見出し画像

131.聴き継がれる曲のように

がん外科医の本音

(上記リンクをクリックすると版元ドットコム。いろいろな書店で買えます。)

三省堂書店池袋本店のヨンデル選書フェア(本記事は2019-2020のヨンデル選書 2nd seasonが対象)で、お買い上げの方に渡す特製カードに350文字のオススメ文を寄せた。以下、そのまま引用する。

中山祐次郎先生はこれの前に『医者の本音』という名著を出されておりそちらが10万部を超える大ヒット。あやしい医療本が並ぶ書店の棚の真ん中にこれがドーンとあることで、かなりの数の人々がおかしな医療本を買わずに済んだという意味で貢献度ははかりしれません。ところが続編にあたるがん外科医の本音は10万部は売れてないんですね、なんかスピンオフみたいに思われているのかなあ。でもぶっちゃけるとぼくは『医者の本音』よりも『がん外科医の本音』のほうがさらに好きなんですよ、どちらかというと『医者の本音』は初心者向きで、中山先生と初対面でこれからよろしくですっていう感じがあるんですけれども、『がん外科医』のほうはより名刺感が強いし具体的なエピソードの切れ味がいいし、実際に読了後に残るイメージも強いです。両方買ったらいい。

こういう本は長く売れたらいいのだが、そもそも版元の「売り方」が短くたくさん売る戦略に見えるし、実際あまり長く書店に置かれているイメージがない。そうとう売れたんだけどな。内容だって一切ふるびないし。


目新しくないと価値がない、みたいなところは、どんな商売の世界にもおそらくある。それを乗り越えたごく一部の作品たちはすごい。山下達郎のクリスマスイブだけが時を超えて生き残った理由を考える。答えはきっと「質」と「初期であったこと」と、あと「偶然」に決まっているのだけれど。


(2022.1.7 131冊目) 

この記事が参加している募集