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ワクチンの重篤な副作用が判明したら科学への信頼が揺らぐのか

こんばんは、Dr FJです。

今日は、twitterで表題の件についてのコメントを見つけたので、それに関して私が思うことを述べたいと思います。

 2021年8月の現時点で、Evidenceを理解する科学者/医療従事者はすべからく、『現行のファイザー/モデルナ/アストラゼネカ社製のコロナワクチンは摂取した方が良い』と判断しています。まだできてから1年足らずのワクチンですが、短期間ながらその臨床成績を鑑みると現時点で他の治療法がなく、また世界的に拡大している感染者数の増加を踏まえれば、打つ打たないの選択肢は打つの一択なのは明らかです。

 ただ、これに関しては一部の方々から『ここまでワクチン推しをしておいて、もし実はワクチンが悪かったり、コロナ感染に対してイベルメクチンが実は有効だなんて話になると医療に対する信頼が揺らぐよね』というコメントがありました。

 実際、これまで『ワクチンは打った方が良いよ』と政府、科学者、医療従事者みんなが言っている中でそんなことが起こると、『今まで行ってたことは何だったんだよ!!』という反応が起こり、結果として『もうこいつらの言うことは聞かん』と思う一般の方の気持ちはわからないでもないなとも思います。

ただ…こういう反応をする人たちは、実はやっぱり科学というものをわかっていない人だなということになります。
というのは、科学っていうのは、そもそも論として『反証可能性を持つもの』が条件として定義されているものなのです。

 カール・ポパー先生がおっしゃるように、適切なプロセスを踏んでそれまで正しいとされていたことが間違っている、あるいは意味がないと言われていたことが意味があるというような結論が導かれた時、科学はその反証を受け入れるのです。誰に対しても公平な土俵の上で導かれた結論であれば、どんなにそれまでの結論と反していて科学者や政府、大学やその他もろもろの研究者の立場が悪くなろうが何だろうが、それは受け入れないといけないというものなのです。

 だからこそ、科学を理解する人たちのコメントはどこか歯切れが悪く、エセ科学をかじったYoutuberたちと比べて演説の迫力がイマイチになるということになるのです。少し論文を読んだくらいのYoutuberであれば『こういう報告があります!!』『○○という話が証明されています!!』とドヤって言い切ることが出来ますが、本当に科学を理解している人であれば、必然的に『現時点では○○という選択肢が最善だと考えられます』とか『○○をする方がメリットが高いとされています』みたいな、玉虫色的な、どこか奥歯に物が挟まったような物言いをしてしまうことになります。

 こんな裏事情があるわけですので、賢明な皆様におかれましては、どうか科学者の一見残念そうな言い回しに希望を失わず、また、自信満々で科学事象を言い切る怪しい人たちのコメントに踊らされることなく、これからも先人が築き上げてきた科学を信じていただければと思います。…ま、科学の進歩がなければ現代の文明的な生活はすべてないのですから。科学にはこういう自浄作用も備わっていることをご理解いただければ幸いです。

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