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【社会的インパクト表現を身につけよう】室工大PRオフィスが初のワークショップ

2025-01-08  室蘭工業大学の教職員一人ひとりが、自身の活動による社会的インパクトを表現することを目指す新しいプロジェクトが本格的に動き出しました。その第一歩として、教職員にとどまらず学生、地域住民も参加し、全員が主人公となる初のワークショップが1月8日、同大の学生会館で開かれました。
 
大学の活動が世の中の役に立っていることはたくさんあります。社会的インパクトは、研究を例にすると、生まれた研究成果(アウトプット)によって、教員を離れて社会の中で製品化や技術として活用(アウトカム)されて、社会や環境が変化することを指します。

教職員が社会的インパクトを意識することは、自身の活動に専念するところから一歩進んだ発想です。豊かに表現できれば、さまざまな連携の中から価値に気づき、早い段階で改善することや、企業との共同研究にもつながるかもしれません。
 
室工大が掲げるビジョン「真なる探究心から未来の価値づくりを」に通じるだけではなく、地域や企業の可能性も広げる考え方でもあります。そこで、学内外に広く知ってもらおうと立ち上がったのが室工大PR(パブリックリレーション)オフィスです。オフィス長は山中真也教授が務めています。
 
初のワークショップは、まずアウトプットとアウトカムの違いを知るところからスタート。同大の教職員、学生、一般の30人余りが参加しました。

北海道大学発スタートアップ企業・サイバゴの岩瀬峰代さんがファシリテーター務めました。ミニレクチャーでは、PRオフィスの立ち上げから関わる山田祥子准教授が、社会的インパクトを語る上で欠かせないロジックモデルについて紹介しました。
 
インプット、アクティビティ、アウトプットという研究過程の後に続く「アウトカム」は、「研究者の手を離れて起こされた変化と影響」と説明。「教員一人一人が社会とのつながりを意識する。自身の研究していることの価値を引き出す」ことを強調し、すでに取り組んでいる研究の価値を表現できるようになる大切さを訴えました。

参加者は6つのグループに分かれて、それぞれ話題提供者の情報を元にテーマを掘り下げていきました。がんを治す免疫療法の開発について考えたグループは、研究成果がどんなアウトカムや社会的インパクトにつながるか意見を出し合いました。
 
「抗がん剤治療と免疫療法の組み合わせで免疫をアクティブにする方法を考える」「治らなかった人が助かる」「がんで亡くなる人がゼロになる」「平均寿命が伸びる」などの声が挙がり、どんな課題が乗り越えられればアウトカムにつながるかも考えました。

このほか「伊達市でのだてプロの活動」などのテーマで各グループが掘り下げ、意見が次々と出て盛り上がりました。この後、各グループがまとめを発表。中には「超流動ヘリウムの量子渦発生法の確立」といったテーマもありましたが、応用することで台風進路の予測から防災や都市計画の改善につながるなど、分かりやすくまとまっていました。
 
室工大PRオフィスは今後、2回のワークショップの開催を予定しています。社会的インパクトを豊かに表現することは学生や地域の方にも生きるだけに、今後の活動がどのような「変化」を与えるのかも注目されます。
(粟島暁浩)

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