"僕”の起業の物語 パラダイムシフト

前回は↓

3年目の決算が出る。
起業1年目の7倍の売り上げだ。

銀行から金を借りてくれないかと、
遂に言われる程になる。

相変わらず忙しい。
従業員を増やしていないのだから
当たり前だ。

日々の業務に忙殺されぬよう僕は
気をつけていた。

休憩時間、昼休みを利用し、本を読み、
動画などを見る。

まだ何もやりたいかわかっていなかった。
まとまった時間が欲しかった。

そんな時北海道の仕事が入り、二週間ほどの出張となった。

環境を変えてみるのもいいはずだと思いその仕事を
引き受けた。

仕事が五時で終わると後は晩御飯食べて、風呂に入って
あとはホテルの中。
片っ端から本を読んだ。そしてYouTubeで動画を見る。

寝落ちするまで動画を見る、というより聞いていた。

すると、少しずつ、何かを始めたい、行動したい欲求が生まれてくる。

新しい成功法則を見つけた気がした。

音声を何回も聞く。

初めは集中して聞く。
二回目、三回目は何かやりながらでもいい。
とにかく、聞く。

もちろんコンテンツが大事だ。
なんでもいいわけではない。

自分を行動に導く言葉がつまった音声・・・
それを繰り返し聞くのだ。

そして動画、本での情報収集の結果、ある言葉が
重複してでてくる。

「発信」

発信する時代になったのだ。
いま稼いでいる人は発信する人だ。
しかも無料で・・・

先に価値を提供できる人が今の時代の
稼ぐ人だった。

僕はSNSを何もやっていなかった。
LINEのアプリはあるが連絡用としてだけ。
タイムラインに投稿したことは一度もない。

完全にただの食わず嫌い。
個人情報がもれる、とか、炎上怖い、とか言って。

(やってみるか)
なにか始めなければ、何も変わらない。

とりあえずTwitterから始めよう。そう思い、アプリを
インストールした。

はじめてのツイート。
なにを書けばいいのだ?見当もつかない。

とりあえず沢山の本を読んだので、そのことを
ツイートしよう。
一時間くらい考えたが、なかなか言葉がでてこない。

(結構、むずかしいな)

結局、ひねりもなにもないつぶやきをした。

しばらく誰も見てくれなかった・・・

まあフォロアーゼロなんだから当たり前だが。

しばらくするを10人くらいどうやら見たらしい。

なんか嬉しくなる。
しばらくすると「いいね」を一つもらえた。

(おお~)

もしそこにいいね!した人がいたのなら
手を取ってありがとう!って言いたい気分になった。

(なんか、これ面白いな)

素直にそう思う。

とにかく発信し続けよう。
なにかが分かるまで。

とにかく、まず毎日必ず一つはツイートすることに決めた。

なにか有益な情報や考え方を伝えよう。そう決めた。

収益にはならないだろう。

でもそれでいい。

先に価値を提供できる人間になるんだ。

有形なもの(お金)に価値を置くのはやめよう。
無形のもの、目に見えないが有益なものを
大切にしよう。

いいね!ひとつでこんなにも気分がいいのだから。

北国のビジネスホテルで舞い散る雪を見ながら
僕はそう思った。

この時、僕のパラダイムはシフトしたのだ。

Twitterを始めて二週間ほどたったころ、ブログを書き始めた。
少しずつ発信することに慣れてきた。

皆、礼儀をわきまえていたし、勧誘はうざかったが
無視すればいいだけで、特に支障がなかった。
ツイートすると、すぐレスポンスが返ってくる。
面白い。

ツイッターを見てるとブログをやっている人が多かった。
僕の中ではブログはオワコンのイメージがあった。
世の中では動画が全盛期でユーチューバーが子供達の
憧れになっている。

人の日記読んで何が面白いの?と冷めた目で見ていたが、
これもただの食わず嫌いだった。

皆、日記を書いている訳ではなかった。
大半は広告収入を得るためレビューを書いている人
が多いイメージだった。

とにかく発信すること。
それに慣れたら動画の方に行ってもいいし・・・
ぐらいの感覚でブログを書き始めた。

それが、没頭した。
きっとだれも読んでくれないであろう記事を
書くのに、一時間半。
苦痛に思わなかった。
むしろ楽しい・・・

(そういえば若いころ小説家になりたかったんだっけ・・)

ふと思い出す。

(そういえば昔から文を書くのが好きだったな・・・)

(・・・・)

(・・・ここにあったのか。)

書くこと。そして、それを発信して、誰かに読んでもらうこと。

僕が本当にしたかったのはこれだったのだ。

小説家やライターなど一部の限られた人しかなれない。
そう思って心に蓋をしていた。
本当に今の、いままで気付かなかった。

時代が誰でも発信できる時代に変化していたのだ。

書こう。何かを。そして発信しよう。

そう決意する。

そして収益化する。

その収益を投資して、今度こそ本当の会社を作る。

皆に有益な情報や、面白い動画やコンテンツを提供する会社を。

ここに僕の使命、ミッションが決まった。

かならず収益化しよう。儲けたいからではなく、
ずっと書いていたいから・・・

どの成功法則の本にもミッションをもて。と書いてある。
なんかキレイごとを書いてみたりする。
でも今その時なにを書いたか全く覚えていない。

ミッション、使命なんて頭で考えたって分かりっこない。

人生の流れの中で、ある瞬間にふと分かるものなんだ。

そう思った。

もっと若いうちから悟っている人もいる。

半面、きっと目の前を答えが通り過ぎても
気付かない人もいるだろう。

僕はあの人生に岐路、
600万の仕事を断った時、この道が開けた。

正解を選んだんだなと僕は思った。

こうやって後から分かるものなんだ。

だから今を懸命に生きるしかない。
答えは後から分かるのだから。

時間は未来から過去へと流れていく。

僕たちはただ現在、今という足元を見ながら
懸命にステップを踏み続ける。

そうすれば、ふと周りを見渡すと「こんなところまで
きたのか・・」と気づくはずだ。

まだまだ今の仕事は辞められない。

でも気分は爽快だ。

だって成功は約束されているから。

自分のエネルギーの源泉を突き止めたのだ。
いくらでもやれる。
努力を努力と感じないんだ。
成功は必然だ。

さあ、家に帰ろう。

「パパ、パパってなんのお仕事しているの」

「パパはね、みんなが楽しくなるように、
 文章を書いているんだよ。・・・」

  第一部      完

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