激情

「僕の獣欲らしきこの激情に触れて欲しい。」

何を言うにも、あなたはそうやって臭いんだから、それでもって私もその言葉に寄りかかってしまう。
「それで私はその感情に火をつければいい?」
あなたはクスクスと笑って袖から細い腕を伸ばし、ゴツゴツとした手で私の頬を擦る。
ああ、愛らしいと言わんばかりのこの顔だ。
酷い嬌態に指を這わせ、あなたは笑みを浮かべる。
只、「嗜虐心を煽らせらせないで。」

このグロテスクな愛情表現がわたしにはたまらないのだ。また、堕ちて、堕ちて、たまらない。
思わず息を呑んでしまう世界に連れて行って。
私を後戻り出来ない処まで連れて行って。 連れ去ってしまって。
そんな妄想にこびり付いた思想を捨てるように煙草の火を消す。
この感情は獣欲だなんて言い難いくらい醜く愛おしく、手放せたりしないのよ。

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