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序文公開:『ドローダウンー地球温暖化を逆転する100の方法』(期間限定)

翻訳がスタートした『ドローダウン ー地球温暖化を逆転する100の方法』の序文に当たる部分の第1稿を、期間限定で公開させていただきます。
*まだ第1稿の状態ですので、書籍になるときには表現・内容が変わることをご了承ください。意図や目的などの全体像をお伝えするために、第1稿で限定公開させていただきました。

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はじまり
ORIGINS

プロジェクト・ドローダウンの誕生は、恐れではなく、好奇心からでした。

2001年、私は気候分野や環境分野の専門家たちにこう尋ねました。

「地球温暖化を食い止め、逆転させるために何をするべきか、わかっているのですか? 」

私はてっきり“買い物リスト”をもらえると思っていました。
私が知りたかったのは、すぐにでも実行に移せる最も効果的な解決策、それが普及した場合のインパクトでした。その解決策の実行に必要な費用も知りたいと思いました。
返ってきたのは「そんなリストは存在しない」という答えばかりでした。
同時に、あったらすばらしいチェックリストになるだろうと異口同音に言われました。そしてそのリストを作成するのは自分の専門外だ、という声もありました。

それから数年が経ち、私は尋ねて回るのをやめました。私自身もこの問題の専門家ではないからです。

やがて2013年がやって来ました。高い危機感を抱かせる論文がいくつか発表され、思いもよらないことが囁かれはじめました。

ゲームオーバーだ。

いや、本当にそうでしょうか? 
まだ何とかなるのではないか?本当はどの地点にいるのか?

私がプロジェクト・ドローダウンの結成を決めたのはその時でした。

ドローダウンとは、温室効果ガスがピークに達して、年々減少しはじめる時点のことです。私はこのプロジェクトの目標を、確実な100の解決策を特定、評価、モデル化して、ゲームオーバーまでの30年でどれだけのことを達成できそうか明確にすることに定めました。

 本書のサブタイトル『地球温暖化を逆転させるための、史上最も包括的な行動プラン』は、少々おこがましく聞こえるかもしれません。ですが事実、温暖化を逆転させる詳細な計画は未だ提案されていませんでした。
だからこそ私たちはその表現を選びました。

炭素排出のペースを抑えたり、上限を設けたり、止めたりする方法の合意や提案はあり、世界の気温上昇を摂氏2度未満に抑えるという国際的な公約(パリ協定)もあります。

地球に決定的な文明の危機が迫っていることを認め、195カ国が一致協力して異例の前進を遂げ、各国の行動計画を作成しました。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、人類史上最も意義ある科学的調査を完了し、今も科学的知見を磨き、研究を拡大し、想像できるかぎり最も複雑なシステムの1つ、地球温暖化をさらに理解しようと努めています。

しかし、温暖化ガス排出を遅らせる、止めるという以外のロードマップは今のところありません。

誤解のないようにお伝えすると、私たちがプロジェクトの計画を立てたわけではありません。私たちには、その力も、自ら決める権限もありません。調査を進める過程で、私たちはプランを見つけたのです。
人類の集合知として世界にすでに存在している青写真を見つけたのです

すでに一般的に利用されていて、経済的にも実現性があり、科学的にも妥当な方法、技術を提示しただけなのです。
それらは、世界中の農家やコミュニティ、都市、企業、政府が、この惑星を、そこに住む人々を、そして自分たちの住む土地を気にかけていることの証明でした。
世界中の熱意ある人々が並はずれたことをしているのです。

本書はそんな人々の物語です。

 プロジェクト・ドローダウンを信頼できるものにするために、研究者と科学者のグループの協力が必要でした。予算はちっぽけなのに野心にあふれる私たちは、世界中の学生や学者に研究員にならないかと呼びかけました。科学・公共政策の分野のとびきり優秀な男女からの反応が殺到しました。
現在、ドローダウン・フェローは22カ国の70人で構成されています。40%は女性、半数近くが博士号取得者、それ以外の人たちも少なくとも1つは高度な学位を持っています。フェローたちは、世界屈指の権威ある機関で幅広い学術的・専門的経験を積んでいます。

 私たちは一緒に気候変動の解決策を集めリスト化し、炭素排出を削減する、もしくは大気中の炭素を隔離する効果・可能性が非常に高いものを選別しました。

次に、文献レビューを集め、各解決策の詳細な気候モデルと経済モデルを考えました。さらにこうした分析の結果を外部の専門家がインプット、ソース、そして
計算の各項目にわたって評価するなど、3段階の精査プロセスを持って検証しました。

私たちは120人から成る諮問委員会を作りました。地質学者、エンジニア、農学者、政治家、ライター、気候学者、生物学者、植物学者、エコノミスト、金融アナリスト、建築家、活動家など、卓越したメンバーの多様なコミュニティを形成して、本書の文章を評価・検証してもらいました。

 本書でまとめられ、分析された解決策のほぼすべては、再生力のある経済的成果につながり、安全、雇用、健康の改善、金銭の節約、移動性の向上、飢餓の撲滅、汚染防止、土壌の回復、川の浄化などをもたらします。

それらは確実な解決策ですが、だからといってすべてがベストの解決策というわけではありません。

本書には、少数ながら、その波及効果が明らかに人間と地球の健康に不利益な項目があり、それについては明記するようにしています。
しかし、圧倒的大多数は後悔しない解決策で、最終的に炭素排出や気候に与える影響を脇に置いておいたとしても、私たちがぜひ達成したい取り組みになっています。というのは、どの解決策もさまざまな意味で社会や環境に利益をもたらす方法だからです。

 『ドローダウン』本編の最後のセクションは「今後注目の解決策」というタイトルで、出現しかけている、あるいは実現の日が近い20の解決策を紹介しています。うまくいくものもあれば、失敗するものもあるでしょう。それでも、この20の解決策は、気候変動を解決しようと打ち込む人々が注いできた独創性や情熱の証明です。

本書中には、著名なジャーナリストやライター、そして科学者たちによるエッセイのページもあり、個々の解決策の文脈に豊さと多彩な背景を添えています

私たちは”学習する組織”でありつづけます。私たちの役割は、情報を収集し、それを役に立つ方法で整理して、あらゆる人に配布し、本書やウェブサイトdrawdown.orgの情報を誰でも追加、修正、訂正、補足できる手段を提供することです。専門的なレポートと拡大モデルの結果はそこで閲覧できます。30年間を予測するモデルは、推測の域を出ないものになるでしょう。

しかし、私たちは数字が概ね正しいと信じており、読者のコメントや意見を歓迎します。

 干ばつ、海面上昇、容赦ない気温上昇から難民危機の拡大、紛争、混乱まで、間違いなく、自然や社会のあちこちで遭難信号が点滅しています。

しかし、それは全体像の一部にすぎません。

信念に忠実に、断固として対応に当たっている人がたくさんいることを、私たちは『ドローダウン』で示そうとしてきました。

化石燃料の燃焼と土地利用に由来する二酸化炭素排出は、そうした対応策より2世紀早く始まっていますが、私たちはそれに賭けようと思います。
今日私たちが経験している温室効果ガスの蓄積は、人間の理解がない中で起こりました。私たちの先祖は、自ら与えていた損害について悪意がありませんでした。

だからこそ、地球温暖化は私たちに起きていること、私たちは先人の行動によって定められた運命の犠牲者なのだとつい思いたくなります。

わずかに言い方を変えて、地球温暖化は私たちのために起きていると考えてみたら、つまり、大気の異変は私たちが何をつくり、どう行動するか、すべてを変えなさい、再考しなさいというメッセージなのだと考えてみたら、全く違う世界に住み始められるのではないでしょうか。

私たちは100%の責任を引き受け、誰かを責めるのをやめます。
私たちは地球温暖化を避けがたいことと見ていません。
私たちが建設的になり、革新し、変化を起こすための機会であり、創造性、思いやり、才能を目覚めさせる道への招きだと見ています。
これは、リベラル派のアジェンダでも、保守派のアジェンダでもありません。

人類のアジェンダなのです。

――ポール・ホーケン

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言葉について
LANGUAGE


孔子曰く物事を正しい名前で呼ぶことが知識の始まりです。

気候変動の世界では、名前が混乱の始まりになることがあります。気候科学には、特有の専門語彙、頭字語、学術後、業界用語があります。それは科学者や政策立案者から生まれた簡潔で限定的で便利な言葉です。
しかし、社会一般の人々とのコミュニケーションの手段としては、溝や距離感ができてしまうことがあります。

 学生の頃、経済学の教授に「グレシャムの法則」の定義を聞かれ、型にはまった説明をすらすら答えたことを覚えています。
教授は私を見つめ――答えは正しかったのに、渋い顔つきでした――今度はあなたのおばあさんにもわかるように説明してみなさいと言いました。

それははるかに難しいことでした。私は教授に答えはしましたが、それを私の祖母が聞いてもちんぷんかんぷんだったでしょう。

それは専門用語でした。気候問題や地球温暖化にも同じことが当てはまります。気候科学をほんとうに理解している人はめったにいませんが、地球温暖化の基本的なメカニズムはいたって簡単です。

 私たちは『ドローダウン』をどんな背景や考え方の人でも理解できる本にしようとしました。言葉を選び、アナロジー(類推)や業界用語は避け、わかりやすい比喩を用いて気候コミュニケーションのギャップを埋めようと努めました。頭字語やあまり知られていない気候用語はできるだけ控えています。
原則として、略さずに「二酸化炭素」と書き、CH4ではなく「メタン」と書いています。

 1つ例を考えてみましょう。2016年11月、ホワイトハウスは今世紀半ばまでに大幅な脱炭素化を達成するための戦略を発表しました。私たちの見方では、「脱炭素化」は目標ではなく、課題を描写する言葉です。

たとえば、石炭、ガス、石油の燃焼という形の炭素、また森林破壊や環境によくない農業に由来する炭素を除去しながら、大気中に炭素を放出して[相殺することで]地球を脱炭素化した、となります。

「脱炭素化」という言葉が使われる場合、ホワイトハウスの例のように、化石燃料エネルギーをクリーンで再生可能なエネルギー源に置き換えることを指します。しかし、この用語は気候変動対策の大きな目標として使われることが多く、それを聞いて人がやる気を出すというより、混乱しそうな言葉です。

 もう1つ科学者が使う用語に「ネガティブエミッション」(負の排出、マイナスの排出)があります。この用語は、どの言語でも意味をなしません。ネガティブハウス、ネガティブツリーと言ったらどうでしょう? 
何かが存在しないということは何もないのです。この表現は、大気中の炭素を隔離または減らすことを指します。私たちは隔離と呼びます。それはカーボンポジティブであって、ネガティブではありません。

これもまた気候特有の言い回しが世の中の言葉づかいや常識とはかけ離れている一例です。

私たちの目標は、中高生から配管工まで、大学院生から農家まで、できるだけ幅広い読み手にとってわかりやすく、納得してもらえる言葉で気候科学と解決策を提示することです。

私たちは軍事用語も使わないようにしています。気候変動に関する表現や文章の大半は、力に訴える激しい印象です。

炭素戦争、地球温暖化との闘い、化石燃料に挑む最前線の闘いという調子です。なたでも振るうかのように排出量を切り下げることが記事になります。

こういう言葉づかいは、私たちが直面していることの重大さと地球温暖化に対処する時間はわずかしか残されていないという緊迫感を伝えようとしてのことだとは理解できます。

それでも、「戦争」「闘い」「十字軍」などの表現は、気候変動が敵であり、抹殺すべきものという含みがあります。気候は地球上の生物学的活動と相関関係にあり、空の物理学と化学です。気候は長期間にわたって優勢な気象状態です。

気候は、これまでも常に変化してきたのですから今も変化し、これからも変化するもので、気候の変動が季節から進化まですべてを生み出します。

目標は、人間が引き起こしている地球温暖化に対処し、炭素を元の場所に戻して、私たちが気候に与えている影響と調和させることです。

「ドローダウン」という用語にも説明が必要です。
従来、これは軍事力、資本勘定、井戸の水位の減少を表す言葉です。私たちは大気中の炭素量を減らすことを指すのに使っています。しかし、この言葉を使うのはもっと重要な理由があるからです。ドローダウンは、気候についての話からこれまでほぼ抜け落ちていた目標を指します。排出に対処する、排出を遅らせる、排出を阻止する。どれも必要ですが、それだけでは不十分です。間違った道を進んでいるなら、ゆっくり進んだところで間違った道にいることは変わりません。人類にとって意味のある唯一の目標は、地球温暖化を逆転させることです。親、科学者、若者、指導者、そして私たち市民が目標をはっきりさせなければ、それが達成される可能性はないも同然です。
 
最後に「地球温暖化」という言葉にも触れておきます。この概念の歴史は19世紀にさかのぼります。
その頃、ユーニス・フット(1856年)とジョン・ティンダル(1859年)という科学者が、大気中のガスが熱を封じ込め[(温室効果)]、ガスの濃度変化が気候を変える現象をそれぞれ独自に説明しました。「地球温暖化」という言葉は、地球化学者のウォーレス・ブロッカーが1975年に学術誌『サイエンス』で発表した『Climatic Change: Are We on the Brink of a Pronounced Global Warming?』(気候変動:私たちは顕著な地球温暖化に瀕しているのか?)という論文で初めて使われました。

その論文以前は、「inadvertent climate modification」(意図しない気候改変)という用語が使われていました。地球温暖化とは地球の表面温度を指します。

気候変動とは気温上昇や温室効果ガス増加に伴って起こる多くの変化を指します。したがって、国連の気候問題機関は「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」であって、「地球温暖化に関する~(IPGW)」とはならないのです。IPCCは、気候変動があらゆる生きたシステム(リビング・システム)に及ぼす包括的な影響を研究しています。『ドローダウン』で評価し、モデル化するのは、地球温暖化を逆転させるために温室効果ガスを減少に転じさせる方法です。

――ポール・ホーケン

数字について
NUMBERS


各ページの内容
『ドローダウン』の解決策ひとつひとつの陰には、何百ページもの調査と頭脳明晰な人たちが考えた厳密な数学モデルがあります。
解決策それぞれのページでは、歴史、科学、代表的な事例、可能なかぎり最新の情報を紹介します。書かれていることはすべて細部まで専門的評価による裏づけがあり、評価の詳細は私たちのウェブサイトで閲覧できます。

解決策ごとに、排出削減の可能性に基づくランキングをはじめ、そのモデルのアウトプット(成果)もまとめてあります。

何ギガトンの温室効果ガスを回避できるか、あるいは大気中から除去できるかに加え、その解決策を実行した場合の増分(差額)コスト合計、正味コストまたは(ほとんどの場合)正味節減額も示しました。

モデルのインプット(入力情報)は、ピアレビュー(同分野の研究者による査読)を経た科学に基づいています。土地利用や農業など、分野によっては裏づけに乏しい事実や数字が多い場合があり、その一部については言及しましたが、計算には用いていません。
 巻末に、解決策を分野別にグループ分けし、グループごとにインパクトを合計した表を掲載してあります。

解決策のランキング
解決策をランクづけする方法はいくつかあり、費用対効果はどれくらいか、どれくらい速やかに実行できるか、社会にとってどれくらい有益かが尺度になります。どれも結果を解釈する方法として興味深く、有用です。

本書では、私たちの目的に合わせ、その解決策によって回避または大気中から除去できる可能性がある温室効果ガスの総量に基づいてランクづけしています。ランキングは世界全体での順位を指します。ある解決策の相対的な重要性は、地理的条件、経済状況、分野によって異なる場合もあります。

二酸化炭素削減の単位、ギガトンとは
 マスメディアの注目という点では二酸化炭素が一番目立ちますが、温室効果ガスは二酸化炭素だけではありません。私たちが測定する温室効果ガスにはメタン、亜酸化窒素、フッ素化ガスも含まれます。それぞれが、大気中の濃度、大気中に残存する期間、残存期間中に吸収または再放射する熱量に応じて地球の気温に長期的な影響を及ぼします。これらの要因に基づいて、科学者は温室効果ガスの地球温暖化係数(GWP)を計算します。この係数が温室効果ガスのいわば「共通通貨」となり、あるガスの温室効果が二酸化炭素に換算すればどれくらいかがわかります。

『ドローダウン』の解決策はそれぞれ、排出を回避するか、すでに大気中にある二酸化炭素を隔離することで(両方の場合もある)温室効果ガスを削減します。ある解決策が温室効果ガスにどれくらい関係するかは、2020~2050年に削減される二酸化炭素が何ギガトンかで表します。すべてを合計すると、固定した対照事例、つまり現状維持の世界と比較して、2050年までに削減可能な温室効果ガスの総量になります。

 ところで、1ギガトンとは何でしょう? オリンピックサイズのプール40万個分と言えば、その多さをイメージできるでしょうか。水量にすると、およそ10億(メートル)トン、つまり1ギガトンになります。さて、これを36倍するとプール1,440万個分になります。36ギガトンは2016年に排出された二酸化炭素の量です。

総コストと運用節減額
 本書の解決策それぞれの総コストは、それを購入、設置し、30年間運用するために要する総額です。その金額を一般に食料や自動車の燃料、家の冷暖房などに費やす金額と比較して、ある解決策への投資の正味コストまたは正味節減額を算定しました。

 計算は控えめすぎるくらい控えめに行いました。つまり、高額なハイエンドの解決策に伴うコストを想定し、それが2020年から2050年まで比較的一定という条件での計算です。技術は急速に変化していますし、世界各地で多様化するでしょうから、実際のコストはもっと少なく、節減額はもっと多いと予想しています。

しかし、控えめに見積もったとしても、本書の解決策の正味節減額は圧倒されるような額になる傾向があります。ただし、解決策によっては、たとえば熱帯雨林を守るとか女子教育を支援するコストのように、コストと節減額を計算できない場合もあります。

 全人類に恩恵をもたらす結果を達成するために、私たちはどれくらいのお金ならかかってもよしと思うでしょうか? 巻末に解決策ごとの正味コスと正味節減額をまとめた表を掲載し、比較できるようにしてあります。正味節減額は解決策の実行後、2020年から2050年まで運用するコストに基づいて算定しました。

この計算の結果に本書で提示した解決策の費用対効果の高さがはっきり示されています。恩恵の大きさ、見込める利益と節減額、条件が変わらないという前提で必要な投資を考慮すると、コストは無視してよいほどのものになります。ほとんどの解決策の投資回収期間は比較的短いと言えます。

さらに詳しく知るには
『ドローダウン』で紹介する成果は、私たちの知見を裏づけるために行った全調査の要約にすぎません。私たちの調査方法と仮説のより詳しい概要については「調査方法」のページにまとめてあります。また、私たちの調査、情報源、仮説についてさらに詳しくはdrawdown.orgでも閲覧できます。

本書を読めば、書かれている解決策がいかに理にかなった、力を与えてくれるものであるか明らかになるでしょう。
解決策となる技術の背景にある科学を生涯かけて研究している専門家でもなければ理解できない、長たらしい専門的なマニュアルではなく、私たちが集団としてできること、また個人として一人ひとりが果たす役割を知りたいと思う人なら誰にでもわかる本であること。それが『ドローダウン』のねらいです。

――チャド・フリッシュマン

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