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日本語学習者のための便利ツールの紹介

前回のnoteで、日本語学習者の目線で、授業を設計するということを考えてみました。

最後に、ITエンジニアの学習者が使いこなしていたツールを紹介しようと思ったのですが、情報量が多くなってしまうと思ったため、改めてこちらにまとめることにしました。

今回、ご紹介するのは、「日本語で書かれた情報を理解するためのツール」です。

授業では、Webサイトを検索し、そこに書かれた情報を読み込むということもしていましたので、その時に、様々な拡張機能やアプリを活用していました。

彼らは、基本、PCを使用していたので、Google Chrome 、もしくは、Safari で使えるものが中心なんですが、同じような機能がスマホでも使えないかなーと、私自身もあれこれ探して、使ってみたものも合わせて紹介します。

といっても、便利なツールは、無限にありますので、ぜひ、学習者自身が、自分の目的に合わせて、いろいろ試してみてほしいです。

といういうことで、スタート。

1) Google翻訳

言わずとしれたGoogle翻訳。これについては、だいぶ前に、noteでも書きました。(1年以上前の記事になりますので、情報が古くなっているかもしれません)

賛否両論あると思いますが、実際に多用してみると、付き合い方に工夫が必要だということがわかってきました。どのように入力すればより精度が上がるのかなども、検討の余地があります。ただ、その辺のより良い使い方も、今後、言語教育の一つと考えていってもいいのではないかと感じています。むしろ、積極的に使用することによって、できることに広がりが出てきますし、使うことの利点の方が多いと思います。

で、今回、改めてご紹介したいのは、スマホアプリの方です。ほぼ全ての学習者がスマホを所有しているので、アプリさえダウンロードすれば誰でも使えます。

下のように文字をスキャンして、翻訳したいところを指でなぞると、こんな感じで、それぞれの母語に翻訳してくれます。(どのくらい精度なのか、知らない言語だと判断ができないので、とりあえず、英語にしてみました)

画像1

「日本語<->英語」では、だいぶ精度が上がってきましたが、「日本語<->英語」以外の言語では、まだまだ精度が低いものもあるようです。また、ミャンマー語など、独特の文字体系を持っている言語では、以下のような対応になることもあります。
・日本語 → ミャンマー語 OK
・ミャンマー語 → 日本語 NG

カメラでリアルタイムに表示することもできますが、長い文は、ちょっと表示が難しいと思いました。単語レベルであれば、十分いけると思います。
(写真は「使用説明書」のミャンマー語。正確さは、私には判断できません)

使用説明書

2)漢字にふりがなをつけてくれるツール

最近、「やさしい日本語」の普及で、漢字をひらがなで表記したり、漢字にふりがなをつけた状態で情報提供されていることがありますが、漢字に自動的にふりがなをつけてくれるツールもあります。

例えば、PCの拡張機能には、下のようなものがあります。この拡張機能を使うと、Webサイトの漢字にふりがながつけてくれます。

Google Chrome版
IPA furigana

Safariの場合は、こちら。
Furiganify!

たまに音訓の選択が正しくされていないものもありますが、こちらも精度が上がってきています。もちろん、100%正確であるに越したことはないのですが、「間違っているものもある」という前提で使えばいいわけですし、わずかな間違いのために、使わないというのももったいないと思います。この辺も「バグがあるのは当たり前」と考え、テクノロジーと付き合う時のリテラシーと考えればよいかと思います。

やはり、こちらもスマホで使えると便利です。ということで、こんなアプリもあります。

Android版|ふりがな

iOS版|ふりがな

私は、iPhoneユーザーなので、iPhoneでしか試していませんが、SafariやGoogleで立ち上げたWebサイトにふりがなをつけることができます。それ以外では、テキストをコピペしてから、このアプリを立ち上げると、自動的にふりがなをつけてくれます。辞書機能も使えます。例えば、Twitterのツイートをコピーしてから、このアプリを立ち上げ、漢字の読みや意味を調べるということができます。

次のアプリも似たような機能を備えています。ふりがなをつけてくれるだけでなく、タップして意味が確認できる辞書機能も備えているので、かなり便利です。フラッシュカードや単語帳の機能もありますが、使用には課金が必要です。また、対応している言語は、英語、ドイツ語、スペイン語、フランス語、中国語(簡体、繁体)のみです。

iOS版|Nihongo - Japanese Dictionary

Android版は、見つからなかったんですが、どなたかご存知の方、いませんか? ぜひ、コメント欄にご紹介ください。

3)辞書機能

辞書は、本当にいろいろあるので、それこそ、自分の好きなものを選んで使えばいいと思います。PC版で言えば、以下の機能はすごいなーと思います。学生もよく使っていました。

Chrome版|rikaikun

Chrome版|rikaichan

Safariでは使えないのが残念ですが、Macでは、調べたい言葉を選択し、3本指でタップすれば辞書が開くので、それほど必要性を感じないかもしれません。辞書も、好きな言語を選択して編集することができますし、言語の選択の幅も広いです。

iOSでも、同じように語彙を選択してタップすれば簡単に調べられるので、最近は、辞書をわざわざ開くことも少なくなってきました。

逆に、PDFになっていたり、画像で貼り付けてあったりすると、この機能が使えないので、(ふりがなアプリも同様)このような機能を使えるようにするには、テキストデータで、資料を提供する必要があります。

「やさしい日本語」による配信では、日本語の文章にふりがなをつけた状態の画像データやPDFが提供されることがあります。そのような場合、上記のような機能が使えず、日本語だけで理解しなければならないので、逆に、ある程度の日本語力が必要だなと思っています。

これらのツールを授業に生かすために

このように便利なアプリはたくさんあるのですが、学習者の母語全てに対応しているわけではありません。教師側が全て調べて提供するのは無理があります。学習者自身も自分の使いやすいものを積極的に探す必要があると思っています。自分のオススメのアプリを見つけて、プレゼンするというだけでも、一つの授業になりそうです。

私も、様々なツールを試していますが、実際に使用してみると、慣れるまでは、意識して使う必要があると感じました。また、このようなツールを使うことを習慣化するためには、然るべきツールを使いこなしてまでして、何かを成し遂げたいと思える状況にあるかどうかも重要だと思いました。

なんだかんだ言って、Google翻訳は便利ですし、手軽なので、どうしてもそういうツールに頼ってしまいます。わざわざ漢字にふりがなをつけて、さらに、辞書で調べて理解するには、そこまでして、その情報を知りたいという強いモチベーションが必要です。そういう状況をいかに授業に組み込むか、ということも授業設計には必要なのではないかと思いました。


ということで、ここでは、様々な拡張機能やアプリを紹介しました。
ただ、このようなテクノロジーはどんどんアップデートしていきますし、新しいアプリも次々に出てきます。もし、ここで紹介した以外にも、こんな便利なものがあるよ、という情報をお持ちでしたら、ぜひ、コメント蘭に共有していただけると、非常に助かります。

今回もお読みいただき、ありがとうございました。

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