使用上のコツ

更新:2022年4月

このページでは DynaVap で煙草葉を美味しく吸うためのコツや、便利に使うための工夫、クリーニング方法、メンテナンス等を紹介しています。

事前準備と予備知識

組立と分解

組立と分解は本体購入時に付属するインストラクションをご覧いただければ問題なくできるかと思います。ただ、Condenser に装着する X-Ring(切断面がXになる太いリング)の大小サイズは区別しにくいので間違えやすいかもしれない(まぁ、取付時の違和感で気づくと思いますが)。

組立分解時には別途工具類を揃える必要はありません。Cap の Digger Outer(柄の部分)で Condenser を押し出せますし、その外した Condenser をTip 内に突っ込めば CCD(スクリーン)の着脱ができます。Tip のO-Ring も Digger Outer で外せます。本体だけで組立分解が完結する。


使用前の清掃とクリックの確認

商品が届いたら使用前にまずは各パーツをばらして無水エタノール+綿棒/ティッシュでひと拭きした方が良い(Cap 内の Snap Disks へのアルコール類使用は厳禁なので内側は避ける)。製造時に付着した汚れや油が残っている場合がある。

清掃後は組み直し、まずは煙草を入れずに炙って加熱時と冷却時に2回クリックするか等、インストラクション通りの挙動をするか確認してみましょう。ごく稀にですが2枚の Snap Disks のうち1枚が入っていなかったり、破損している場合があるようです。


Cap のフィット

まずは The Cap (Normal Cap) について。(Captive Cap については後述)

新品の状態でフィットが緩いのは不良ではなく正常です。滑り落ちるくらい緩い場合にはロゴ面を軽く押しつぶすと、Digger Outer(柄の部分)が放熱フィンにあたるようになり、フィットがきつくなりますのでお試しください。

それでも緩い場合は吸殻の粉を Digger Outer 内側に擦り付けると摩擦が増すのでよりフィットすると思います。まぁ、使っていくうちに熱で縮んできたり、Cap 内側や Tip に汚れが堆積してフィットするようになるのでご安心を。

Captive Cap は、(ロゴ面を正面とすると)両側面に滑り落ちを防ぐための内側への凹み窪みが付いているので、両側面を押し潰すとその凹みがより噛むようになるので滑り落ちにくくなる。

ただ、やりすぎると外しにくくなりますし、Digger Outer がフィンに当たらなくなるので、(滑り落ちることはありませんが)Cap が動きやすくなる。まぁ、ある意味、この方がクリック時に Cap の跳ね上がりが"見える"ので便利なこともあるのかもしれないですね。騒がしい場所だとクリック音が聞こえないときがありますし。

両 Cap 共に、DynaMag(net) で外したい場合は、磁力で外せる適当なフィット感に微調整してみてください。


クリックについて

クリックは大概2回鳴ります。「チッ」と小さめの音のファーストクリック、そして「カチッ!」っと大きめの音のセカンドクリック。ですが時折「カチッ!」と1回だけのこともあります。

これはAkiさんに教えていただいたのですが、正確にはクリックを担う Snap Disk が Cap 天井に2枚入っており、それぞれが1回ずつクリックする。だから同時にクリックしてしまうと「カチッ!」の1回にしか聞こえない。

加熱時にクリックを2回鳴らすと冷却時も同様に「チッ」、「カチッ!」と2回のクリックがあります。「チッ」の冷却クリックだけで再加熱しても問題ありません。ただ、冷却時に「チッ」しか鳴っていない状態で再加熱を行うと、加熱時は「カチッ!」っと1回しか鳴りませんのでご注意を。

DynaVap 公式によりますと、「カチッ!」のセカンドクリックはただの"予備"クリックでしかなく、「チッ」のファーストクリックで加熱を止めて combustion を回避できる温度で吸うことを推奨しているようです。

個人的には、セカンドクリック+αまで加熱した方が満足感のある喫味になると思います。ですが喫味に関しては個々人の好みがあります。ファーストクリックとセカンドクリック(あるいはその数秒後)、そして次に紹介している Cap の炙り位置による温度調整を基に、ご自身が好きな喫味に調整してみてください。


Cap 炙り位置による温度調整

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上の図の通り、Cap の炙り位置によってクリック時点での抽出温度を調整できる。先端だと低温で根元だと高温。(上の図中の温度は「チッ」というファーストクリックで炙り加熱をストップした時の目安の温度)

Snap Disk 自体は200℃位になると加熱クリックして、180℃位まで下がると冷却クリックする。ですので、先端を炙ると Cap 天井内の Snap Disk 周辺だけが先に200℃になり、Tip 全体では200℃以下での抽出温度となる。逆に根元を炙ると Tip 全体が200℃を超えてから Snap Disk がクリックするので、抽出温度は200℃以上となる。

※上記の参考温度は「チッ」というファーストクリックで加熱を止めた時の温度です。「カチッ!」というセカンドクリックまで加熱した場合には上記の温度以上になります。


Snap Disk の耐久性

セカンドクリック後に何秒間炙り続けると Snap Disk にダメージがあるのか?という疑問ですが、トリプルフレームトーチでセカンドクリック後3秒位までは許容範囲だそうです。Snap Disk の寿命を伸ばしたい方は5秒以上はやめたほうがいいでしょうね。すぐに壊れるということはないと思いますが、段々とダメージは蓄積する。

最初の炙り目から濃厚な喫味を出したい時、セカンドクリック後に5秒以上炙らないと喫味が出ない煙草葉もあります。その場合は最初の炙り目ではドローはスキップして、次の炙り目から吸い始めるのが良いかと思います。

ただ、まぁ、「そんな面倒なことはしない。Cap の Snap Disk は所詮消耗品」とお考えの方は5秒以上炙り続けたり、好きなようにするのがいいかと。自分もどちらかというとそういう考え方なので、タフな炙り方をしている Cap もあります。

以下、うろ覚えですが、DynaVap にも使われているバイメタルの Snap Disk のクリック耐用回数は、たしか、30,000〜100,000回と、どこかで見かけた気がします。つまり、60クリック(15ボウル×4炙り)/日とすると、耐用期間は500日〜1,666日(約1年半〜4年半)になる。

しかし DynaVap 喫煙ではクリック後も炙り続けることもありますし、汚れの堆積や落下での衝撃、その他誤用もあり、Snap Disk が想定使用よりも酷使されているはず。ですので、タバコ使用での現実的な耐用年数は、運が悪ければ1年前後、どんなにもっても3〜4年くらいになるのではないかと見積もっています。

ただ、いかんせんクリック耐用回数がうろ覚えなので誤りでしたら申し訳ございません…。

いずれにしても、Snap Disk は段々と劣化していく消耗品です。

↓の写真はしばらく使用した Snap Disk の状態です。薄っすらと茶色く汚れています。(出典:FuckCombustion.com

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このように Snap Disks は汚れの堆積や金属疲労によって徐々にクリックが遅くなる(悪く言えば劣化、良く言えばエイジング)。

劣化が進むと Snap Disk に細かいひびが入り、そうなるとクリックがかな〜り遅くなります。乾燥気味のシャグカットだとクリック時には焦げ味が顕著になる。あるいは最悪燃える。一方、湿ったリボンカットくらいのパイプタバコだと良い塩梅のタイミングになったりする。私はこういうエイジングものはパイプ葉専用の"高温" Cap として使ってます。

そして最終的には亀裂や割れが入る。この状態でもクリックはしますがクールダウンクリックに果てしない時間がかかるようになるので使い物にならない。こうなってしまったら寿命ですね。

因みに Snap Disk は2枚入っているので1枚が破損してももう1枚が生きていれば使えます。が、そのもう1枚も程なくしてダメになることが多いので、この時点で新しい Cap を買っておいた方がいいかもしれない。

(単品販売されていない Colored Cap は普段使いをせずに余所行き用にした方がいいかもしれませんね)


煙草葉の最適な湿度

無添加の煙草葉を水分で加湿するか否か。これは好みなので何とも言えないですが…、加湿のやり過ぎは美味しくない気がします。

手巻きで燃やすと甘味となる湿度、つまり、ヒュミストーン直入れでシャグタバコが"シトシトフッワフワ"で弾力がある状態は DynaVap では水分過多です。それだと DynaVap では火力が足りなくて前半の炙り目では水っぽくて薄い喫味になりがち。しかも、喫味を出そうと強めに炙ると、1ドロー目に熱々の"水"蒸気が口腔内を襲います。(まぁ、これは DynaVap に限らずヴェポライザー全般に言えることですが…)

しかも DynaVap はチャンバーから吸口までが一直線の構造なので、過加湿のシャグだと吸口からのジュース(汁)垂れが頻発する…。

加湿するとしても、Boveda(ヒュミディパック)を使って65-69%調湿がどの Tip / 火力でも無難かなと思います(梅雨時期だと逆に"除湿"になるのかも)。

自分は辛味耐性があるのか、開封したての乾燥している無添加シャグタバコでも、シングルフレーム弱火 + SS Tip であれば美味しく吸えています。寧ろ好きです。

ただ、煙草葉の湿度による喫味の違いは好みの問題ですし、Tip の種類やライターの火力、ドローの仕方、そして保湿剤や着香添加剤の有無でも最適な湿度が変わってきます。Boveda を使えば62, 65, 69, 72%と調湿できるので、色々とお試しになられてご自身のベストな湿度を探ってみてください。(私も銘柄毎に好きな湿度が違います)

まぁ、まずはパウチ開封時そのままの状態で吸ってみて、それで美味しく吸えるのであれば、その状態を密閉容器で保管してその風味・鮮度をキープするのが吉かと。喫味が辛すぎたり強すぎる場合のみ、それをマイルドにするという方向性で加湿→調湿するのが良いのではないかと思います。なぜなら加湿後は乾燥させても開封時の風味には戻せません。乾燥させても風味が飛ぶだけです。


炙り加熱とドロー(吸込)

炙り時の持ち方/回し方

中指を折り畳んで腹で吸口を挟むと安定して回しやすい。

しかし、回転吸口でないモデルだと回しにくい時もある。その時は中指と薬指の付け根に置くと若干回しやすくなるかも。

まぁ、どのような持ち方/回し方でも問題なく炙れるので、お好きな方法でクルクルしてみてください。

ところで、Cap は吸口にも被せることができます。喫煙所など机がない場所で煙草葉を詰める時には Cap を吸口に被せておくと手元での詰め作業が多少楽かと思います。


火力による喫味の違い

ライターの種類/火力によって喫味の印象が変わるので、色々な火力のライターや熱源(IH など)を試してほしい。弱い炎で時間をかけて炙ると、喉越しが柔らかいにもかかわらず蒸気自体はトロッと濃厚な喫味になる。ただし、喉への当たり(キック)が弱くなる。逆に強火で素早く炙る時は、喉へのキックが強く若干乾いた感触の蒸気になる。喉越しが欲しい方はこちらの方が好みかもしれません。

この辺は個人の好みなので色々な火力でお試しあれ(想像以上に変わりますよ)。


BiCライターで炙る

BiCライターのような弱い炎で炙ると、喉への刺激(キック)が少ないにもかかわらず、蒸気はトロッと濃厚な喫味になる。

炎先端で炙ると Cap が煤で真っ黒になるので、炎の根元に Cap を置いてなるべく赤い炎を出さないように炙ると煤の付着が最小限になります。

BiCライターでの加熱はかなりの時間がかかりますし、風がある屋外では使い物になりません。加えてレバーを押し込み続けることになるので親指が熱くなる/痛くなる。あまり実用的ではないです。


アルコールランプで炙る

弱い炎での喫味は好きだけどBiCライターで炙るのは難儀、という方はアルコールランプをお試しになられてみては?

IPA(イソプロピルアルコール)等のランプ/バーナーはBiCライターと違いどの箇所で炙っても煤が付きにくい。そしてトーチライターのような噴出音はないので静かに炙れる。


トリプルフレームトーチライターで炙る

炙りに慣れるまではトリプルフレームが使い勝手が良いかなと思います。加熱速度が早く、加熱ムラも少ないのでストレスなく加熱できます。特に屋外では明るさで炎が見えにくかったり、風で炎が煽られたりするので、火力が強くて"面"で炙れるトリプルフレームのほうが失敗が少ないかと思います。

喫味においても、トリプルフレームの方が比較的容易に DynaVap 特有のものを出しやすい。バッテリー式ヴェポライザーとは違う、喉への当たりが分かりやすい吸いごたえのある蒸気になる。

ただし、ガスの消費が激しい。終日外出時はガスタンクを満タンにしてもガス切れしてしまうかも。


シングルフレームトーチライターで炙る

シングルフレームだとピンポイントで炙れるのでクリック時の抽出温度をコントロールしやすい。また、強火弱火、近火遠火、炎を当てる角度など、炙り方次第で多彩な喫味を楽しめる。

弱火かつ遠火で炙れば、BiC ライターの喫味に近い、柔らかくも濃厚味な蒸気にできますし、強火を根本から斜めに当てて包み込ませるように炙れば、トリプルフレームに劣るとはいえ、喉当たりが強い喫味にもできる。勿論、その間を取った喫味にもできる。

ただし、炙りに慣れていないと喫味を安定させるのが難しいかもしれない(風がある屋外だと火柱が揺れるので難しい)。


IH: Induction Heater(電磁誘導加熱)で加熱する

IH は火ではなく電磁誘導で加熱をする。手元を見ずに片手のみで高速加熱できるので DynaVap の使い勝手が向上する。ながら吸いや強風下での加熱もできる。

IH はコンセント電源とバッテリー駆動の2タイプがある。DynaVap 公式からは DynaTec というシリーズで IH が発売されているし、サードパーティー製やユーザー自主製作も含めると多種多様な専用 IH がある。メーカー毎に特徴があるようで、急速加熱のものもあるし、ゆっくり目に熱が入る IH もあるようです。

以上、炙りや加熱についてでした。
※「アクセサリ」ページでは DynaVap 喫煙に適したトーチライターやライターガス、IH を紹介しています。


ドロー(吸込)について

DynaVap は吸い込めば吸い込むほど喫味が出る仕組みなので、肺呼吸で肺に直接 Pull する吸い方 = DL (Direct Lung) ドローの方が喫味が出やすい。

ですが、タバコユーザーの中には、口で Puff して口腔内に溜めてから肺に入れる吸い方 = MTL (Mouth To Lung) ドローのみで吸いたい方も多いと思います(あるいは肺に入れない口腔鼻腔喫煙)。

MTL / Puff で1ドローして吐いて一息つく頃には Tip がもう冷えている。そこで再ドローしても喫味が薄いです。そして1ドローしかしないとなるとクールダウンクリックまでの待ち時間がとても長い。吸っている時間より待っている時間が長くなり不満が募る。

ですので MTL / Puff ドローでは冷める前に続けてドローというのが良いのかなと。例えば「吸って、吸って、(吸って)、最後にまとめて吐き出す」みたいな吸い方とか、吸って吐いてを連続するみたい吸い方です。

こうすると吸える量も多く満足感もありますし、一息つく頃にちょうどクリックします。

因みにクールダウンクリックを待たずに追い加熱するという方法もありますが、これはリスクが高いです。どのタイミングで燃え始めるかが分からない。慣れればこの方法もいけるかと思ったのですが、燃える/燃えないのタイミングをコントロールすることは私は難しいなと感じます…。

これに限らず色々な吸い方ありますので、ご自身で好きな方法を見つけていただくのが良いかと思います◯


喫味の配分

炙り毎に同じ加減で加熱するとどうしても2炙り目に喫味が集中する。

1〜3炙り目に均等に喫味を出したい方は、1炙り目は強め(温度高め)に、2炙り目は弱め(温度低め)、3炙り目は中くらいという感じで炙る方法がある。この方法だと1炙り目から満足感のある喫味を楽しめる。

ただこれは1炙り目に焦げギリギリのラインを攻めることになり、炎が安定している室内であればさほど問題ではないですが、不安定になる屋外でこの方法で炙るのは難しいこともある。

もう一つの方法は、うむ美味いおじさんブログの記事を参考にさせていただきました。1炙り目で喫味を出すのを諦め、その分4炙り目まで喫味を伸ばす方法です。

1炙り目はファーストクリック+α位で加熱をやめる。この程度の加熱だと喫味はほとんど出ないので、ここは「熱通し/余計な水分飛ばし」と潔く諦めて2、3回吹かす。あるいはここではドローをせずに冷却クリックさせる。

これだと中途半端に喫味成分を抽出しなくて済みますし、クールダウンのクリックも早めに鳴り、速やかに次の炙りに移れます。

2〜4炙り目はシンプルに Cap の中間辺りをセカンドクリック+αくらいまで炙る。これだとどの炙り目でも焦げの心配なく、喫味配分もバランスが良く、総じて美味しく吸える。

まぁこの辺は煙草葉の種類/湿度によっても変わってきますし、好みもあると思います。上述した炙り位置による温度調整等をご参考に、ベストな炙り方を見つけるのが良いかと。それを自由自在にできるのも DynaVap の良さですからね◯


エアホールの無効化

DynaVap は基本的に Midsection のエアホールを指で塞いでドローしないと濃厚な喫味が出ない。

エアホールを毎回指で探して閉じるのが億劫と感じる方は下記をお試しください。

Condenser に装着する 小 X-Ring をエアホール通り越して Tip 側にずらせば、エアホールからの外気取込をブロックできる。これでエアホールは無効(全閉扱い)になるので指で塞ぐ必要がなくなる。

ですが Condenser 上の溝がある所定の位置ではないので装着が少々手間。特に Tip 側から X-Ring を入れようとすると手先の器用さが求められるかも。ただ、少し工夫すれば楽にセットできます。

小 X-Ring はそれ単体だと Midsection 内で引っかからずに吸口側から Tip 側まで通ります。ということは、Condenser を 小 X-Ring の穴に通すことによって径が広がり内部で引っかかるようになっている。

Condenser の Tip 側先端、少し絞られてますよね。そこに小 X-Ring を軽く乗っけるように付けると径が広がり切らず、吸口側から Condenser を挿しても途中で引っかからずに Tip 側まで通せるはずです。

こうすれば吸口側の大 X-Ring をつけた状態でも Condenser を挿入できて、後は Tip を差し込めば、Condenser 先端に乗っかっている状態の小 X-Ring も押し込まれてセット完了となります。

この方法だと取り付けが多少楽かと思います。

まぁ、エアホールの開閉をした方が喫味の変化も楽しめますし、指でのエアホール操作が億劫でない方には必要のないトリックだと思います。

それに、この X-Ring ずらしによるエアホール無効仕様ではジュース(汁)問題もあります(詳しくは「どのモデルを選ぶか」ページの Condenser と Mouthpiece の段で説明しています)。エアホールが活きていればその煩わしさもある程度は回避できますしね。

因みに Omni Condenser and Mouthpiece では全開から全閉近くまでのエアー取り込み量の無断階調整ができるので、このトリックは必要ないです。(Omni のエアフローコントロール機構については「各モデル比較」ページの Omni モデルの段で図解しているので、詳しくはそちらをご参照ください)


メンテナンス

日々のクリーニング

使用頻度にもよりますが、もし15ボウル以上/日の DynaVap 喫煙をするのであれば2〜3日毎に無水エタノール+綿棒で分解掃除した方がいいかと思います。5〜10分位しか要しませんので、そこまでの手間ではないはず。

特に Tip の CCD(スクリーン)周辺と煙道部分はジュースが溜まりやすく2〜3日以上放置しておくと付着した粉シャグとジュースがガリガリに固まってしまう。そうなると喫味も悪くなるしドローも重くなる。(Tip 煙道で固まった焦げ付き汚れは金属棒や Condenser の吸口側のエッジである程度は削ぎ落とせる)


浸け置き洗い

上述したような日々の分解掃除をしても煙道部分の焦げ付きは段々と堆積しますし、Tip 全体に汚れが徐々に沈着します。

しばらく経つと写真上段のようになる。このこびりついた汚れを落としたい時には浸け置き洗いをすると写真下段のように汚れを剥がせます。

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浸け置き洗いは重曹や過炭酸ナトリウムの水溶液でもいいんですが、粉末をお湯で溶かす手間がありますし、Ti だとくすみの心配がある。ですので市販のアルカリ電解水で下記のような感じで浸け置きするのが手軽かつ無難かなと思います。

・Tip から CCD と O-Ring を外す
・本体購入時に付属するプラチューブに適量のアルカリ電解水を注ぐ(プラチューブがなければガラス小瓶など)
・そこに Tip と CCD を漬け込み、蓋をして密閉する
・薬缶や電気ポットに水を張り、プラチューブを浮かせながら沸騰させる
・そのお湯に中にプラチューブをしばらく放置

15ボウル/日×2〜3週間くらいのこびりつき汚れであれば、就寝前からの一晩浸け置きで朝にはきれいに剥がれていると思います。アルカリ電解水はすすぎも簡単で、ブラシでさっと水洗いするだけでぬめりも残りません。

しかし、汚れを落としにくい箇所もある。

こびりつき汚れがしつこい箇所って Tip の煙道部分と CCD なんです。煙道部分は金属棒や Condenser の吸口側で焦げ付きをある程度削いでから浸け置きすればこびりついた汚れが残ることが少なくなる。

CCD は1週間使い続けると汚れがかなり堆積し、上記の浸け置き洗いでは焦げ付きを落としきれないことがある。CCD は複数枚常備して、ある程度汚れたら交換するのが良いかと。3〜4日毎に交換したものであれば、上記の浸け置き洗いでこびりつき汚れを剥がせます。

浸け置き洗いではないですが、CCD をライターで焼いてブラッシングすれば、こびりついた汚れを簡単に落とすことはできます。が、あまりオススメしない。なぜなら CCD は熱で縮むんです(特に Ti CCD)。ライターで炙ると径が小さくなり、嵌りが甘くなる。そうなると吹きポンする時に吸い殻と一緒に飛んでいくことがある……。

重曹水はグツグツと沸騰させしばらく置いておくと大体の汚れは落ちますが、Tip 煙道の焦げ付きが落ちきれていないことがあった。そして適当な水洗いでぬめりを残したままだと、炙り時に Tip 表面が白くふいてしまったことがある。まぁ、熱湯重曹で長時間浸け置きして、十分に水洗いすれば問題ない。ただ、自分はシノさんに過炭酸ナトリウムでの浸け置きを教えてもらってからは重曹は使ってないですね。

過炭酸ナトリウム水溶液は洗浄力が高い。しかし水溶液の温度や濃度が高すぎると Ti の表面が、変色とまではいかないですが、くすむ(曇る)ことがある。Ti だと少し気を使うかもしれませんね。SS では色がくすむこともないので心配せずに浸け置きできる。SS ではベストな浸け置き洗い方法かなと思う。

私は Tip の色合いが多少くすんでも全く気にしないので(どうせすぐに茶色くなるし)、SS Tip 同様に Ti Tip でも過炭酸ナトリウム水溶液で浸け置き洗いしています。ガラス小瓶に Tip と過炭酸ナトリウム粉末を多めに入れ、そこに熱湯を注ぎ、そのガラス小瓶をコーヒーポット保温プレートの上に3時間くらい放置しています。これだと浸け置き時間も短いですし、こびりついた汚れも確実に剥がれます(そして Ti Tip の艶は曇ります…)。

まぁ、おそらく一番楽なのは、ひとつの使用モデルに同タイプの Tip を2個持つことですね。ひとつは1週間汚れるまで使用し、もうひとつはアルカリ電解水の中に1週間放置、みたいにして交互に廻していく。1週間も漬け込まれるとさすがにどんな汚れも剥がれます。

さて、漬け置き洗い時に O-Ring を外すか否かですが、自分は浸け置き時には O-Ring は外しています。O-Ring はアルコール類に耐性があるとされていますが、上で挙げた水溶液ぬるま湯への長時間の浸け置きでは明らかに劣化しますね。しかも O-Ring は長時間の漬け置きで膨張するので、浸け置き洗い後しばらくは膨らんでいて Midsection への嵌め込みが難しくなる。自分はそれを無理に嵌めようとして O-Ring が千切れたことが何度かある。

(O-Ring をあまりに鋭利なもので外そうとすると、それはそれで O-Ring が切れてしまう。指で外せない時は Cap の Digger Outer を使うと外し易いですよ)

因みに Condenser, Midsection, Mouthpiece は無水エタノール+綿棒とティッシュだけで汚れが落とせるので、自分は浸け置き洗いはしていません。


Cap クリーニングの困難さ

次に Cap ですが…天井に嵌っている Snap Disks の清掃は…難儀です…。

安易なクリーニングは Snap Disk の寿命を早めることになるし、かといって洗わずにいると汚れは溜まり続ける。

下の写真は DynaCoil + ワックス使用での Snap Disk 裏の汚れのようなので、煙草葉ではここまでにはならないと思いますが、長期間使用していればある程度は汚れてくる。

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(出典:FuckCombustion.com

このような汚れを綺麗にしたいと思っても、Snap Disks の洗浄は難易度が高い…。

Snap Disk には腐食性が高いアルコール類や薬品の使用は厳禁です。他の部位と違い Snap Disk だけは特殊配合金属で、そのような薬品への耐性が低い。腐食が進むとクリックに支障が出ます。

また、これは海外フォーラム上のただの投稿なので確証はありませんが、Snap Disk が濡れている状態(水であろうがなんであろうが)で炙ってクリックさせてしまうと、Disk に過剰なストレスがかかり、割れやヒビの原因になるかも、という報告も幾つか見かけました。報告がある以上、避けた方が無難なのかもしれない。

私は当初この2つの合わせ技をしていました。DynaVap 使い始め当初はクリーニング方法がよく分かっておらず Cap 内側も頻繁に無水エタノールでジャブジャブと洗っていました。しかも自然乾燥ではなくライターで炙って Snap Disk 裏に残ったアルコール分を飛ばしていました。その結果なのか、元々が破損しやすい個体だったのか、断言は出来ませんが、この Cap は使い始めてから半年も経っていないくらいに Snap Disk 表面に亀裂が入り、使い物にならなくなりました。

公式によると食器洗剤水溶液への漬け置きは可能なようです。ですが、Snap Disk は2枚入っておりその間に洗剤が入り込む。入念な水洗いをして、Cap 天井内と Snap Disks 上の水気を飛ばす必要がある。(アホな自分は香料入りのものを使ってしまって香りがしばらく残ってしまったことがあり、それ以来食器洗剤は使っていない…)何よりもまず Snap Disk 裏は見えないので、そこの汚れと洗剤残りを落としきれているのかどうか、確認のしようがない。

それだったら Snap Disks をCap 天井から外して洗おう、と考えるかもしれませんが、これもなかなか難しい。針の先端を Snap Disk 縁に引っ掛けて外そうと試みましたが、これは慎重にやったとしても Snap Disk が傷つく/折れ曲がりますね。その傷や折れこそが Disk 上の亀裂の原因にもなるでしょうし、本末転倒のような気がします。

そもそも Snap Disk の配合金属が謎なので、どの薬剤や洗浄剤が適当なものなのかがイマイチ分からない。DynaVap 側もこの点は企業秘密なので公表していません。リサーチしてなんとなくは分かりましたが確証は持てない。(ご興味お有りの方は "dynavap" "snap disk" "bi-metal" で検索してみてください)

「じゃぁどうやってクリーニングするのよ?」ということになりますが、自分もよく分かっていません。

自分は色々と気を使ったり考えるのが面倒くさくなり「何もしない。洗わない」という結論に至りました。清掃するとしても時折エアダスターで内部の粉塵を飛ばし、乾いた綿棒やきつく絞った水綿棒で内側を拭うだけです。これ以外のクリーニングはしていません。

ここが多少汚れていても喫味に不快感を覚えるような悪影響はないですし、「これでいいや」と諦めました。Cap 外側は汚れというより炙りによる焼けなのでどうしようもないですしね。

このような "洗っていない" Cap のひとつは、徐々にクリックが遅くなりながらも、2年半くらいは使えました。しかし Snap Disk 上の汚れを放置していたので、これはこれで寿命を早めたのかもしれない。ですが、自分の経験則では無闇に洗うほうが Snap Disk へのダメージは大きいような気がします。

とても、とっても慎重に、たっぷりと時間をかけてクリーニングをすれば、Snap Disk の汚れは落とせるのかもしれません。しかし Cap は言っても2,000円強なんですよね…。その労力と時間をかけるのなら、私は新品 Cap を買うかな…。


2018 shadow M クリーニング時の注意点

2018年発売の shadow M のみ、表面処理の特性上、Cap だけでなく全てのパーツがアルコール類への漬け置きは非推奨とされています。

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イソプロピルアルコールで漬け置き洗い後に乾燥させ、付属のプラチューブに長期間密閉保管したところ上の写真のように錆がついてしまったという報告もあります。綿棒で拭うくらいであれば問題はないですが、アルコール類への漬け置きは避けたほうがいいと思います。そして密閉されてしまう容器での保管は、湿気が溜まるので、避けたほうがいいようです。


木製のBody/Stem

木製の NonaVonG Body/Stem と HydraVong Stem は内径が狭く作られているので Tip が嵌め込みにくいです。ワックスを塗ってやると滑りが良くなって嵌めやすいです。逆にワックスなしに無理矢理嵌めようとすると O-Ring が千切れたり、最悪木が割れます。

ワックスがない場合は、O-Ring をいくつか外してみてください。多少は嵌めやすくなると思います。

木のメンテナンス用途にも使えるので、VonG モデルをお持ちの方は何かしら木用のワックスを常備しておいたほうがいいかと思いますよ。


CCD(スクリーン)

どのパーツ/モデルを選ぶか」ページの付録の段でも書きましたが、CCD に関しては  SS より Ti の方が煩多だと思います…。

まず、Ti CCD は熱で縮みやすいので、嵌め込みが徐々に甘くなる。吸殻の掻き出し時や吹きポン時に外れて紛失しやすい(外出時にやってしまうと辛い…)。

そして、空気孔が多い/広いので粉シャグが通過しやすい。それでいて、目詰まりしてしまうと孔が複雑な形状ゆえに今度は掃除・除去が面倒。その孔に詰まったこびりつき汚れは、ブラッシングや浸け置き洗いでは剥がれないことが多く、針などでちまちまと削いだり、それが億劫になり結局は「ライターで炙って焼き払ってしまおう!」となりがち。

それで更に縮む→無くす、という繰り返し。無くさなかったとしても、焼いて脆くなっているので割れたり欠けたりしやすい(焼いていなくても Ti の方が破損しやすい形状)。

というわけで、私は Ti Tip にも気楽な SS CCD を装着しています。CCD の種類は喫味やドローにそこまでの影響を与えないので、Ti CCD に特別な思い入れがないのであれば、Ti Tip でも予備の CCD は SS の方でストックしておくほうが良いのではないかなと個人的には思います。


以上、「使用上のコツやお役立ち情報」でした。

次ページでは DynaVap の加熱に適したトーチライターやIH、専用ケース、その他カスタムアイテム等を紹介しています。

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