「Vulfpeck」の音楽を堪能する。

最近良く聴いてる音楽がある。タイトルの通り「Vulfpeck」だ。読み方は「バフペック」。知った当初、僕は「バルフペック」かと勘違いしていた。彼らはアメリカはロサンゼルスを拠点に活動している音楽バンドで、レーベルは「Vulf Records」どうやら自主レーベルのようだ。出身はミシガン州アナーバー。まずは、メンバーのバイオグラフィーを見てみましょう。

・Jack Stratton(キーボード・ギター・ドラム)

彼はすごくマルチなプレイヤーで、演奏だけでなく作曲・映像制作も手がけます。クリーブランド出身ですね、話が合いそうです。影響を受けたドラマーは、バーナード・パーディ。彼はVulfpeckのライブにも訪れているそう。

・Joe Dart(ベース)

僕は彼のプレイを見て一瞬で惚れ込みました。僕も中高とベースを弾いていた経験があるので、彼の出す独創的なグルーヴや、安定感(主にリズムキープ)がいかに高いレベルかが身にしみてわかります。影響を受けたバンドはレッド・ホット・チリ・ペッパーズ/タワー・オブ・パワー/アース・ウインド&ファイアー。完全なミクスチャー/ファンク畑のプレイヤーですね。

・Theo Katzman(ピアノ・ドラム・ギター)
テオもジャックと同様にマルチプレイヤーです。曲によってはボーカルを担当したり、作曲も行います。NY出身なので生粋のシティボーイのよう。

・Woody Goss(ピアノ)
セロニアス・モンクに影響を受けてピアノを始めたそうです。ウッディはファンクへの造詣がとても深いプレイヤーです。彼の作曲する曲からはその片鱗が伺えます。

(左がTheo Katzman、右がWoody Goss)

バンド全体で影響を受けたのは、ファンク・ブラザーズ/レッキングクルー/マッスル・ショールズリズムセクションと語っています。ゲスト・サポートミュージシャンには、Antwaun Stanley/Joey Dosik,/David T. Walker,/Bernard Purdie/ Blake Mills/Cory Wongを迎えているようです。

彼ら名前が世にと轟いたある事件がります。彼らはSpotifyに「無音の曲(アルバムタイトルはSleepify)」を10曲アップロードして、その曲をファンに「寝ながら聴いてほしい」とアナウンスし、その再生回数で得た印税2万ドルを使って全国ツアーを行いました。前代未聞ですね。僕はこの型破りな方法に度肝を抜かれました。Spotifyを利用したクラウドファンディングです。ツアーのタイトルも「Sleepify Tour」。で、Spotifyの対応はというと。。

普通ならこのあたりで Spotify 側に気付かれ、アルバムも削除されてしまうところですが Spotify の対応は違いました。広報担当者いわく「我々は VULFPECK の過去の楽曲が大好きだし、Sleepify アルバムは実験音楽家ジョン・ケージの作品みたいだ」と、意外すぎる好評価。宣伝にもなると踏んだのか、いまのところお咎めはありません。

ジョン・ケージ。「4分33秒」で有名な作曲家ですね。音楽は音を鳴らすものという常識を覆す「無音の音楽」の提唱者。観客が鼻を鳴らす音や鳥のさえずり、周りの環境音も含めて一つの音楽であると説いた実験音楽家です。

Vulfpeckは今日までに4枚のシングルと3枚(Sleepifyを含む)のアルバムをリリースしています。1枚目のアルバム「thrill of the arts」は評判がすこぶる悪いですね。しかし、2枚目「Sleepify」は置いといて、3枚目の「the beautiful game」は屈指の名盤だと感じます。日本でもtofubeatsやSuchmosのYONCE、LuckyTapesの高橋海もVulfpeckを賞賛しているようです。

では実際に聴いてみましょう。お気に入りの曲を5曲ほどクリップします。


間違いないサウンドですよね。ゲストボーカル制をとっているのも飽きさせない工夫だと思います。ミニマルとかファンクとかそういうジャンルで片付けてしまうがもったいなくなるバンドで、このホームパーティー感もリスナーをひきつける魅力の一つであり、皆に作曲できる能力があって、誰が欠けてもバンドとして成立しない。これがビートルズの時代から残る良い音楽の条件だと僕は思います。2017年はVulfpeckから目が離せそうにありません。