見出し画像

【イベント開催レポート(質疑応答パート)】Engineering Mix Session ~vol.1 IoTベンチャーの裏側~

こんにちは、E3編集部です。
本日は、12/10(木)に開催した「Engineering Mix Session vol.1 ~IoTベンチャーの裏側~」のうち、ブレイクアウトセッション(質疑応答パート)の内容についてレポートしてまいります!

企業登壇パートでは聞けなかったお話を、少人数に分けてざっくばらんにお話しいただきました。

■MYCITY株式会社(登壇:松尾愛賀 氏)

Q.これからのIoTについてどうお考えですか?

松尾氏:これまではWeb上のサービスを中心にIT業界が盛り上がっていましたが、事業の立ち上げ方、営業やマーケティングのやり方がパターン化して、少し落ち着いてきたのかなという印象があります。そういった中で、これまでとは違う切り口が必要になるIoTサービスに注目が集まってくるのではないかと期待しています。

運営:そうですね。最近は採用の現場でも「Webにすこし飽きて、IoTに興味あります。」とおっしゃられる方が多いです。

また、「社会貢献」と一言でいうと少し軽いですが、何らかの影響を直接世界に与えられる会社に行きたいと思う人も増えてると感じます。

松尾氏:コロナ禍による社会状況の変化で一気に顕在化したことも多いですね。たとえばUber Eatsによって、あの特徴的な鞄と自転車が街中を走り回っているのが当たり前の光景になりました。これからは、スマホやPCの中だけだったWebサービスだけではなく、IoTを活用した日常生活や産業を効率化し支援していくようなサービスが求められるのではないかと思っています。

Q.テスト環境を整えることはかなり重要だと思いますが、テストはどう実施しているのですか?

松尾氏:アプリのバックグラウンド処理で位置情報を検出する動作を安定させるのにはけっこう苦労しました。BLEビーコンさえあればテスト環境はつくれますしある程度の検証はできるのですが、実際にオフィスに導入してみるとそのオフィス特有の条件による障害が出たりと、実環境でしか検証できない問題も多々発生しました。

参加者:それは「異常値が出た!」「何でだろう?」という疑問をひたすら解決する感じでしょうか?

松尾氏:仮想的に構築したテスト環境で解決することもありますし、やはり実際に現地に行ってヒアリングしないと分からない問題もあります。スマホのOSのバージョンが少し古いものだけ異常にバッテリー消費が激しかったりなど、その都度仮説を立てながら問題の根をつぶしていくのが重要でした。

参加者:会社にすでに設置されているものは、セキュリティ面で「アラートがでた!」くらいしかわからないものが多いですね。

松尾氏:そのためにトレーサビリティは重要です。オフィスやユーザーの状況にバリエーションがあるため、詳細なログなどでどのような条件でどんな事象が発生しているのかを把握する必要があります。通信環境面だけでも4GやWi-fi、VPNの有無などさまざまな条件に対応する必要があります。

参加者:確かに導入した企業側のインフラ構成によって、検出しずらい場合もありますよね。

松尾氏:あとスマホアプリはOSの方針変更にも実装が左右されることがあるので、IoTサービスを運営しているところはけっこう苦労していると聞きますね。

例えば、iOS14で「位置情報サービス」の権限がより厳密化されたことによってか、「○○アプリが位置情報を取得しました」といった警告が、そのアプリが動作した時間の位置情報を地図上にプロットしつつ出るようになりました。

弊社のMyPlaceアプリでもこの警告が出るようになり、それを目の当たりにしたユーザから「自宅まで追跡され続けているのではないか」という懸念を報告されたこともありました。われわれのMyPlaceはあくまでBLEビーコンのみを使用した位置情報サービスなのですが、このような警告が出るようになってしまうとその誤解を解くのにもなかなか苦労があります。

■アイディア株式会社(登壇:千葉福太朗 氏)

Q.どういった経緯でアイディア株式会社に入社したのですか?

千葉氏:私自身、船舶や海の業界出身ではなく、もともとソーシャルアプリやゲーム開発を行なっておりました。直近では、IoT製品の研究開発からサービスインまでを一貫して担当しておりました。

様々な分野の開発に関わってきましたが、「海」という分野は初めてで挑戦的な内容であると同時に、今まで自身の培った経験も生かせると思い、入社を決めました。

実際に現場の声を聞いてみると、まだまだアナログで管理している部分が多々あり、デジタル化によって業務効率を飛躍的に向上できる可能性があることにワクワク感を覚えました。

Q.主要な顧客はどのような方ですか?また、ニーズはあるのでしょうか?

千葉氏: 主な顧客は内航海運(貨物船、タンカー)や、港湾事業会社(タグボード、作業船)などが多いです。

ニーズとしては、自社の船舶の管理や業務の効率化のためにご利用いただいています。さらに今後は、漁船やプレジャーボートといった小型船に向け、安全安心をサポートできる操船システムの開発を進めていく予定です。

Q.海の上にはたくさんの船が走っていますが、引き合いは結構あるのですか?

千葉氏:海運会社様の世代交代により、デジタル化の必要性を急務と思う経営者の方々が増えてきています。

また、弊社サービスAiseaは、国土交通省 NETIS(新技術情報提供システム)に登録されており、港湾工事において作業の効率化や安全に対する取り組みとして活用されています。

(※NETISに登録されている技術を使うと、コスト縮減や工期の短縮が期待でき、技術評価点および工事成績表定点の向上が見込めます。)

■デザミス株式会社(登壇:加藤裕 氏)

Q.創業時、IoTと牛はどのようなきっかけで結びついたのですか?

加藤氏:牧場に行く人ってあまり多くないと思うので、確かにきっかけがないように感じる方もいるかもしれませんね。実はデザミスの社長である清家は、もともとパナソニックの子会社で「牧場で使う換気扇」を売る営業マンでした。

その中で様々な農家を訪問し、その多様な課題を聞いている中で、IoTや最新の技術で解決できることもあるのではないかと思い、エンジニアを集めてサービスを立ち上げたというのが発端です。

牧場といっても、肉牛なのか酪農なのか、規模にしても家族経営で10頭くらいのところから、大きいところでは1000~3000頭くらいまで本当に様々です。その中で、いろいろな農家の方の声からサービスを作りあげてきたので、多くのお客様に受け入れられ、今に至っています。

Q.テストはどのように実施しているのですか?現地のテストもあるのでしょうか?

加藤氏:製品の初期段階や機械学習のモデルを作る場合は、協力していただいている農家の方にお願いをして、牛舎にエンジニアが張り付いて正解データを作り、それを突き合わせるというのを繰り返してかなり泥臭く作っています。

それ以外のWebアプリなどは、ヒアリングはするものの直接エンジニアが聞きに行くことはあまりないです。アプリエンジニアは基本的に東京にいるので、IoTに関しては、多くの場合はフィールドエンジニアにお願いして、現地で新しい機能や機器を試してもらっています。また、私自身も現地に行って、働いたりデバイスをテストしたりしています。

参加者:では、フィールドエンジニアの人が現地のテストの中心というですか?

加藤氏:役割分担によりますね。現状のフィールドエンジニアは、ITのエキスパートではないので、高度な機能を扱うことや、ITのエキスパートが手を加える必要があるところは対応できない。よって、必要なスキルセットに応じて役割分担をして、テストを実施しています。

Q.「IoT人材」とは、具体的に何ができる人のことでしょうか?

加藤氏:難しいところですね。IoTに関しては、ハードウェア・ソフトウェア・ネットワーク・ウェブ技術など幅広い知識が必要です。そのため、あまり複数領域をすべてカバーしている人はなかなかいないですね。

しかし、課題を分解していけば「この知識があればできる!」っていうのもすごく多い領域だと思います。例えばWebしかできなくてもWebの世界で解決できるものもあって、その気になればラズパイでNode.jsを動かしてもいいじゃないですか。そのため、突破口もすごく多いのでチャレンジのしがいがあるところだと思います。

私もそうでしたが、入社したその瞬間に全部の技術を持っている必要はない。解決したい課題に対し、持っている技術を活かしながら足りないところは補ってみたり、いろいろ展開して突破できる分野かなと思っています。

IoTエンジニアといってもさまざまです。軸はハードウェアです、C言語ですって人もいれば、Webですという方もいますし、インフラエンジニア出身ですって人もいます。そういった意味で色んなバックグラウンドのチームで一つのモノを作ることができる。そういうものではないかなと私は思っていますね。

参加者:ありがとうございます!いま持っている技術の延長線上でも、結構できる可能性があるとわかり安心しました。

■さいごに

今後も、こういったイベントを積極的に開催していく予定です。最新情報はE3公式Twitterで随時発信しておりますので、ぜひフォローしてみてください!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?