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制作者との頭脳戦:ルールオブルール(タンブルウィード:日本)

ずっと行きたかったこの公演。タンブルウィードさんの再演ラッシュにエントリーされていて、楽しみにしていました。

ゲームの目的は
「難解なルールの中で、ボールをゴールにいれることを目指す」
こと。

まさに、文字通りの内容の公演です。

公式サイト

ゲーム内容

(公式サイトより転載)
これはあなたが難解なルールの中で、ボールをゴールに入れることを目指す体験型謎解きゲームイベントです。

感想

味わい深かった。

この公演の肝となるのは、ルール。それをどう把握するかのゲーム。

何を言っているか分からない?はい、その感覚で正しいです。何が起こっているのかを把握してボールをゴールに入れるゲームなのだから、プレイしていない人は、何が何だか分からないので正しいのです。

この点が好き嫌いが分かれるところかなと思います。いわゆる「謎」を解くのを期待してきた人には、訳が分からないまま終わりかねない。

そこについては楽しめるような設定や仕組み、演出等用意されていますが、どうしても楽しめる人とそうでない人がでかねない危険性は確かにありますね。

ただこの点、何をどうすればよいか分からない問題は、リアル脱出ゲームや謎解きの出始めの時期にもよく聞かれた問題でもあります。それを解き明かす面白さというのもあり、ルールオブルールの本質の様に思いますが、確かに好みや評価は分かれてしまうでしょう。

謎解きもメジャーになり遊べるイベントの種類も増えた結果、意識的にも無意識的にも謎解きとはこんなものという固定観念もできてきます。固定観念というのはかなりやっかいで、面白いという感情に結びつく物です。そしてこの面白いという感情は、とても難しい。

なぜなら、感情・感覚であるが故にロジカルに決めることができないからです。例えば食べ物。カレーが好きな人もいれば嫌いな人もいる。存在として出された物が同じでも、そこに抱く感情は人により異なります。

もう一つ難しいのは、人は期待する、予想をしてしまうという点。たとえば、真面目な泣けるストーリーかと思って入った映画館で上映された作品が超絶なコメディだった場合、例えその作品が世界最高の物だったとしても、面白くないなあと判断してしまうのが人の性質というものです。

この期待というのは、固定観念からもきていしまいます。

ちろん期待を裏切らないように、固定観念から外れる尖った物は様々な手段を使って角を取りまろやかにはしますが、やるすぎると味わいが落ちてしまうのも事実。

ルールオブルールからは、これらの点において、面白いとは何なのかということを悩む制作者の気持ちも感じた様な気がしました。

なんやかんやと書きましたが、そうですね、もちろん謎解きするつもりでも良いのですけれども、もしかしたら制作者に知恵比べの勝負を挑む、漫画でよく見る頭脳戦の様な熱いバトルを楽しむ、その心づもりで挑むと心から楽しめるのではないかと思います。

是非、制作者の意図を読み解き、
ルールの中でボールをゴールに入れて見せて下さい!!

追記1:方向性

このゲーム、もっと派手にできるともっともっとエンターテインメントになるんだろうなと思いました(それがルールオブルールであり続けることができるかは分からない)

追記2:人数

難易度は人数と逆U字カーブを描く。恐らく人数によりプレイ感が変わる。

追記3:暗躍1

誤解を恐れずに言えば、このゲームの暗躍は私には絶対にできない。僭越ながら恐らく性質と嗜好が近すぎる故に歪む。

追記4:暗躍2

謎解きゲームの暗躍には、実はヒント型と方向性型、概念型があると考えています。

ヒント型は途中情報を与えるイメージ。謎を解く手数が減るので答えにたどり着くまでのスピードが変わります。

方向性型は問題を解くための方向性を与えるイメージ。何をすれば良いか分からないときの最初の一歩を与える等、きっかけを与えることで問題を解けるようになります。

概念型は概念なのでまだうまく文字に起こせないのだけれど、プレイヤーの思考を読み弱っているところに概念をインプリントするイメージ。プレイヤーの能力にパブがかかります。

ルールオブルールの話に戻ると、いわゆるよく見る「謎」を解くのに使っている場所とは別のところを使う時があり、この時のタイミングで別のタイプの謎や情報、暗躍がくると、思考がリセットされてしまいやり直しが発生してしまう。

そうなってしまったときは、なんというか充分に味わえない。

これを何とかする方法があるのか否か、それは分からないと思いつつ、逆に言えばこの点において、ルールオブルールはまだ全然伸び代もあり、とてもとても興味深く面白いなと感じました。

おわりに

まだ食い足りない

作品情報

タイトル:ルールオブルール

制作団体:タンブルウィード(日本)
制限時間:100分(解説含む)
プレイヤー人数:チーム戦 1チーム1名~4名
価格:前売り3,300円 / 当日券は+500円
目的:ボールをゴールに入れる

面白い記事を書いていけるよう頑張ります!!