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膝の痛みと腫れ 「使いすぎ?バランス異常?」

50代の男性、右膝と左肩、左の踵の痛みを訴えて来院。以前、別の症状で遠方から通院されていた方で、コロナ禍の影響でしばらく通院できなくなっていました。以前、通院されていた際は、膝の症状は訴えていませんでしたが、今回、膝の痛みが段々とひどくなってきたとのことで、約14ヶ月ぶりに来院されました。

膝の検査をしてみると、視診で膝が明らかに腫れているのが分かりました。関節水腫を確認する膝蓋跳動テストでも明らかに膝蓋骨が浮いているのが分かりました。患者さん曰く、痛みを我慢して運動をし過ぎたのが原因ではないかということでした。

これは関節痛を生じさせた人達からよく聞く思い当たる原因ですが、私の臨床経験では、捻挫などの強い衝撃を受けていない限り、使い過ぎというよりも、むしろバランスの悪い状態で関節を使ったが故に関節に炎症が生じたということが原因として最も多いようです。

このような症状で整形外科を受診すると「水を抜きましょうか?・・」ということになるかと思います。関節の中の構造が傷ついていないか、あるいは感染などが生じていないかなどを検査し、水が溜まる原因を診断する目的もあるからでしょう。そのような検査や治療が必要な患者さんもいらっしゃると思います。

私は腫れを伴う関節痛の患者さんを多くみさせていただきました。長年の臨床経験において、使い過ぎが原因だと言われている患者さんたちのほとんどが改善しています。例え急性の捻挫でさえも、炎症が治れば、段々と腫れが引いて、痛みは早期に改善されます。

特に思い当たる原因もなく関節に痛みや腫れを生じさせる場合、関節のバランス異常が原因で関節内に炎症を生じさせ、腫れが出てくるわけです。よって、腫れや痛みを改善させるためには、できるだけ関節のバランスを調整することが肝心です。バランス調整とは筋肉が正常に働く様にすること、そのためには筋肉をコントロールしている神経の働きを調整することが必要になるということです。

今回の患者さんは、遠方なので、最初に3日連続で治療を行い、次の週末にも来院していただきました。その時には明らかに腫れが引いていました。数回の治療で完全に良くなるわけではありませんが、治療回数を重ねるごとに明らかに症状が改善しており、数週間後には以前の運動もできる様になってきました。

原因は、使い過ぎや外傷など外力や感染ではなく、身体のバランス異常であり、それをコントロールしている神経系の誤作動、さらには脳の無意識的な心の信号が影響を及ぼしており、それらを特定して調整することで改善の方向へと向かったという典型的な関節の腫れと痛みの症例でした。


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