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(謎)制作者が摂取しても良いかも知れない13のエレメント その6~対立~ 刑事コロンボシリーズ

やはり対立構造はわかりやすい。

刑事コロンボとは

刑事コロンボはアメリカで生まれた刑事ドラマのTVシリーズ。その特徴は、犯人との対立構造にあります。

通常の推理物の構造だと事件が発生して容疑者の中から探偵が犯人を捜し、物語の最後に登場人物の中から犯人を指摘し物語が終わる。実はこの構造、テレビドラマにしたときに、ある大きな問題点をかかえています。

それは役者の問題。犯人役は主人公と同じく重要な役どころです。だから、役者さんもグレードの高い方を呼びたくなりますが、それをやっちゃうと、いわゆるメタ解きで犯人が最初から分かっちゃう。他の出演者に比べて明らかに格上の役者さんが一人混じっていたら、物語の最初からその人が犯人だと予想できてしまう問題がありました。

この問題を解決したのが刑事コロンボ。毎回物語の冒頭で実際に犯行が行われるのが描写され、視聴者は誰が犯人か分かっている。一見すると完全犯罪に見えるこの事件を、物語中盤から登場する主人公コロンボ警部(原作だと警部補)がなんとかして解き明かして事件を解決するという構成です。

これをリスペクトして日本で作られたのが古畑任三郎です。

面白いのは、コロンボ警部はただ証拠を集め推理するだけではなく、犯人と目星が付くと、徹底的に揺さぶりをかけたり、時には罠にはめたり、ありとあらゆる手段を用いて犯人を追い詰めるところです。

文字通りコロンボ警部と犯人とのガチバトル、対立構造の物語を楽しむ事ができます。

対立構造の利点

なんといっても物語の構造が分かり易くなります。

例えば、爆弾を解除しましょうというお話。これはプレイヤーと爆弾との、対決です。勝利条件は爆弾を爆発させないことだと、すぐに想像つきます。

世界を救う話だったとしましょう。いきなり世界を救えと言われると何をすれば良いかわかりません。ですが、暴走したAIが核兵器のシステムをハイジャックしたという「AIとの対立構造」にすれば、AIを止める方法を見つければよいという目標を容易に想像できます。魔王に支配された世界ならば魔王との対立構造なので、魔王を倒す方法を見つければ良いのだと思えます。

このように対立構造を作ることが出来れば、目標が明確になるのです。目標が明確になることにより何をすれば良いかが分かる。これは参加者が積極的に行動するタイプのイベントなら、行動の指針が出来ることに繋がります。行動の指針が出来れば、それの目標を達成するように行動することができ、達成した際にはカタルシスを感じて満足できるようになるのです。

このように、対立構造は物語の目標を明確にする上で非常に強力なツールとなるのです。

謎解きイベントに対立構造を用いる利点

謎解きイベントのように制限時間があるイベントはいかに目標を分かり易く伝えるかが、良いイベントのポイントの1つです。

その点において、対立構造の構築は、最終目標を明確に伝えることができ、また参加者のゲームプレイの指針となるため非常に有効なツールです。

イベントを企画している中で、何をして良いか伝わりづらいと感じている時は対立構造について考えてみてはいかがでしょうか。

おわりに

刑事コロンボだけでなく、面白い対立構造の物語は沢山あります。

1対11の対立構造から始まる陪審員の物語「12人の怒れる男」といった、無罪を信じる1名と有罪でええやろの11人の状態からどうなるかという話もお勧めです。

ある意味基本的な話なのかも知れませんが、改めて摂取してみるのも面白いと思います。

面白い記事を書いていけるよう頑張ります!!