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170.救い

相談の森


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三省堂書店池袋本店のヨンデル選書フェア(本記事は2020-2021のヨンデル選書 3rd seasonが対象)で、お買い上げの方に渡す特製カードに350文字のオススメ文を寄せた。以下、そのまま引用する。

その日のぼくは、幡野広志さんとのトークイベントに出演するために渋谷を訪れていた。イベント前に燃え殻さんからDMが入っていたのだが、気づくまでに時間がかかってしまった。慌てて連絡を返すと、いったん近くまでやってきていた燃え殻さんはもう別の用事に向かっていた。悪いことしたなあ、と思いながら幡野さんたちと一緒にご飯を食べていると、ひょろっとしたシルエットが店内をすり抜けてぼくの隣にストンと座り、「今日はもう飲んじゃおう」などと言ってろくに食べもせずに白ワインを飲み始めた。それが燃え殻さんとの二度目の出会いだった。酔いもせず素面でもない彼は「あれ、言ってくれたのうれしかったんですよ」と言った。次に燃え殻さんが出す本も、その次に燃え殻さんが出す本も、誰よりも早く読もうと心に決めた。今をすり抜ける人の本。

燃え殻さんのやっているJ-Waveの深夜ラジオ、BEFORE DAWNをよく聴いている。燃え殻さんはエッセイの朗読をしたり、メールに答えたりしている。たまに、「相談の森」のような相談が舞い込んできて、まさにこの本のようなテンションで燃え殻さんが答える。このような深夜番組が世の中にあるということは、おそらく、ある種の人にとって人生の救いとなるようなできごとだろうなと思う。

(2022.10.21 170冊目)

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