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クライアントファイル

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悪夢のような女

2021年〇月〇日

「第三夫人と髪飾り」を観る。

ベトナム映画で気鋭の監督が話題になっていてマイナーな、どちらかというとアンダーグラウンド系な映画。

アジアの中でもベトナムは少々別格のような気がする。
ベトナム戦争はいろんな解釈があって
「唯一アメリカに勝った国」というのはどうなのか?という話をした。

その話し相手の会社の工場には外国人労働者のベトナム人の女の子たちが数人いるという。日本に出稼ぎに来る外国人で昔はじゃぱゆきさんが流行って、たしかフィリピン人の女性が多く、ほとんどが水商売系だった。
ベトナム人で工場勤務というのはその彼女たちにとってどうなのだろう?
わりがいいのか?悪いのか?
コロナ禍になって国に帰りたいけど帰れない状況がずっと続いたという。じつはコロナでなくても彼女達は帰りたがっていて(やめたい)、理由は自転車なのだという。
住んでいる社員寮の場所が坂道の上で自転車でその道を上がったりするのがすごく辛いらしい。私はよくわかるわ、と言った。

このベトナム映画は金持ちの地主に貧しい家の娘が花嫁として売られるところから始まる。映画のストーリーの中では金持ちに嫁いでくる女は跡取りになる子どもに対する期待だけではない見方があって、
その金持ちの家族に長老が決めた初々しい花嫁を新郎が毛嫌いして実家に突っ返すシーンが印象的だった。突っ返された花嫁は実家では「役立たず」と蔑まれ政略結婚については疑いがまったくなく、ショックで自殺してしまう。
新郎は家長の第二夫人の愛人だったので
性的な描写がその男にとっては真実の愛のようにも見える。第三夫人の少女は旦那の相手をする最初のシーンは野蛮という見方もできるけれど、このベトナムの田舎の一夫多妻制はそれは金持ちの地主の豊かさの象徴で売られる方も買った方も悲壮感も罪悪感もほとんどなくて、エロティシズムだけが残った。
話し相手の男はあまりこの手の映画や本の話にはついてこれないぐらい優しいのでしないでおいた。

201〇年〇月×日

「セックストラフィック」と「4ヶ月、3週と2日」を観る。

主演の東欧の女優アナマリア・マリンカが好き。どちらも東欧の国が背景になっていて独特のムードがある。
人身売買について興味のある人と話す。

ボスニアの人身売買のこのわりと大作の映画の話しをしたら知っていてもっとマイナーなロシアであった人身売買のドラマの話しをしてくれる。「セックストラフィック」ではアナマリア扮する姉妹は砂糖の工場で働く貧しい国の米国に憧れるヒロインの話しをするとケーキ屋の上の階に住むロシアから売られてきた女性が国を思い出して甘いケーキを眺めるシーンが印象的だと話してくれる。間違えてアメリカ人旅行者を人身売買組織が誘拐してしまって大騒ぎになってマフィアが怒り狂ってたよ、ときくと隠ぺいされやすい事が強調される。
その話し相手は中国人や東欧の女性の娼婦を買った事があるらしく、特に中国人の山奥からきた女性の話しをよくする。
「ほんとにあるんだよ、そんなことが。」

食器を洗っていたりすると、ふと、その話しを思い出す。

200〇年〇月×日

「親切なクムジャさん」と「ラストコーション」を観る。

どちらも話題作なのでふだん韓流モノをみないけれどこれはおさえておきたいと思った。
これを話す相手にウケるのはどちらかというと、迷わずクムジャさんのほう。

ラストコーションの妖艶な魅力になるために仲間の男達とヤルのよ、と言ってもたぶん
「ふーん」。

この映画が公開された時の雑誌の映画評に
「このヒロインの美しさはナチュラルではなく、作られた造花の美しさだ」というのを読んだ。それだけで盛り上がれるのはきっと私が女だからだろう。

男にとってセクシャリティはカッコいい女に萌えることはほとんどないことがわかった。

情けないぐらい汚れた女をみんな見たがる。

長年の話し相手でストリップ劇場に一時ハマっていた人がいる。
そんなにストリップっていいの?ときくと
普通のストリップじゃない、いや、普通なんだけどちょっと違うと言う。
夏限定(夏にしか来ないらしい)で舞台の女性はみんな顔が隠れるような大きなトンボメガネをしていて、
そして、みんな韓国人なのだという。

「過激なサービスはしないんだよ、だけど丸出しなんだよ、韓国マ〇コが!韓国マ〇コ!韓国マ〇コ!」

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