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外国人のリアルな声を発信するプロジェクト「VOICEにほんご」を始めます!

突然ですが、プロジェクトを始めることにしました。

その名も「VOICEにほんご」プロジェクトです。日本で暮らす外国人当事者のリアルな声を集め、日本語で発信しようというのがプロジェクトの目的です。
そのために、noteをプラットフォームとして使おうと思います。
早速ですが、プロジェクト専用のnoteを作りました。
(ぜひ、フォローをお願いします)

今回は、発起人である私がプロジェクトを始めるにあたって考えたことを書いておきたいと思います。

なぜ「VOICEにほんご」プロジェクトを始めたのか?

法務省の2020年3月27日の発表資料(令和元年末現在における在留外国人数について)によると、2019年末、日本には、293万人3137人の外国人が暮らしています。

今回のコロナ禍の影響で、その数は、多少変わっているとは思いますが、大きく変わっているのは、新たに入国する外国人数であって、2019年末に、日本で暮らしていた外国人は、ほぼ現在も日本で暮らしていると考えられます。

法務省の資料をもとに、在留資格別にみてみると、数が多い順に、

永住者:793,164人(構成比27.0%)
技能実習生:410,972人(構成比14.0%)
留学:345,791人(構成比11.8%)

となります。

永住者の多くは、日系ブラジル人やその家族のように、長年(基準では10年以上)日本で暮らしています。生活基盤が日本にあるという人が中心になるのではないかと思います。さらに、資格別にみると、多くの技能実習生留学生も日本で暮らしているのがわかります。この3つの在留資格だけで、日本で暮らす外国人の50%以上になります。(改めて数字を確認して、これほど技能実習生が増えていることに驚きました)

私は、これまで、ここに挙げられた在留資格を持つ人々と関わってきました。今回のコロナ禍においても、多くの人が影響を受けていると想像できます。徐々に報道もされるようになってきました。しかし、ここに数字としてカウントされている外国人当事者の声というのは、なかなか届いてきません。

日本語教育という業界にいる私でさえ、日本で暮らす外国人当事者の様子は、報道によって知ることが多く、記者やジャーナリストが書いたものによって情報を得ています。日本語教育の関係者の間でも報道記事がシェアされ、拡散されています。

このような報道によって、あまり関心がない人にまで現状が拡散されることは非常に意味があると思います。しかし、今現在、日本で暮らす外国人が実際に何を思い、どんな暮らしをしているのか、記者や第三者のフィルターを通したことばで発信するのではなく、当事者自らが発信するべきではないかと、私は思っています。その当事者には、現場に関わっている日本語教師自身も含まれると思います。個々に発信している方もいらっしゃいますが、その声はなかなか外の世界に届きません。やはり、無名の一個人の声がきちんと届くようにするためには、何らかのプラットフォームが必要だと思うのです。そのプラットフォームがないのであれば作ればいい。そして、それなら私にもできるのではないかと思いました。

今、日本語教師にできること

海外からの入国が制限され、日本語学校は非常に厳しい状況になっています。また、日本全国に緊急事態宣言が出され、通常の授業を行うことができなくなったことにより、授業のオンライン化が進められています。私たち日本語教師は、今日の授業をどうするかということで、頭の中がいっぱいになっています。今まで経験したことがないことが現実に起こっているのですから、それへの対応を優先させることはどうしても必要なことです。

しかし、何回かnoteにも書いていますが、授業のオンライン化に当たって、どうしても、オンライン化に伴う技術的なことが中心に議論され、本来、優先して考えられるべき学習の目的や学びの質については、なおざりにされがちです。

全国的な緊急事態宣言は解かれたものの、今の状況はそう簡単に収まりそうにありません。この状況は、緩急の差はあっても、今後しばらく続くでしょう。長期化することも予想されます。

対面授業ができるようになってよかった、じゃ、今までの授業に戻しましょうという、その場しのぎの一時的な対策のみを考えるのではなく、今後を見通して、未来に向けて徐々にシフトチェンジをしていく必要があると思っています。コロナ禍以前の状況に社会全体の仕組みが戻ることはないと思うからです。

ここで、改めて考えてみたいのは、「私たち日本語教師に何ができるのか」ということです。そもそも、何のために「日本語」を学ぶのでしょうか。

私は、今、日本語教師がやるべきことは、当事者である外国人の声を「日本語」という形で表現できるようにし、それを発信していくことではないかと思っています。

日本語教師は、日々の教室の中で様々な学習者の声と対峙しています。しかし、その声は、教室や教師との1対1のやりとりの中だけで収束していきます。もしくは、「正しい文法」「正しい日本語」を優先させ、本当に学習者が言いたいことを赤線で消してしまっているかもしれません。

しかし、本来「言語教師」がやるべきことは、学習者の言葉にならない思いや声を言語化し、他者に伝えられるようにする、あるいは伝えていくことではないでしょうか。報道記者やジャーナリストに頼るのではなく、当事者の思いは当事者自らが発信していくべきです。自分の声を他人に委ねていはいけないと思います。そのための力になれるのが「言語教師」だと、私は思っています。

学習者の声を教室の外へ

そうはいっても、何をどうすればいいのか、どのように発信すればいいのか、考えなければならないことだらけの状況の中で一人でできることは限られてきます。

そこで、どうすればいいか一緒に考え、発信できる場を作りたいと思いました。

このプロジェクトを通して、本来「言語教師」がやるべきこととは何かを考え、議論をし、そして、形にしていきたいと思っています。

私たちが仕事の場としている「教室」には、様々な声が詰まっています。それは、オンラインという場に移っても同じです。その貴重な声を丁寧に言語化し、発信のための場にできたら、言語教育はとてもクリエイティブで、ワクワクする仕事になるのではないかと思います。学習者の豊かな発想や声を教室の中だけに留めておくのは非常にもったいない。単なる教師の自己満足で終わらせてしまってはいけないと思うのです。


これまで、現場を変えたい、自分の実践をより良くしたいという日本語教師の声を聞いてきました。私は、ただ現場を非難するだけでなく、そういう教師の想いをきちんと形にできる方法を考え、提供したいと思います。

プロジェクトの概要については、プロジェクト用アカウントの記事に書きました。

リモートワークが一般化し、世の中がよりオンラインを通した活動にシフトしていく今だからこそ、このような活動が必要になるのではないかと思っています。クリエイティブな言語教師を目指したいという方、ぜひ一緒にプロジェクトを盛り上げ、未来の言語教育のあり方を考えていきましょう。

参加、お待ちしてます!

共感していただけてうれしいです。未来の言語教育のために、何ができるかを考え、行動していきたいと思います。ありがとうございます!