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133.すみずみまで神経が行き届いた本

タコの心身問題

タコだけの本じゃなかった、脳神経科学だけの本でもなかった。認知、心、知性、意識、何度も読めそう。ヨンデル選書は最近哲学的な本が少し増えてるんですけれども、どちらかというとサイエンスから心に向かって歩み寄るタイプの哲学書が多いのはぼくの性格と能力ゆえです。ガチの哲学書は歯が立たない。本って難しくないですか? 何書いてるかわからないけどなんかすごそうなことが書いてある本って世の中にめっちゃありますよね? でもこちらのタコは異常に読みやすい。サイエンスライターが書いてるんじゃないかと思うレベル(ガチの医学研究者が書いてる)。翻訳者の夏目さんがツイッターで相互フォローだったのをこないだ知りました(恥ずかしい)。ハヤカワの『脳はいいかげんにできている』も夏目さんの訳だそうです。すげぇ仕事だなーと感心。

タコの心身問題はぼくの歴史に残る本である。「ぼくの歴史に残る本」ってなんだ。超個人的な風景を外部の世界に向けて浸潤させようとする欲望が強いと、こういうナゾフレーズがポンと出てくる。つまりはぼくにとって最高におもしろかったけど、「ぼくにとって」ではなくてこれはみんなの中に残ってほしいなという思いが強すぎるあまりに、「歴史に残る」という手垢マシマシのフレーズの中にいきなりぼくを代入したのだと思う。余計なお世話とはこのことだ。でもマジでおもしろいっすよ。


(2022.1.28 133冊目)

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