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いろんな神がいるもんだ!?

初めてのお客様を見送って、ほっと一息。

そこからしばらく予約はなかったのだけれど、地元の新聞や情報誌の取材依頼が相次ぎ、慣れない小忙しさが続いた。カメラを向けられてもうまく微笑めない、どんな顔をしていたのだろうか・・・一抹の不安がよぎる。

りんご箱の収集でお世話になったリサイクルショップ・くるくるリユースの店主が
毎月ビーチクリーンを主宰されており、興味を持っていろいろお話を伺っているうちに次回NOMAyadoと共催で目の前の海岸を清掃しましょうという話になった。

そこでチラシを作って地元の自治会にも協力を依頼すると、実はNOMAyado前の海岸一帯、本来は立ち入り禁止区域に設定されている場所だと釘を刺され、主催のくるくるリユースさんにその旨を話すと、県と相談してみると言うことに。

ビーチクリーンに精を出す皆さん

一度は、気をつけてやってくださいという話になったのだが、正式な許可が欲しいと申し出たところ、協議の末、県から立ち入りは無しでという返事が返ってきた。モヤモヤした気持ちを抱えたまま、海岸に隣接した空き地のみを清掃することに。それでも30名程度の方々に集まっていただき、かなりの数のゴミを回収した。

集められたゴミ

せっかくなので、みなさんに休憩がてらNOMAyadoを見学いただき、SNSでのみ繋がっていた方々とも、リアルにお話しすることができた。鳴門近辺のお店の方だったり、市会議員の方だったり、地元でイベントをされている方など、新たに知り合った方々とも妙な連帯感が生まれ、とても有意義な時間になった。

残念だったのは、行政の理解を得られなかったこと。
建前は立ち入り禁止なのかもしれないが、普段は釣り人や散歩の人も行き来しているビーチ。たくさんのゴミが散乱しているにも関わらず、せっかくの人手と厚意が生かしきれなかったのは、何だかスッキリしない気分。地元自治会の参加者がゼロだったのも気になった。

その真意は、何処にあったのだろうか・・・?

けれど、いつもお世話になっているワカメ漁師のご一家が仕事で参加できなかったからと、参加者の方々に朝採ったばかりの新鮮なワカメを配ってくださった。気持ちが通じているというのは、こういうことを言うんだろうなと救われた。

それから数日後、初めて男性のお客様が一人でいらっしゃるということで、どんな方が来ていただけるのか、念入りに客室を掃除をしていると電話が鳴った。
あろうことか宿泊予定のお客様が、飛行機に乗ろうと車で羽田空港に向かっている途中事故に巻き込まれて、今病院にいるとのこと。車は大破し、ご本人も首に大きなダメージを負ったらしく、今日はもう行けないのでキャンセルして欲しいと力無く震える声。返す言葉も無く、くれぐれもお大事にとだけお伝えし電話を切った。

するとその夜のこと、今度は鳴門を台風かと思うほどの風雨が襲う。壁のトタンが風に煽られ唸りをあげる。トタンが剥がれて飛ばされてしまわないかと心配になるほどの強風。夜中にとても大きな音が響いて、何が起きたのかと外に出てみると、勝手口を覆っていた大きな木の扉が風に煽られ、レールごと外れて落ちていた。

強風で外れてしまった扉

男性客の不運な事故に加えて、扉の破損、さらに追い打ちをかけるようにGW中に宿泊予定の別のお客様からのキャンセルも届いた。なんなんだこの連鎖、全てが不可抗力な出来事なのだけれど、自分を責めるような嫌な気分が立ち上がってくる。

何だか良くない兆候・・・。

けれど一転、今度は突然明日から泊まりたいと英語でのメール問い合わせが届く。
予約サイトもホームページも全て日本語だし、海外向けサイトからの予約受付もしていないのにどうやって知ったんだろうか。一瞬どうしようかとも思ったが、これも転機の訪れかと、グーグル先生にお世話になりながら申し出を快諾した。

やってきたのは香港からやってきた本格的なサイクリスト3名。鳴門を起点に四国を自転車で走ってみたいとグーグルマップでルートを計画していた時に、地図上にNOMAyadoを見つけてくれたそうで、写真を見て大いに気に入ったとのこと。
とても旅なれた方々で、何も言わなくてもキッチンをうまく活用したり、気ままにビールを飲んで寛いだり・・・。
海外の方のほうが、こうした宿の活用に慣れていらっしゃるのかもしれないな。

外れた扉もすぐに設計事務所の方が駆けつけて応急処置を施してくれ、翌日には修理の大工さんを送り込んでくれたので大いに助かった。

・・・と言うようなわけで、
捨てる神あれば、拾う神ありと言うのだろうか。
いろんな神が次々現れすぎて、訳が分からなくなってきた(笑)。

何が起こっているのか、自分のことながら上手くついていけない感じはあるけど、
来られるお客様は、マナーをわきまえた素敵な大人の方ばかり。

思い上がっているわけではないけど、自分の考えた宿のデザインやコンセプトが自ずと、そういう方々の心の琴線に触れているに違いないと思えるようになった。

いよいよ本格的なGWの始まり、コロナ明けといった空気も手伝ってか、世間の旅したい気分はますます高まってきた様子。この先、どんなお客様にお会いできるのか、楽しみで仕方ありません。

宿を訪れていただいた様々なゲストと旅にまつわるトークをお届けするラジオ番組NOMAyadoラジオも始めました。ゲストの旅エピソードや鳴門の見どころなども楽しくご報告していますので、そちらも聞いてもらえると嬉しいです、ぜひチェックしてみてくださいね。

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