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カンボジアで成長できる場を提供しながら強いチームづくりを!【 起業から4年目の今】CEO 兼 IT エンジニアの吉田さんにインタビュー【後編】

-- 起業から4年が経ちますが、その過程や現状はいかがでしょうか? --

 起業時のメンバーは私一人だけでしたが、今では15名ほどの会社になりました。スタッフたちはモチベーションが高くて、技術面でどんどん伸びているし、とてもいいメンバーが集まってくれたと思います。技術の共有を優先課題として、個々人の成長だけでなくてチームでの成長を目指すマインドが根付いています。

 ただ、それでもまだ人員不足な状況で、特に日系のお客様と現地エンジニアとの橋渡しをする日本人エンジニアが必要だと感じており随時募集しています。出勤時間はコアタイムの前後2時間をフレックスタイムとしていて、勤務場所はオフィスと自宅のリモートワークを組み合わせてもらい、なるべく時間と場所に自由度を持たせるようにしています。土曜日の午前中も稼働していますが、この日はミーティングで情報共有をしたり、学んだ技術についてのプレゼンテーションをしたり、会社をよくするためにどうしたらよいかを議論したりと、日々の業務とは違ったことに時間を使っています。

 仕事の内容はITの中でもWeb関連のエンジニアリングで、Webサイトの開発や保守運用、新しい技術の調査とそれを活かしたシステム高度化などになります。それを担当できるようにエンジニアとしてのスキルが求められることと、社内はもちろんなのですがお客様とのミーティングでも英語を使うことが多いので、英会話でのコミュニケーション能力が必要になります。このような環境において、働き初めの頃は戸惑うことや厳しいところもあるかもしれませんが、私自身がまさに同じキャリアを歩んできてその結果成長できた実感があるので、似た考えを持っている人にとっては良い環境かもしれません。 

 会社の現状に関しての話に移ると、現在2つのチームに分かれて仕事をしています。1つ目はインフラエンジニアリング事業で、お客様のシステム開発事業に参加して、サーバのセットアップや既存システムのメンテナンス、新しい仕組みの提案や構築、それによる高度化・自動化・安定化・低コスト化などのメリットを出していくというものです。主に使うOSがLinuxなので、Linuxサーバに関する深い知識が要求されます。ターミナルと呼ばれる、黒い背景に文字だけしか表示されないようなアプリを使って仕事をすることが多くて、慣れないうちは操作が難しいのですが、しばらくすると皆バリバリに使いこなしていて、今では私よりも仕事の早いメンバーも出てきました。求められるレベルはとても高いのですが、モチベーション次第でいくらでも技術を伸ばせる業務だと思います。

 2つ目はシステム開発事業で、これもお客様のシステム開発チームにカンボジア人のエンジニアと参加して、サーバサイドのプログラミングやインフラ構築、フロントエンドのコーディングなどを実施します。特定のプロジェクトだけではなくて、複数プロジェクトを並行して進めているので、多様なプロジェクトで活躍できるようにWeb全般の広い知識が必要になります。合わせて、ブリッジエンジニアとしての開発ディレクションが必須なので、チームマネジメントと顧客折衝をマルチタスクに進めていくことになります。そのため、業務をうまく進められれば、IT技術だけでなくて時間管理とコミュニケーションスキルの面でも成長が見込まれると思います。

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-- 吉田さんはエンジニアの育成に重点を置かれていますが、スタッフに対してどのような関わり方をしていますか? --

 エンジニア育成で私が気にしていることは、どうすると自発的にスキル向上を目指してもらえるか、ということです。例えば何かの課題について、この方法は楽だけれどあまりチャレンジがない、例えると簡単な手作業で一時的に応急処置をすることなどでしょうか、反対にこの方法はチャレンジングだけれど達成の見通しがある程度立っていてメリットも大きい、こちらは工程を自動化して有用な仕組みを作ることに例えられます、としたときに、なるべくメリットの大きい方を選んでもらえるようにスタッフに提案しています。難しい課題に挑戦してクリアできれば自分のスキルになるし、自信もついて、さらに獲得した技術を社内で共有できれば会社の財産にもなります。これは、「この方法にしなさい」と命令するのでは一時的にしか効果がなくて、永続的に自発的にレベルアップを目指してもらうことはできません。私も含めて、お互いスキルアップを目指していこうと話をして、共通認識を持ってもらえるように心がけています。

 あとは、既存のシステムの理解を大事にするということです。理解があいまいなままだとよくわからないまま作業をしてしまって、ときに大きな問題を起こしてしまいます。ちゃんと理解できているのかを知るために、おかしな判断をしていると思ったときには、なぜそういう判断をしたのかしつこく理由を聞くようにしています。これにはうんざりされることも多いのですが、そうでないと大事な仕事は任せられないと思っています。理解できればあなたのスキルは上がっていくので、ここで諦めるのはもったいないと粘り強く伝えるようにしています。そのような取り組みが理解されているのか、創業時からのカンボジア人エンジニアの定着率はとても高くなっています。

-- ITエンジニア人材の適正についてお聞かせください。 --

 まず技術面でいうと、理解するまで考える人は活躍できると思います。大抵のものごとは一度理解すれば忘れることはないし、次の内容も吸収できます。反対に、理解を怠ると次の内容には進めません。ということで、日々の業務を理解してきた人とそうでない人では、半年もすると全然違った成長度合いになると思っています。せっかく同じ時間を費やすのなら、成長できたほうがいいですよね。

 そしてメンタルの部分では、コミュニケーションを臆さずにできることが大事でしょうか。会話で済むようなことはチャットでなくて席に行って会話すると、スムーズに話が進んだという経験は皆さんあると思います。直接話してよかった、と思うことは多いのですが、その逆に会話しないほうが良かった、と思うことはほとんどない気がします。フットワークが軽くて、チームのメンバーと円滑に会話をしやすい空気を作れる人は強いと思います。

 あとはやる気があり、本人の意思がはっきりしていることも重要です。弊社の採用方針としては、経験豊富なエンジニアの方はもちろんですが、たとえ未経験であっても最低限のスキルと強いチャレンジ精神のある方でしたらいつでも歓迎しています。 

 また、関連職種としてカスタマーサポート担当も募集しています。この仕事では、パートナー企業様と共同でWebサービスのエンドユーザー向けに各種サポートサービスを提供します。これもエンジニア職と同様に、ITとWebに関する広範な知識が求められます。さらには、技術やサービスの内容を理解した上で、ユーザー様に正しい内容をご案内しなければならないので、論理的な思考力と、ビジネスで通用するレベルの正しい言葉遣いが必要です。求められる能力は高いのですが、IT関連スキルとビジネス全般のスキルの両方を高いレベルで身につけられるから、とても成長できる職種ですね。ユーザー様からのお問い合わせに適切なご案内をして解決に導くことができると、ユーザー様も喜ばれますし、やりがいも感じられます。通話ではなく文書ベースでのお問い合わせ形式ですので、取り組む際の心理的なハードルも低いのでは思います。業界経験がなかったとしても大丈夫ですが、IT分野に対して強い興味関心を持っていることが成長する上では大事ですね。

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-- カンボジアで働くメリットは何だと思いますか? --

 海外にいて外国人と働くことは、日本に住んでいたらなかなかできない経験ですし、英語も身について異文化に触れることもできます。弊社には日本人スタッフもいるので、必要な知識は日本語でレクチャーを受けられることも特長です。またオフィスのある首都プノンペンは、急速な経済成長を肌で感じることのできる面白い都市だと感じています。日本と比較すると若い年代の人がとにかく多いので、街からも活気を感じます。そのような場所で、国や都市の成長と合わせて自身の成長を目指していけるのが大きな魅力だと思います。

-- 吉田さんは、起業して4年目、カンボジア生活は6年になりますが、ここで生活していて感じたことを聞かせてください。 --

 特に都市部プノンペンの街はすごいスピードで変わってきていると感じます。5年ほど前はトゥクトゥク(バイク型タクシー)で移動するのも、行き先を伝えて値段交渉が成立してからでないと利用が難しく、経路をナビゲートするのも大変だったのですが、今では呼び出しも支払いもナビもモバイルアプリで対応できるようになりました。食事や日々の買い物もデリバリーで代替できます。店頭での支払いも、ある程度の規模になるとほとんどの店舗がキャッシュレスに対応しています。現金は、屋台での買い物以外では使わなくなりました。

 それと、カンボジアは祝日が多くて、カンボジア正月などの長期のお休みが年に数回あるのですが、その様子も変わってきた気がします。以前は、長期休みの時には一斉に休むというのが通例で、里帰りシーズンには街から一斉に人がいなくなっていました。でも最近は、一斉には休まないようで開いているお店も多くて、常に街が動いているというか、経済を止めないようにしている様子が見られます。その結果、外国人にとっては暮らしやすくなった面もあります。

 あと私自身の生活でいうと、マラソンやサイクリングや水泳が趣味で、たまにリバーサイドを走ったり、プールで泳いだりしてます。以前はトライアスロンの大会にも出ていまして、がんばったらその分だけ成果が見えるものが好きですね。最近は時間がなくてあまり運動ができていませんが、カンボジアではサイクリングの人気が高まっているようですので、私も時間を作って自転車でカンボジアの各地を回ってみたいですね。

-- 今後はどのような目標を持っていますか? --
 起業当時からの理念である、「高い技術力を備えたITエンジニアを育成し、国際的に活躍できるエンジニアチーム」を作りたいと考えています。幸運にもメンバーに恵まれましたので、さらに強いチームに育てていって、カンボジアだけでなくて世界的に見てもハイレベルなIT企業にしていきたいです。これからも弊社では、「最新テクノロジーに高い関心を持つ」「グローバルな環境に物怖じせず飛び込める」「人・仕事に対して誠実である」メンバーを求めています。

 それから、私の場合は縁があってここで起業して、6年間の生活からカンボジアに愛着も芽生えましたし、これまでにお世話になった思いがありますので、何かしらカンボジアに恩返しがしたいと思っています。今後、学生などの若い人たちに無償でIT教育を提供できるように計画しています。興味を持った人がいつでも参加できるように、ここのオフィスで実施してもいいですし、オンラインで実施する形でもいいですので、各自が成長できる場を提供していきたいです。

(2022年2月インタビュー)


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