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2016.4.8cakes「自分という他人」のウラ話〜就活も恋も失敗しない方法〜

こんにちは、外科医の雨月メッツェンバウム次郎です。

さて、今週のcakesには「自分という他人」と題した記事を書きました。

記事はこちら

内容はこんな感じです。私、つまりアラサー外科医が進路に悩み色々な人に相談した結果、「要は自分がなにをやりたいかだよ」と色々な人に言われ、そんなことわからない、と思った。それがきっかけになって、「自分のことは自分が一番わかっている」というのは幻想なのではないか、つまり「自分という他人」が存在するのではないか、と思い考察したというお話でした。

自分とは他人である。だから自分が自分を一番わかっているというのは誤りだ。

とはいえ、誰かが自分のことを完璧に把握してくれるわけではない。なんとか自分で自分という他人の理解を深めねばならないのですが、そのためには文中にも出てきた心理学のSCT(Sentence Completion Test;文章完成法)なんかはとても有用です。これ、「私は____です」のような質問に10個とか20個とか答えるものです。

まあ実際のところ、「自分という他人」を理解していなかったとしても、生きていて困ることは少ないのですけどね。毎日の夕ご飯を決める時にせいぜいが悩む位のもの。

でも、人生の重要な決断の時にこれをわかっていないと、大きく方向を間違えてしまって後でかなりの時間やお金のロスになることがあります。

具体的には、就職をするときなんてその典型でしょう。と思い色々調べたり話を聞いてみると、「就活のときは選択肢が少なすぎて自分で主体的に決断しているとは言い難い」そうです。今の就活生はエントリーシートを100社以上も出して、引っかかった企業の中で一番待遇などが良いところを選びます。とはいえ内定をいくつもゲットしてその中から悩んで選ぶという「買い手」の就活生はとても少ない。選択肢などないので、5つも6つもいろんな業界のいろんな業種に応募し、その結果一番名の売れている、一番大規模な企業を選ぶというのが実態だと。

http://www.hrpro.co.jp/series_detail.php?t_no=714&page=3

このページを見ても、8割以上の就活生は0か1個か2個の内定しかない。しかも複数内定をとった就活生はいわゆる「オワハラ」(学生に就活を終わらせて自社の内定を蹴らないように、毎日面接したり他社は諦める誓約をさせるなど無理強いするハラスメント)を受けることが多いと。つまりよほどの就活強者でなければ、自分で選択することは極めて難しい。

とはいえ、面接への意気込みには強弱をつけるだろうし、緩やかには業種を選択しているのだろう。

そんな時、例えば「ブラック気味のスタートアップ」なのか「大企業の子会社」なのかでもかなり違ってくる。自分という人間が何をしたいのか、もっと言えばどんな仕事に生きがいを感じるのかで、就職後の人生はかなり変わってくると思うのです。

私の棲む医者の世界でもよく自分という人間を履き違えて専門を選ぶ医師がたまにいます。緻密に理論を重ねたり論理的な思考をする力が無いのに内科を選んでしまったり、暴言を吐かれても人間性を全否定されても素知らぬ顔でいられるタフネスが無いのに外科を選んでしまったり。その背景には外科や内科は偉く、眼科や耳鼻科、皮膚科は偉くないと考えている医師がとても多い。職業に貴賎はないが、科による貴賎はあると考えている医師が多いのです。下らないですが、このイメージに引っ張られて「私はマイナー科(眼科や耳鼻科など単一の臓器を担当し生命にはあまり直結しない科のこと)なんかにはいかない」と決めつけ、適性の無い科を選んでしまう。

就職に限らず、恋愛でも同じことが言えます。

自分の好みが自分でわからない人って、結構多いんですよね。特に女性ですが。女友達と話していても、20代も後半に差し掛かると「私ってどんな人が合うのかわからない」なんてよく言うじゃないですか。だから占いが好きなのでしょうが、そんな人にはあの例の五角形の「顔」「性格」「年収」・・・みたいなエクセルの「レーダーチャート」を作って欲しい。自分がどこに重きを置いているか、一度確認した方が良いでしょうね。こんな風に。

↑はあくまで例ですよ。でもこんな風に書くと、「私は意外と性格よりスタイルを重視していたんだ」とか、「収入は求めていないんだ」とかわかります。

このレーダーチャートを、結婚相手に求めるもので実際に私が作って見ました。

これは項目の決め方から自分でやります。その項目の作り方だけ見てもとても興味深い。

私のレーダーチャートをみると、「収入」「子供が好きかどうか」は低めです。自分が「一人きりでも生きていけるか」なんて項目を挙げるとは、私自身意外でした。しかしまあ、これをみると私はどれだけ自分勝手に仕事ばかりやって生きようとしているんでしょうね(笑)まだまだ修行が足りんようです。

と、こんな風に「自分という他人」を理解することはとても大切。「自己の客観視」は、人生における重要な選択のリスクヘッジとしてとても有用である。

そんなお話でした。





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