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発達障害と専門学校

芸術系専門学校で講師をしていると特徴のある学生に出会うことが多々あります。

肌感覚としてクラスに2人くらいはいるかな。

・発達障害の割合について調べた

文部科学省の調査結果によると平成29年度通級指導を受けている小中学生は全国で約109万人

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この年の全国国公立私立を合わせた小中学生の人数が978万人なので実に全体の11%が発達に関する何らかの支援を受けている計算になります。

10人に1人。小中学校だとクラスに3人くらいはいる計算です。

上記グラフの「通級」っていうのは、学習障害(LD)だったり自閉症や言語・視覚・聴覚、情緒障害などで支援が必要な児童生徒が通常の学級に在籍しつつ、週1回くらいの頻度で専門の先生にその子の特性に合った指導をしてもらうトコロです。

障害って言っても色々あるし、同じ障害でも一人一人凸凹加減が違うので基本マンツーマン。

我が家の次男も学習障害&自閉傾向があるので通っています。

IQは足りている発達障害グレーゾーンです。

・発達障害を持つ学生はどうなる?

自分はただの非常勤講師なので粛々と授業をこなすだけで、そういう学生に支援ができるって訳では無いんだけれど、どうしても自分の子と重なって見えて気になってしまう。

なのでかな〜り気にかけてはいます。

ただそういう学生は例に漏れず根は真面目だけれど出席率が悪く授業態度も前向きでは無い、というか理解していない。他の先生にも聞いたところどの授業でも同じようです。

普段の学習態度や就職活動についてあまりにも難しいため担任が親を呼び出して学校で3者面談をした時、親が「どうにか就職させてください」って必死で頼み込んできた事もあるそうです。

芸術系専門学校に入れた親の気持ち、わかります。

大学進学をしても自らの力で進路を切り開けない(そもそも学力もない)と思うから、せめて専門学校で資格取得や専門的な技術を身につけて就職してほしいって思うのよね。

でも当の本人は専門学校でもやっぱり落ちこぼれで…。

芸術系といっても座学はあるし、制作だってセンスを磨く積極的な学びは必要だからね。コミュニケーション力は学生生活でも就活でも必須だし。

大学もそうだけど、専門学校も基本「普通」の学生が入学してくる事前提での指導要領なワケで、義務教育中に受けられた「合理的配慮」はなされません。

そういう学生はぶっちゃけ切り捨てられます。

もちろん中には情熱を持って指導する先生もいるけど、本人が理解してついて来れないんならどうにもならない。これが現実です。

で、そういう学生は結局どうなるか?

就職できずに卒業。または退学。

残念ながらこれが発達障害を持った学生の王道コース。

・情報のアンテナを張る

私が通級指導教室の先生に言われた言葉

「仕事や育児をしていてこの10年ってあっという間じゃなかったですか?これからの10年もあっという間に来ます。

10年後、この子はいくつですか?もう具体的に将来を考えなければいけない年齢になっていますよね。

今から動いてください。調べてください。夫婦で話し合ってください。

行政や民間企業使えるところは全て使いましょう。

親としてのゴールはこの子の自立です。」

この言葉は深く突き刺さりました。

今、縁あって専門学校の講師になって、我が子の10年後の姿(になるかもしれない)を目の当たりにしています。

そこで考えるのはそういう学生にとっての自立への道は専門学校への進学が最善だったのだろうか?という事です。

専門学校は(大学もそうかもしれませんが)「やりたい事は無いけれど、とりあえず就職する時期を伸ばすために入学する」という学生が少なからずいます。

そんな感じで発達障害の学生の親も「とりあえず進学して学歴を」と考えていたのではないでしょうか。

専門学校に進学して、大して得るものがなく2年就職が先延ばしになった所で何かその学生が変わるのでしょうか?しかも肝心の就職もできないのです。

就職先も「普通の」「優秀な」学生を求めていますからね。

落ちこぼれで自己肯定感をガリガリに削がれる2年を味わうくらいなら、行政の支援を受けて最善の自立への道へ導く方がよいのではないでしょうか。

発達障害を抱える子供は学習面や情緒面の困難さを体験するだけでなく、度重なる失敗の経験や注意・叱責を受けることによって、否定的な自己評価を形成したり自信の喪失や自己肯定感を低下させたり、さらに情緒が不安定になることにもつながりやすいと言われています。

二次障害と言われるやつですね。

このような思いを小学校〜高校まで味わっているワケで、さらに味合わせる事はないのではないでしょうか。


例えば「就労移行支援」という制度があります。

一般企業への就職を目指す障害・難病がある人が利用できる、働くために必要な知識や技術を身につけられる福祉サービスの一つです。

原則18歳以上の人が受けられるサービスなので高校卒業をしたらこういう道もあります。

ゴールは自立する事。

学歴をゲットする事でも、みんなと同じ道を歩む事でもありません。

発達障害を持つ人は凸凹があり得意な事に対しては人一倍の才能を発揮します。

苦手な事は克服なんてしなくてよし。

得意な事、才能のある事に注目して、それを発揮できる場所を探してください。

行政に頼ってください。

情報を自分で掴んでください。

焦らず、立ち止まって大丈夫です。その時にこう考えてみてください

「この道は、自分にとって最善だろうか?」



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