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インプロ(即興)のすゝめ

 インプロ(即興)は、舞台芸術の分野だけでなく、何年も前からビジネスピープル達にも一般的に学ばれ、教育現場でも使われてきています。私の知人にもインプロを教えてくれる素晴らしい講師やインプロバイザー(インプロを専門にしたパフォーマー)が多くいます。
 今回は、私の経験や知識をもとに、「○○な人にインプロ(即興)ってめっちゃ重要だよね。」ということを伝えていきます。

全ての人にとって重要

 いきなり全ての人かよ!と突っ込みを受けそうです。インプロの根底にあるのは、インプロは子どものような「喜び」を呼び覚ましてくれるものであると思います。

 もし子どもにボールを渡したらどうでしょうか?いくつもの遊びを考案して、ルールも役割も変幻自在で、一日中でも遊んでいるでしょう。しかし多くの大人にボールを渡しても、なかなか遊びにまで発展しないと思います。
 インプロを作ったキースジョンストンは、大人は「委縮した子ども」と捉え、子どもは大人になるにつれて徐々に創造性を発揮できなくなると考えました。しかしその創造性はインプロによって取り戻すことができるとも考えました。
 この身の内から溢れる創造性は、すべての人にとってまさに「喜び」であり、今のこの状況下において必要なものだと考えます。
 先日、インプロの講師であり素晴らしいインプロバイザーの「ひろきゅん」こと小島 啓寿さんは、昨今のウィルスで4月のレッスンがキャンセルでひどく落ち込んでいました。たまたま一緒に打ち合わせをしていましたが、あまりの落ち込んだ様子に私も本当に気の毒に感じるほどでした。しかしミーティングが終わり、残り一時間インプロのワークをすることになり、初めはあまりの憂鬱さに参加を小島氏は拒否していましたが、一旦始まってしまうと喜々として参加し、すがすがしい様子で稽古を終えました。
 この時自分の中から湧いてくる創造的な力は、例え周りの状況が酷くても、常に喜びを届けてくれるのだと感じました。

 何よりも早くコロナが終息に向かって、通常にクラスが運営できるようになってほしい。ちなみに彼のツイッターは下記にあります。

https://twitter.com/hirokyun1613?s=20

役者にとって重要


 同じ身体表現でも、台本をベースとする役者とインプロバイザーとは全く違います。役者でもインプロは苦手だという人は多くいます。 

 たまに予定調和ばかりの演技ばかりする役者がいますが、それは自分の内にある創造性を信じられず、常に変化する舞台上の状況にリアルタイムで反応できないで、稽古でやったことしか出せないのが理由の一つと言えます。 

 ロシアの20世紀を代表する役者の一人であるマイケルチェーホフは、動き・セリフ・身振りも決められていても、すべて即興で演技をしたといわれています。つまり決められた中でも、自分の自由な創造性を常に大切にして今を生きた芝居をしていたのでしょう。 

 こういった「今」に対応するライブ感を養ったり、自分の創造力を培う手段としてインプロを稽古に使うことはとても有効でしょう。


ビジネスにとって重要

 ビジネスにおいて求められるスキルにおいて常にランキングに上がるのは、問題解決能力や人材のマネイジメントといったコミュニケーション能力です。
 しかし私がビジネスパーソンを相手にWSを行うときにまず感じるのは、その萎縮した受講生の様子です。何をするにしても、ありもしない正解を求めるかのようにする姿勢は、複雑で流動的なコミュニケーションにおいて決して適してはいません。
 その現状を感じ多くの企業がインプロを使ったセミナーを行ない、多くのビジネスパーソンがインプロのレッスンに通っています。ちなみにアメリカのグーグルの本社ではインプロ部があるようです。

語学教育にとって重要


 私は英語を教えていますが、語学こそインプロが活躍するべきと感じています。決して現在の文法や読み書きを中心にした勉強を否定するわけではないですが、インプロを用いることで第二言語をより自分の言語として使うことができると思います。
 よく私は受講生と一緒に、即興のワーク「ワンワード(フレーズ)」を行います。これはタイトルだけ設定し、それに応じて、単語や句を出し合ってストーリーを作っていくものです。

例えば「現代版シンデレラ“Modern Cinderella”」をタイトルすると、
”One day” 「ある日、」
“there is”「いました」
“a beautiful woman” 「美しい女性が」
”at a pub.” 「飲み屋に。」
”Her name is"「彼女の名前は」
"Cinderella"「シンデレラでした。」
”She is” 「彼女は」
“very”「とっても」
“lonely” 「孤独で」
“and” 「そして」
“drunk.” 「酔いつぶれていました。」
“Because” 「なぜなら」
“she”「彼女は」
“doesn’t have”「持ってなかったから」
“any friends.”「友達を一人も。」
などなど

 5~6分もやれば結構長いストーリーになり、後で読み返すとびっくりするような表現や語彙が出てきます。もちろんこの時講師が文法や語彙の訂正をする必要はあります。
 現行の学校の語学授業の言葉に対する正確さと、インプロの自由さがあればきっと楽しく身になる授業になると思います。

子どものために重要

 子どもは創造性の象徴とされますが、しかし実際はどうでしょうか?
 子どもにワークを行うと、決まって批判的で斜に構えた生徒や、間違えを恐れる生徒や、ルールなどお構いなしの生徒など、到底自分の創造性を探る状態ではない子どもが多く見受けられます。
 インプロのワークは大変多く、様々な能力を伸ばしてくれるように作られています。集団や学齢期に合ったワークが組むことができます。
 以前小学生の低学年のWSを行った際には、私はチームワークや傾聴力を鍛えるために「イルカの調教」というワークをしました。イルカ役の生徒が、皆の合図に導かれ、決められたポーズを見つけ出すワークです。始めは騒がしかったクラスが徐々に静かになり、ワークに夢中になる姿は、講師としてとても嬉しかったです。
 こういった些細なゲームで、聴くことの楽しさやチームで何かを行う面白さが見いだせると思います。

 インプロの一番のすばらしさは、まず「喜び」があることです。細かいこと抜きに自分を楽しみ、他人と楽しめる素晴らしいツールといえるでしょう。ぜひインプロがもっともっと広がってほしいです。

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演劇に興味のある方、声や表現力に関心がある方はぜひご連絡ください。michael_chekhov_tokyo@yahoo.co.jp

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演技講師・俳優・演出家・通訳。マイケルチェーホフ東京代表。イギリスで舞台芸術を学ぶ。 ビジネスパーソンや子ども向けにコミュニケーションスキルや表現力向上のレッスンを行う。演劇を通しての語学習得の記事も寄稿する。料理好き(煮込み料理得意)。読書好き(池井戸潤にハマっている)。