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164.揺れ続ける心の振り子

勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版


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三省堂書店池袋本店のヨンデル選書フェア(本記事は2019-2020のヨンデル選書 2nd seasonが対象)で、お買い上げの方に渡す特製カードに350文字のオススメ文を寄せた。以下、そのまま引用する。

ツッコミは破壊でボケは拡張、「キモい」は強い言葉だから「浮く」を使う……最高だ、この本を先に読めばよかった、あらゆる本の前に。でもほかの本を読んでいないとおもしろみはわからなかったかも。これまで読んできた千葉さんの本は難しすぎて1割も理解できなかった(でも全部好き)、しかしこの本なら8割、9割は理解できる! でも本当はほかの本とおなじように、1割も理解できていないのかもしれない。111ページの図を見て踊りたくなった。ここまではたどり着いた。でも次の瞬間にぼくはまだここまで深くラディカルに思考できてはいないかもなというツッコミが入る……。勉強って痛気持ちいいよね。152ページからの「年表」はすごいよ。203ページ、ぼくが音声入力が苦手でキータッチにこだわる理由はあるいは「有限化」のためだったのかも。「キモい友」と語りたくなる。

3年くらい前に文章を読んで以来、哲学者・千葉雅也さんのファンである。noteにも重課金しているし書籍は一通り読んでいる。先日発売された『現代思想入門』の大ヒットが記憶にあたらしく、「誰もが読める文体で、めちゃくちゃ複雑な内容を、知性の度合いを下げずに、でもとっかかるための取っ手をあちこちに付けた状態で書いてくれる」方だ。

そしてこのときの書評(感想)でも書いたように、本当はぼくはこの人の書いた意味をまるでわかっていないのかもしれないけれど、「わかりたい」と思わせてくれる何かが文章に乗っている。そういう本を読むとあとあとまでずっと心が振動し続ける。


(2022.9.9 164冊目)

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