第5章 過去問よりはじめよ
5.1. 過去問の入手方法
何はともあれ、まずは「過去問」を解いてみましょう。全然解けなくても大丈夫です。
「解けなかった」という結果が得られるので、そこから、目標や計画を立てることができるようになります。
過去問の入手は、書籍も販売されています。しかし、まずは買う必要はありません。文科省のサイトからダウンロードできるからです。
高等学校卒業程度認定試験問題(高卒認定試験) 解答・過去問題:文部科学省 (mext.go.jp)
文科省のサイトでは、解答はあっても、なぜそうなるかという解説がありません。でもそこはあまり重要ではないのです。理由は、過去問を解く目的にあります。
5.2. 過去問を解く際の心構え
過去問をいちばんはじめに解くときは、どのくらい正解できるかを計測するだけで構いません。時間を測って本番と同じように解いてみて、今の自分が本番を迎えたら、だいたいどれくらいの正答率なのか、ざっくりと算出してみるとよいでしょう。
でも、もしわからない問題や、ミスがたくさんあった場合は、問題を解きなおして、なぜそうなるのか、といった検証・探求は、まだ今の段階では取り組まなくて大丈夫です。ある程度基礎力がついて、自信がついてきたら、そういった段階に進めばよいです。
その際に、もし完全に独学でやるならば、過去問題集の購入も検討すべきですが、基礎力が身に付いた段階では、そういったものも不要になっている可能性もあります。
受験勉強の最初の段階で、どうしても最新の過去問題集と解説が欲しければ購入して構いません。しかし、別に無くても構わない、というが私の意見です。
特に予備校などのサービスを利用する場合、過去問のわからないところは先生に教えてもらえばよいだけなので、そこまで必須アイテムとは呼べないと思います。教材の購入についてはまた、第8章で詳しく触れます。
5.3. 弱点の洗い出しと対策立案
過去問を解いたら、解きっぱなしではなく「振り返り」をして下さい。先に述べたように「解きなおし」ではありません。どれくらいの正答率なのかを、まずは数字で「見える化」するのです。
今の自分の学力がどのレベルにいるのか、そしてそこから、どうなりたいのか。
正答率が算出できたら、今度は弱点の洗い出しです。
もしかしたら、全部が弱点、といったような事態も起こりうるかも知れません。ミスした問題をひとつずつ見直して下さい。できれば正解した問題も、見直して下さい。なぜならば、「正解には二種類ある」からです。
A)ほんとうに理解していて正解だった→これは本当の正解
B)じつは適当に答えたら、たまたま正解だった→これはニセの正解
テスト本番では、どちらも正解なので、まったく問題ありません。〇がもらえます。
しかし普段の受験勉強ではBはダメです。理解していないわけですから、なぜ正解だったのかを検証し、「再現性」を高めます。どういうことかというと、また今度、似たような問題が出てきたときに、同じように正解できるようにしておく、ということです。
ミスした問題も同様。「不正解には二種類ある」ことを確認しましょう。
C)ほんとうは理解していたのにミスしてしまった→これはケアレスミス。
D)理解をしていなくて、間違えるべくして間違えた→これは普通のミス。
そこで私からの提案は、蛍光ペンなり、色ペンなり、4色を用意していただいて、すべての答案を色分けしてみます。あなたが出した解答に、色ペンで線を引いて分類していくのです。丸で囲んでも構いません。要するに「色分け」できればよいのです。
そうして色分けすると、自分の弱点がおぼろげながら見えてきます。
もしAの色だけ、一色で染まっているなら、私は「おめでと!」とお祝いします。賛辞の言葉を惜しみません。
もしDの色が、一面に広がっている場合は、悪いことはいいません。必要に応じて小学生の範囲からもう一度やりなおすべきです。「後戻り学習」です。
そしてCよりも先にBを検討して下さい。なぜならCよりもBの方が「理解していない」わけですから、時間をかけて取り組む必要があるからです。
Cはいちばん最後。ケアレスミスの原因さえわかれば、次に生かせます。でも甘くみてはいけません。Cが最も多いタイプの人は、その原因と対策にしっかり時間をかけないといけませんからね。
「なりたいじぶん」と「現状のじぶん」を比較し、そのギャップを埋める努力こそ「受験勉強」です。
5.4. 過去問に始まり過去問に終わる
過去問題を解くということは、問題作成者があなたの何を試したいのか、その出題傾向を知るという事でもあり、また、あなた自身が、現在、どれだけの力があるのかを確かめることでもあります。
最初に取り掛かって欲しいのは過去問であり、最後に見直して欲しいのも過去問です。
過去問に始まり過去問に終わる。
この格言を忘れないでいて下さい。