで低価法に加えてダブルで節税効果があることとなります。

且つ、インフレ時やデフレ時のいずれにも影響を受けない点も良いです。
執筆時点(2022/8)はインフレ局面ではあるものの、
2000年初頭から約20年間デフレ局面であった為、
外部環境に依存はしたくないと言うのが、理由となります。

なお、変更は3年毎に申請をすれば可能とのことです。

以上が全体説明です。

中小企業の場合、経理の専門家がいるわけでもなく、事務手続きはなるべく煩雑にしたくない為、「最終仕入原価法に基づく低価法」はベストチョイスだと考えます。

と言うことで、棚卸資産の評価方法の届出書には、「最終仕入原価法に基づく低価法」を選択して提出したいと思います😄



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