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パズルを解く"事"を物語った世界:スル?スル!パズル!!(タンブルウィード:日本)

パズルは苦手です。

さて制限時間付きの謎解きイベントのほぼ全てにはストーリーがあります。爆弾魔がセットした爆弾を解除する"お話"だったり、鍵のかかった部屋からどうにかして脱出する"お話"だったり、魔導書を解読しお姫様にかけられた呪いを解く"お話"だったり。

物語のゲームにおける重要性や濃度、密度はイベントにより異なりますが、何かしらあるストーリーがイベントの体験に華を添えているのも事実です。

スル?スル!パズル!!が発表されたとき、最初に感じたのは

「……これ、どうやってリアルイベントにするんだろう?
 もしかして純粋なパズル講座イベントなのかなあ?」

ですので正直に言うと、パズルへの想いが弱い私は参加する気がなかったのですが、たまたまこの日は下北沢に用事がありました。時間あるからいってみるかと訪れたところ

不純なパズル講座イベントに出会うことができました。

※このゲームは謎解きイベントです。
 パズルに自信がない方も安心してご参加ください。
(公式サイトより引用)

公式サイト

イベント内容

(公式サイトより引用)
皆様を待ち受けるのは、とても一筋縄ではいかない超難問のパズルの数々……
ですがご安心下さい!
我々の講座を受講して頂ければ、どんなに難しいパズルでも
"スルスル"と解くことができるようになるでしょう。
"パズルを解く"という快感を、あなたにも。

※このゲームは謎解きイベントです。
 パズルに自信がない方も安心してご参加ください。
(念のため再び注釈を公式サイトより引用)

感想

まごうことなきパズル講座でした。そして面白い。

何が面白いって、確かにパズル講座でありながら、起承転結ある物語を作り上げているところ。確かにこれならパズルが苦手な人でも楽しむことができそうです。

終盤にかけて盛り上がって行くので、とても丁寧に作られているようにも感じます。個人的にはクライマックスではもっと加速して欲しかった感がありますが、わかりやすさや構成を考えるとなかなか難しいのかな?

ともあれ、パズル講座のように苦手意識を持ってしまうようなイベントでも飛び込んでみると面白いなあと感じた内容でした。

それと

※このゲームは謎解きイベントです。
 パズルに自信がない方も安心してご参加ください。
(繰り返しで申し訳ないですが注釈を公式サイトより引用)

おわりに

このゲームは謎解きイベントでした。
パズルに自信がない方でも安心して参加できると思います。

蛇足な話:役割分担とパズル系の暗躍

最近、謎解きイベントでメンバー毎に役割を与えられるシステムをもった物をチラホラと見るようになりました。

謎解きイベントで役割が割り振られる場合は、チェックポイントでアクションする人を役割で決められているとか、その役割専用のミッションや問題が渡されるとかといった様に使われます。

役割システムは、遠慮がちで面白い体験があってもすぐ人に譲ってしまう人でも平等に体験をできるという点で優れています。また普段だとできない、やらないことでも「これはゲームの役割だから仕方ないよね」という建前が与えられてできるようになる。このことは想像以上に大きいです。

一般的に人(日本人?)は、初めてのことや普段やらないことを、理由なしにはできないしやらない。ですが、やってみたら楽しい!ってことは世の中には沢山あるのです。

そして、自分(の役割)に用意された謎があるというのも、かなり大きい。解ける人と同席すると謎を解くよりも渡す方にまわってしまって、それはそれで楽しいのですけれども、役割で自分に与えられた謎については誰にも気兼ねすることなく集中して挑める。これは普段イベントで謎を解く事が少ない人にとっては貴重な経験です。

ただこれは諸刃の剣で、渡された問題が解けない時は辛い。

自分が問題を解けないせいでゲームがクリアできなかったとか、実際には、これが原因ではなくて他の理由があることがほとんどなのですが、自分のせいでって思ってしまいかねない状態にはならないほうが良いですね。できないときにはフォローして貰えるような仕組みが、役割分担システムのあるイベントでは欲しいところです。

もちろん世の中には解けないシチュエーションすら楽しんでいる性質の人も一定数いますが、その常ならぬ層はここではおいておきましょう。

この対策としては、ヒントブックやスタッフによる手厚い暗躍(サポート)というのが挙げられます。結構良い感じでなさっているとは思っているのですけれども、1点考えに抜けがあるようにいつも感じます。

それは、人は焦る、ということ。

いまはもうないのかな、小学校の給食で、食べ終わるまで昼休みに行かせて貰えないという話。一人取り残されとても焦り時間が無為に過ぎゆくのだけれど食べる速度はどんどん落ちていく、そんな感じ。

そう、人は取り残されるとあせります。あせるとどうなるか、大隊において焦ると能力が落ちる、普段ならできることでも、時間が経つとよりできなくなるのです。まさに時間でどんどん能力が落ちるデパブの魔法をかけられたかのよう。

役割分担で謎が解けず嵌まっている人の状態はこれに近いと思います。

ここで難しいのは、この状態の人へのサポート方法。ヒントブックで文字で説明してあっても、状態によっては文章が読めないので意味が無いですね。

人による暗躍(サポート)なら相手を見ながらできるので対応する手段はありますが、パズル系で一定以上の複雑さをもったものは、口答でやり方を伝えてもうまくいかない可能性があります(というか、デパブがかかって時間が一定以上たっている場合、ヒントを聞いたはしから忘れてしまう)。

できない問題は他の人にまわしましょうというのは、通常だと方法として正しい対応なのですが、これが役割に紐付いた問題だった場合はできなかった人の能力を半減させ心にダメージを与える呪文になりかねないのが暗躍の難しい所です。

ただ大体において、ど嵌まりする問題、うまいヒントや暗躍の一言で突破できない問題にはパターンがあります。それは手数が多い問題です。盤面塗りつぶしたりとか、ロジックパズルとかです。

答えを導くのにAからEまでの5種類のポイント(手数)が必要あるとして、BとCはわかっていて情報を精査中だけれど思いつかず聞いてみたら、AとBの情報が与えらるとかよくある話。これがいつもだったらとりあえずA、B、Cで並べて整理してさらに分からなかったら追加ヒントをもらったりできても、デパブがかかっている人は、あれ分かっていると思っていたBが違った?とか明後日の方向に行きかねないのです。結果把握できていたCの記憶が飛び、Aしか分からない状態になることもあります。

こうなる理由は暗躍で与えられる情報が文章だったり口答だったりといった一度情報を理解するステップと、それを盤面に落とし込むステップの2段階(もしくはそれ以上)必要であることに起因します。

実は暗躍対策は単純です。それは、途中まで進めている盤面を用意することです。

上述のAからEまで5段階の手順があるケースなら、Aのポイントが分かると出てくる盤面、Bのポイントが分かると出てくる盤面……といったように用意しておくと、良い感じに伝えれたりします。こんな感じ。

「わあ、これ難しいですね。いまわかっているのは事ありますか?」
「BでCだと思うのですが……」
「なるほど、確かに……!あ、これ、この辺りもなんか重要そうな気が」
「あ、Aというのももしかしてそう……かな?」
「わ、これ重要そうじゃないですか。ここから整理してみませんか?」
「Aからですか、えっと……」
「良かったら、図に書いてみませんか?」
「えっと……」
【すぐに図示できそうなら、お願いする】
【描こうとする図のサイズが小さかったり、手が止まりそうだったらサポート(ポイントAまで進めた図を渡す or 代わりに書く】
「じゃーん、今回は特別にこれプレゼントしちゃいます。これに続けてやってみませんか?」
【以下、基本的には口答でサポート。どうしても盤面がぐちゃぐちゃになる等最初からやり直しが辛い時のみ、用意してるものを渡す】

一見すると事前準備の手間が無茶苦茶かかりそうに感じるかも知れませんが、ヒントブックなら文章ではなく途中まで進めた図を記載するだけという話ですし、人によるサポートなら制作者が方針を伝えておけば、暗躍者がその場で白紙に手書きして渡しても対応できる話です(もちろん最初の段階までやった盤面が用意されていると捗るとは思います)。

それにここまで対策が必要な問題は1つの公演に1,2個あるかないかレベルですので、手数かかる系の内容があるなら、公演のシステムで役割分担をするなら万が一のフォローアップ用に対策は立てておいても良いんじゃないかなと思う話でした。

作品情報

制作団体:タンブルウィード(日本)

制限時間:100分(解説含む)
プレイヤー人数:チーム戦 1チーム1名~6名
価格:前売り3,300円 / 当日券は+500円

面白い記事を書いていけるよう頑張ります!!