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加藤勇志郎というヒーロー

あんたの身の回りにも「起業」ってキーワードでありとあらゆる情報が飛び交っているよな?

その多くの情報が怪しげなものが多い。
やれ、楽に稼げるだの、専門知識はいらないだの、ひどいのになると「脱社畜」とか言って、今の仕事はひどいもんですよねなんてノリで、相対的に起業をしたほうが良いなんてやつもある。

そういう怪しげな起業の勧めのほとんどが「どうやってあなたが楽になるか」ばっかりを扱って「どうやって社会貢献するのか」なんて観点を扱うものはほぼ見たことがない。

そんな中でとある雑誌記事に特集されていた若者が目に入ってきた。

今回はその若者の「起業」のきっかけがあまりにも本道だったことに俺が受けた感動をあんたに伝える回だ。

ちっとあんたも感動してみないか?

その男の名前は加藤勇志郎

キャディ株式会社という板金・切削加工会社がある。

加藤勇志郎さんはそこの若き代表取締役社長だ。

このキャディ株式会社という会社、いわゆる町工場のように見えるが、革新的な仕組みで町工場業界を救い出してくれるかも知れない取り組みをしている。

それは一体何なのか。

それが設計データを自動解析し、その構成部品をその部品の特性に応じて、必要な加工を割り出し、その加工ごとに得意としている町工場とマッチングすることで、見積もり作業を圧倒的に短期間に終わらせるシステムだ。

自動解析での見積もりは最短7秒で終わるって言うから驚きだよな。

このマッチングシステムの何が画期的なのか?

そのあたりを理解するためには、現状の町工場がどんなことで困っているかってことを理解する必要がある。

町工場が抱えている悩み

下町ロケットとかをあんたが読んだことがあるなら、町工場が自分たちの得意分野にハマった時に強みのようなものをイメージできるかも知れないが、実際の現場では、仕事を取るために得意な加工だけではなくて、不得意な加工の仕事も抱き合わせで受注せざるを得ないことが多いそうだ。

なんでそんなことが起きるのか?
例えば、電車車両では3万もの部品が取り扱われているが、山手線と山陽本線の車両は全く仕様が異なっていて、部品一つ一つは既製品ではなくカスタマイズ製品になる。

1つの電車メーカーが年間に受注するのは50車両程度らしい。
で、電車1車両で3万部品だから、年間で150万部品もの発注をする必要が出てくる

ところが、発注を担当する購買担当者は多くて20人くらいしか居ない。

年間200営業日として単純計算すると、1人で1日に発注しなければいけない部品の数は375種類ということになる

そのほとんどがカスタマイズ品なんだぞ?
その場合、部品一つ一つに対して精査なんてやっていられない。

するとどういうことが起きるのか?

こっからここまでの部品、あんたの所でまるっとやってくんない?ってならざるを得ないわな。

そうなってくると、受注する町工場側も商売だから、自分のところでは加工ノウハウが無いような部品も扱わなきゃいけなくなってくる。
自分のところに加工ノウハウが無いわけだから、更に下請けに出すことになるんだが、その部分についてはノウハウがたまらないわけだから、同様の発注が来たとしてもあまり旨味は無い。

ついでにこの見積もり作業も馬鹿にならない。
小さな町工場ではだいたい社長が見積もりを作るが、社長自身が日中は工場で働いていて、夕方からようやくデスクワークにつける。
そんな状況で100個の部品の見積もりを作るのは2週間はかかっちまうそうだ。

そんなふうに散々パラ苦労してこさえた見積もりも、受注できるのは2割程度。8割はタダ働きってわけだ。

この設計から見積もりに至る膨大なタダ働きをこのシステムが解消してくれるってわけだ。
このマッチングシステムではデジタル設計データから必要な加工を割り出し、その加工が得意な町工場に仕事をマッチングする。
ごく最近まで、設計図がデータ化が進んでいなかったため、この調達の部分を自動化出来ていなかったのが、ようやく設計のデータ化が普及したことによって、調達の部分にメスをいれることが出来た。

それがこのキャディという会社の強みってわけだ。

加藤勇志郎が起業をした理由

加藤勇志郎さんは東大からマッキンゼーに就職し、その後キャディを起業している。

加藤勇志郎さんは学生時代から起業をしており、実は就職をしないでも、そのまま会社を続けることも出来たそうだ。

でもそうしなかった。それはマッキンゼーという会社を通じて「社会的課題」を把握したかったからだっていうんだな。

マッキンゼーといえば、世界でも有数のコンサルファームだよな。
言い換えれば、世界中の困りごとを一緒になって考えてくれる会社ってわけだ。

あんたは就職活動する時に「課題を見つけたい」なんて考えていたかね?

少なくとも俺はそんな事を考えたこともなかった。
確かに「課題を見つける」ためにはマッキンゼーってのは最良の選択肢の一つだよな。

で、加藤勇志郎さんはその目的を見事に達成する。
つまり、前述の見積もり地獄を肌を持って体感できたってわけだ。

生きる目的を意識して生きる

俺が加藤勇志郎さんの生き様の何に感動したのか。

それは、明確な人生の目的を持ち、その目的が社会の誰かの幸せに向かっているという点だ。

俺たちは限りある時間の中で生きているわけだが、どうしたって「なんとなく」生きてしまいがちだ。

それほどに生きることは困難を伴っている。ただ生きているだけでも、結構な労力を伴っているからな。

でも加藤勇志郎さんは明確に生きる目的を自らに課している。
まるで自分の命をなにかに捧げるような課し方だ。

誰が何に困っているかを探るために就職し、その困っていることを解決するためのパートナーを探り当て、実際に困っている人に寄り添いながら会社を経営する。

どうだい?まるでヒーローじゃないか。

どこかの誰かの未来のために。どころじゃない。
あそこのあの人の未来のために日々奮闘しているってことだ。

なあ、俺たちはどうだろう?

俺たちの命、誰のために使っていけるか考えてみないか?

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