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意外と大事なDXコード

僕は普段、モノクロフィルムで写真を撮っています。

昔は1本ずつパッケージされたフィルムを購入していましたが、デジタルとフィルムを併用している人とは違ってフィルム専門で撮影しているので、フィルムの消費コストが結構かかります。

そこで、2年ほど前から長巻きと呼ばれる100ft(30.5m)のバルクフィルムを購入して、自分でパトローネに詰めて使うようになりました。

使っているパトローネは、過去に消費したフィルムのパトローネを捨てずにとっておいたものです。

このパトローネ、なんでもいいわけではなく、場合によってはモノを選ぶかもしれない、というお話をします。


DXコード

パトローネには、DXコードというものがついています。

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赤丸で囲ったところにある、ゼブラ状になっているものです。2行6段の構成になっています。

これは中に入っているフィルムがどういうものかを示すもので、フィルム感度や枚数、露光に対して過不足±何段まで許容か(ラティチュード)という情報が記載されています。

銀の部分が通電、黒い部分が絶縁されていて、年式の新しいフィルムカメラにはこれを読み取るための接点が備わっています。

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大抵のカメラは、フィルムの感度の情報くらいしか読み取る機能は搭載されていません。

フィルム感度以外の情報は、恐らく現像処理をする際、写真屋にあるような現像処理機で自動的に処理する際に使われているのではないかと思っています(調べたわけではないので正確なことはわかりません)


DXコードがないフィルム

量販店で扱っているフィルムは大抵の場合DXコードが付いている場合が多いと思いますが、海外メーカー製のフィルムには、稀にDXコードがついていないものが存在します。

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汎用のパトローネにラベルシールを張り付けてパッケージしているだけのものに見られるもので、こういったフィルムをDXコード対応のカメラに使う場合はカメラ側でフィルム感度を手動設定しなくてはいけません。


DXコードがないと困ること

ただし、カメラによってはフィルム感度の手動設定機能が付いていないものも多く存在します。

そういった場合、大抵はISO100として扱われます。

ISO400やISO800のフィルムを入れても、DXコードがない場合読み取ることができないので、問答無用でISO100として撮影されるのです。


更に困ったことに、ごく稀にDXコードが付いていないフィルムを入れても、うんともすんとも反応してくれないカメラがあります。

フィルムが入れられたことすら認識してくれず、巻き上げ(所謂1出し)すらしてくれないというものです。

こうなってしまうと、カメラにフィルムが入っていないのと同じ状態ですから、撮影することすらできません。

僕はこれを過去に一度経験したことがあります。

どんなにフィルムを入れても反応しないのでカメラが壊れたのかと思いましたが、試しにDXコードが付いているパトローネを入れたら反応したので、なるほどそういうことかと気づきました。こんなことあるんですね。


長巻きでもDXコードは大事

長巻きフィルムを手作業で詰めて使っている人は、ある程度カメラやフィルムの扱いに手慣れた人が殆どだと思います。

なので、DXコードが付いていない汎用のパトローネを使っていたり、詰めたフィルムと全然違うもののパトローネを使っていても、大抵の場合は手動でカメラの感度設定をしてやれば使えるわけで、そんなに支障はないはずです。

ただし、先に紹介したように、感度設定が手動ではできないカメラや、DXコードがついていないフィルムを認識しないカメラがあった場合、折角詰めたフィルムがきちんと使えないというケースがでてきます。

なので、長巻きで詰めるフィルムの感度と同じ感度のDXコードが記載されたパトローネに詰める、ということが必要になってきます。

パトローネならなんでもいい、というわけではなく、きちんと選別が必要になるという事ですね。

僕の場合は、ISO100、ISO400、DXコード無しの3種類に分別して、中に詰めるフィルムによって使い分けるようにしています。


DXコードは改造もできる

ちなみに、DXコードは単純に通電か絶縁かというだけのものなので、改造することで意図的に情報を書き換えることもできます。

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元々黒の絶縁になっていたところをカッターで削り落として通電させることで、ISO400のフィルムをISO1000に書き換えて増感撮影をしました。

逆に、通電部分にビニールテープなどで絶縁をすれば、自由自在に書き換えることができるので、こうすれば手動で感度設定ができないカメラでも任意の感度にすることができます。


パトローネの入手方法

これから長巻きのフィルムを使う予定がある、けどパトローネを持っていない(数が足りない)という場合、安く大量に手に入れるにはオークションが手っ取り早いです。

長巻きを詰めるための汎用パトローネも新品で買うことができますが、必要個数を揃えるためにはプラスチック製で7000円、金属製だと9000円程度と結構な金額がかかってしまいます。僕ならその費用でフィルムを10本買ったほうがいいなぁと思ってしまいますね。

オークションには、写真屋さんや現像所から引き取られた廃棄予定のパトローネを引き取って、数十個数百円から千数千円程度で出品されている方がちらほらいます。

ベロ出しとか、切りっぱなしなどというキーワードが記載されているものを選べば、それを長巻きの手詰め用に使うことができます。

これは自動現像機で処理するときにパトローネから1cmくらいフィルムを残してカットされたもので、この残ったフィルム(ベロ)にマスキングテープやパーマセルテープで長巻きフィルムを継げば、長巻きフィルムを手詰めすることができます。

多くはカラーフィルム用のパトローネだと思いますが、ISO100、ISO400のDXコードがついたパトローネがあれば基本的には困らないので、なるべく安上がりでたくさんのモノクロフィルムを使いたい場合には、こういった方法でパトローネを入手するのもオススメです。(馴染みの写真屋さんに事情を話してパトローネを分けてもらうよう頼めるなら、それが一番安上がりです)


モノクロフィルムの沼にはまると、長巻きでしか手に入らない銘柄もあるので、否応なく長巻きを使わざるを得なくなってくるんですよね…。

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