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#15 グリーンウォッシュ問題を考える

こんにちは、GTです。

前回#14では「サステナビリティは儲かるか」ということについて書きました。
今回はそれに関連する内容であるグリーンウォッシュについて書いていきたいと思います。


グリーンウォッシュとは

まずグリーンウォッシュとは何かということについて書きます。
環境省のグリーンボンドガイドラインというものの中で以下のようにグリーンウォッシュの定義がされています。

「実際は環境改善効果がない、又は、調達資金が適正に環境事業に充当されていないにもかかわらず、環境面で改善効果があると称すること」

環境省「グリーンボンド及び サステナビリティ・リンク・ボンドガイドライン2022年版(2022年7月改訂)

簡単に言うと、「商品やサービスが本当はエコじゃないのにエコであると謳っていること」です。

グリーンウォッシュの具体事例

ではどんな場合にグリーンウォッシュだと批判されるのか、事例を挙げながら見ていきます。

銀行に対するグリーンウォッシュ批判

2019年に環境NGOが日本のメガバンクに対して、SDGsに沿った資金提供を行うとしているのに化石燃料企業などに資金提供をしているとして批判しました。

電力会社に対するグリーンウォッシュ批判

複数の電力会社のPR内容に対して、2023年に日本広告審査機構(JARO)に申し立てがありました。
批判の対象となったPR内容は「CO2が出ない火をつくる」、「2050年、ゼロカーボン発電で明るい未来へ」、「CO2フリーの水素発電を目指し挑戦中」といったものです。

航空会社に対するグリーンウォッシュ批判

ヨーロッパの複数の航空会社が出した広告の中で記載している「欧州で最も環境負荷が低い大手航空会社」、「もっとも持続可能なフライト」、「より良い、持続可能な旅」といった内容が不適切であると当局に判断されました。

グリーンウォッシュ批判の確からしさ

いくつか事例を挙げましたが、読まれた方はどう感じたでしょうか。

グリーンウォッシュだと言われれば確かにそういう側面もあるかもしれません。特に最後の航空会社の広告は何をもって環境負荷が低かったり持続可能であるのか、よくわからないなと思います。

ただ、銀行と電力会社へのグリーンウォッシュ批判はちょっと行き過ぎなようにも思います。
化石燃料会社に資金提供していることについては、再生可能エネルギーのみでとても全てのエネルギーを賄える状況ではない中で、化石燃料は私たちが生活する上で必要なものです。そこへの投資を止めるとなると安定供給へのリスクが生じる可能性もあります。また、発展途上国がエネルギーとして必要としている場合に、そこへの供給が途絶えると経済成長が停滞して貧困問題が解決されないことにも繋がるかもしれません。環境には確かにマイナスかもしれませんが、他の社会的な側面などを無視しての批判なのであれば全くナンセンスだと思います。
電力会社のPR内容については、あくまで将来の目標や挑戦を謳っているものであって、今つくっている電力がそうだと言っているわけではありません。こういうチャレンジをする姿勢に対して批判することで何かいいことがあるんだろうかと甚だ疑問です。

グリーンウォッシュ自体はよくないことですが、グリーンウォッシュに対する批判も本当に妥当なものなのかという疑問を持って、批判を盲目的に受け取らないということも時には必要だと思います。

グリーンウォッシュ問題のこれから

グリーンウォッシュ批判について書いてきましたが、なぜグリーンウォッシュをする企業がいるのか(またはグリーンウォッシュと思われるかもしれないことをするのか)というと、サステナビリティに取り組んでいないと思われることによるデメリットを回避したいというのが主な理由だと考えています。これは前回の記事で書いたとおりです。あとは言うだけならタダなので、エコに関心のある顧客が買ってくれれば儲けものという下心のある企業もいるでしょう。

では今後グリーンウォッシュ問題がどうなっていくかというと、商品やサービスに関する表示内容の規制が進んでいくことになるでしょう。
実際に、ヨーロッパではグリーンウォッシュを禁止する法律が採択されて、マーケティングにおいて根拠がなかったり誇張する表現ができなくなります。日本でもグリーンウォッシュへの批判が多く取り沙汰されているので、ヨーロッパの動きが波及してくるのは時間の問題だと思います。

個別のグリーンウォッシュ問題は起こらない方が当然いいですが、グリーンウォッシュの問題自体が出てきたことはサステナビリティの取り組みが進む上でポジティブなイベントだと捉えています。
グリーンウォッシュをする側はメリットがある(またはデメリットが回避できる)からやっているわけで、そのメリットがあるということはサステナビリティが多少なりとも世の中のニーズとして大きくなってきていることの証左だと思います。サステナビリティの動きが進んでいく中での成長痛として出てきていると言っても間違いではないでしょう。

こうした動きを歓迎しつつ、手に取った商品がエコを謳っていたら「これは本当にエコなのか?」ということに疑問を持つことで見る目を養い、規制だけに頼らず私たち消費者の力でもグリーンウォッシュを駆逐していけるような世界になればよいなと思います。

ではでは、また次回お会いしましょう。

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