2章 2ヶ国目 5千円から始まる旅~オーストラリア


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映画・クロコダイルダンディーを知ったのはダーウィンに来てからである。
ジャングルで自然や動物たちと共存し楽しくたくましく生きていたダンディーな男性が、NYから取材に来た女性に興味を持たれそのままNYで生活をする。次第にひかれあっていく二人。しかし今までジャングルの中でしか生きたことのない彼は、物質主義な社会に馴染めないまま、周りからも偏見の目で見られ・・・それでも持ち前のサバイバル力と明るさで、周りにいい影響や変化を与えていく・・・といった内容だ。

ダーウィンはとにかく自然豊かだ。海は綺麗なのだがクロコダイルが沢山泳いでいるため、全面遊泳禁止というのが寂しいところではあるのだが。

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右も左も分からない初めての旅が所持金5千円という、これはこれからも続く武勇伝だと自分では思っている(笑)
ひとまず、生き延びる環境は整えておかないと・・・と思い、出発前にチリ(とうがらし)農場のウーフィング(農家のお手伝いをする代わりに食べ物と寝床のエクスチェンジが出来る)することに決め、空港までオーナーに迎えに来てもらった。
オーナーと落ち合うと同時に違和感に気付く。
そう、英語が聞き取りずらい。
後から知る事になるのだが、オーストラリアの中でも特にダーウィンはなまりが強烈らしい。
この聞き取りづらさ、文章にして伝えるのは難しい。実際にアメリカ、イギリス、オーストラリア英語の動画を並べて聞き比べて欲しいくらいだ。

ファームに向かいながらオーナーがスケジュールの説明をしている。
会話には問題ない・・・と自負していた・・・・
が、申し訳ないくらい分からない

オ「マンダイ・・・」
私(心情 マンダイ?!え?何、何?!)
オ「チューヅダイ」
私(え??何何?!)
オ「ウェンズダイ・・・」
私(ダイ 誰か死んだのかな?)
曜日ごとに説明しているだと途中で気付くのだが、誰かが亡くなった話なのかと本気で思っていた。

ファームに到着。
そこにいたウーファーはほとんど台湾人の女の子達だった。
台湾人のワーホリ生の数は多かった。
英語を学ぶのはもちろんだが、出稼ぎに来ている子がほとんどのような気がした。

ひとまず無事に着いた・・・
が安心したのもつかの間
これから過酷な労働の毎日が始まる事になる。

これも後から知る情報なのだが、ウーフ農家のあたりはずれの差がすごいと。私が選んだところは短期間でセカンドビザ(滞在を2年まで延長する事が出来るビザ)が取れるのだが、その分労働時間が長くノルマもきつかった。

スケジュール
朝6時 起床・朝食
6時半 ピッキング開始
12時   お昼休憩
13時~ ノルマが終わるまでピッキング
19時 夕食
21時  就寝

長い時は19時までかかる時もあった

ダーウィンはオーストラリアの中でもとにかく暑い。そして強烈なストームが降り注ぐ。時には土砂降りの中でもノルマが終わるまでは作業を中断出来ない。
作業自体は単調なのだが、猛烈に熱い中での外での作業は、気力、精神力、体力が必要だ。
もとから同じ作業を何時間も出来る性質ではないので、毎日この繰り返しはとても滅入った。
そして、どうしても台湾人の女の子達とウマが合わない。
彼女たちは不思議な事に「労働」になれていてる。
きっとオーストラリアで長く稼ぎたいというコミットがあるのだろう。
しかし、作業も早いもので毎日もう終わったのかとびっくりさせられる。

私は日に日に疲労困憊しストレスが溜まっていく。
他のウーファーとの会話も特に楽しくない。
ストレスが溜まり、吐き出す先がないと食に走る。

ハッピーではない様子の私を台湾人のボス的女の子が目を付けたらしく、
軽くイジメ始められる。
あまりそういうことに関わりたくない台湾人の男の子が教えなくていいことをコッソと私に教えてくれた。
彼女を中心に陰口たたかれてるぞ、と
だから、言わんで良いぞ。


どんな状況にいても自分をしっかり持つ事や嫌な事があるなら望む方向へ移行させようと試みる事、他の方法を見つける視野を広げようとする心、そしてそんな中でも関わってくれた相手や環境に感謝する事など
まだ目の前の事に囚われて、いっぱいいっぱいだった私には知りえなかった事だった。

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