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第2章 高卒認定の概要

2 高卒認定の概要

高卒認定試験がどんなものか、すでに詳細にご存知の場合は、この章の最後にあるマンガだけお読みください。

2.1. 高卒認定試験とは

高等学校卒業程度認定試験(以下、高卒認定試験)は、様々な理由により高等学校を卒業できなかった方、または高等学校を中退した方に対して、高等学校卒業者と同等以上の学力があるかどうかを認定するための国が行う試験です。

この試験の合格者は、高等学校を卒業した者と同等以上の学力があると認められ、大学・短期大学・専門学校等の入学資格が与えられます。

この試験の主な目的は以下の通りです:

l   教育の機会均等の保障

l   生涯学習の推進

l   高等教育機関への進学機会の提供

l   就職や資格取得における機会の拡大

高卒認定試験は、個人の可能性を広げるとともに、社会全体の教育水準の向上に寄与しています。社会全体の教育水準が向上するということは、それはそのまま、その国の質的向上につながります。私たちが暮らす社会が、国が、より住みよい環境になることを拒む人はまずいないでしょう。

高卒認定試験の前身は、1951年に始まった「大学入学資格検定(大検)」です。当初は戦後の混乱期に教育の機会を逃した人々に大学進学の道を開くことを主な目的としていました。

2005年に「高等学校卒業程度認定試験」へと名称変更され、同時に試験の目的も拡大されました。大学入学資格の付与だけでなく、就職や資格試験における高卒同等の扱いなど、より幅広い社会的認知を得ることとなりました。

近年では、不登校や高校中退者の増加に伴い、この試験の社会的重要性が再認識されています。また、働きながら学ぶ人々や、学び直しを希望する社会人にとっても重要な機会となっています。

この試験を経て、様々な分野で活躍されている方が大勢います。

2.2. 受験資格と試験科目

受験資格は以下の通りです。

l   満16歳以上の者(受験する年度の末日までに満16歳に達する者を含む)

l   高等学校に在籍していない者

ただし、以下の場合は例外的に受験が認められます。

l   高等学校の課程の修了までに1年以上を要すると見込まれる者

l   高等学校の課程を修了できないと見込まれる者で、かつ、当該年度の末日までに満16歳に達する者

これらの規定により、現役の高校生でも一定の条件を満たせば受験が可能となっています。

試験科目は令和6年から新しくなり、以下のようになりました。

【理系科目】

  1. 数学

  2. 科学と人間生活

  3. 物理基礎

  4. 化学基礎

  5. 生物基礎

  6. 地学基礎

【文系科目】

  1. 国語

  2. 英語

  3. 公共(現代社会、倫理、政治・経済が統合された科目)

  4. 歴史(世界史、日本史が統合された科目)

  5. 地理

この中で、理科系科目(上記2~6)は選択制となっています。

「2.科学と人間生活」を選択する場合、「上記3~6」のどれかひとつを選択するだけで大丈夫です。合計2科目となります。そうでない場合は「上記3~6」のうち3科目を選択する必要があります。

ここでの判断基準はどうしたらよいでしょう。

「理系の大学へ進みたい」場合、理科は3科目受けるべきです。学力の土台として全部大事だからです。

理系の大学へ進まないなら、負担を考え、2科目で受けましょう。ただし、どうしてもご自身の興味・関心から、生物も物理も化学もガッツリ勉強したい!ということであれば、2科目で受けなければいけない決まりもありません。あなたのチャレンジを私は応援します。

2.3. 試験のスケジュールと申し込み方法

高卒認定試験は年2回、8月と11月に全国の主要都市で実施されています。

私の地元である三重県は、県庁所在地の津市で行われます。三重県はタテに長いので、東紀州の方々は、車をぶっ飛ばしても片道2時間くらいかけて移動しなければいけません。JR移動ならとんでもない時間がかかる(私は尾鷲駅で雨の影響で4時間待たされたことが2回もあります!)ので、前日から泊まり、という事も選択肢に入ります。

私の事業所がある京都府では、京都府庁で実施されます。府庁は旧本館が、明治37年(1904)に建てられたレンガ造りの洋館で、国の重要文化財に指定され、観光地としても有名ですね。さすが京都。

そんなわけで「主要都市」でしか開催されないので、当日のスケジュールもあらかじめ決めておかないといけません。移動に時間がかかる場合は、前日入りをオススメします。

受験手続きの流れをまとめます。

l   受験案内(出願書類を含む)の入手

文部科学省のウェブサイト(https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shiken/mext_01319.html)からダウンロードするか、各都道府県教育委員会で入手します。

l   出願書類の作成

受験願書、受験科目選択票、写真票等の必要書類を準備します。

書きかたでわからない点、困った点があれば、遠慮なく教えて下さいね。

こちらのリンク先も参考になります。

出願書類フローチャート:文部科学省 (mext.go.jp)

l   受験料の納付

科目数に応じた受験料を納付します。

n  7科目以上:8,500円

n  4~6科目:6,500円

n  3科目以下:4,500円

「収入印紙での支払い」という、ちょっと馴染みのない支払い方法で納付します。受験料は現金では支払えません。郵便局や一部のコンビニで購入できる「収入印紙」を使用します。

l   出願書類の提出

定められた期間内に、文部科学省または受験地の都道府県教育委員会に提出します。

郵送の際は、簡易書留郵便を利用し、受領証を大切に保管してください。

l   受験票の受領

出願から約1ヶ月後に受験票が送付されます。無くさないようにして下さいね。

l   試験の受験

指定された日時に指定された会場で受験します。試験日までに余裕があれば、事前に「下見」をしておくことをオススメします。

l   合格発表

試験実施から約1.5ヶ月後に合格発表があります。

出願期間や試験日程は年によって多少の変動があるため、最新の情報を文部科学省のウェブサイト(高等学校卒業程度認定試験(旧大学入学資格検定):文部科学省 (mext.go.jp))で常にチェックしておくようにしたいです。

2.4 合格基準と証明書の発行

高卒認定試験の合格基準はあいまいです。眉唾な情報も多くあります。100点中39点で合格した、なんていう報告まで。自己採点が間違っている可能性もあります。

いえることは、40%代の正解率で合格するケースもありますが、本当にそれで「次」を戦えますか?ということです。

できる限り満点を目指すつもりで、努力すべきです。

なぜなら、あなたは高卒認定試験がゴールではなく「その次」があるからです。

それは就職試験であったり、大学入試であったり、人それぞれですが、もしも「高校1年生の範囲」で「39%の正答率」で合格したとして、その学力で目指せるものの選択肢の狭さを想像してみて下さい。

私見では「半分以上は正解する」くらいの実力が無いと、次のチャレンジが相当困難となると考えています。これは経験的なものです。だからといって「半分正解できる程度の努力」で半分以上の点数を取れることは稀です。

どうか「満点を取るつもりで準備する」姿勢でいて欲しいです。

一度合格した科目は、次回以降の試験では免除されます(科目免除制度)。この免除期間は合格した試験の翌年度から起算して2年間有効です。これを過ぎるともう一度受け直さないといけません。

高卒認定試験の合格後は「合格証明書」の発行を受けることができます。

高卒認定試験の証明書の発行については、以下の種類があり、決められた手順で行います。

l   証明書の種類

  1. 合格証明書

  2. 合格成績証明書

  3. 科目合格証明書

  4. 科目合格成績証明書

l   申請手続き

  1. 申請書のダウンロード:文部科学省の公式サイトから該当する申請書をダウンロードします

  2. 必要事項の記入:申請書に必要事項を記入します

  3. 収入印紙の貼付:手数料として、必要な金額の収入印紙を申請書に貼付します。手数料は証明書1通につき250円です

  4. 返信用封筒の準備:返信用封筒(角形2号)に自分の住所、氏名を記入し、返信用切手を貼付します。証明書の通数に応じて切手の金額が変わります。

  5. 郵送:申請書と返信用封筒を同封し、文部科学省に郵送します。郵送先は以下の通りです。

〒100-8959

東京都千代田区霞が関 3-2-2

文部科学省 生涯学習政策局 生涯学習推進課 認定試験受付係

l   注意事項

Ø  証明書の発行には、申請書が文部科学省に到着してから1週間程度かかります

Ø  申請は郵送のみで受け付けており、電話やメール、来省での申請はできません


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