分かち合うということ。

Written by Food/Producer Lisa


「人は、ひとりでは生きていけません。」

「人は、人の間の中で、生きていけるようになったときに初めて一人前です」

「困っているときは、助け合っていってください」

ふーん。そうかぁ。そういうものなのかぁ。

そんなことを20年前の小学校の先生が話したことをこんな形で実感する日が来るなんて、思ってもいませんでした。

2020年

見えないものとの戦いが始まり、世界が一変しました。

いつもの月曜日。今週も頑張ろうと意気込んで、

いつもの満員電車。電車の発車ベル。

いつもの慌ただしい毎日。隙間なく鳴るスマホのアラート。

来月に計画した旅行が楽しみで、スケジュール帳を見ては、心踊る日々。

東京の華やかさ、儚さ、交差する出会いと別れと。

そんな都市での”いつもの”生活ではなくなってもう季節が一巡りしようとしています。

私たち、Dramatic Dining制作メンバーもこの自体に直面しオンラインでしか会うことができなくなった時期がありました。

画面越しでの10人を超えるメンバーとのミーティングを繰り返す日々。
気づけばPCの前で7時間、12時間と時間が経っていて私たちの世界が画面の中にしか存在しなくなってしまった時のことをこれからも忘れることはないと思います。

私は料理を23歳のときに始めてから、飲食店を経てフードコーディネーターとして独立し今日まで本当に仕事漬けの日々を過ごしてきました。

それは、嫌な意味ではなく「仕事が大好き」だったから、毎日いいことがあっても嫌なことがあっても仕事と向き合うこと=好きなことをする人生という方程式が変わることはありませんでした。

それが大きく変化したのは、先日訪れた小豆島での出会いでした。

東京から西へ600km

私は仕事でこれまでも4年ほど東京と香川を行ったり来たりしていて、通い慣れた場所だったのに、この日は違いました。

目の前の視界いっぱいに広がる、日常では見慣れない青い景色。
ずーっとずっと続く海なのに、ずっと違う青色が続く海。
海の目の前の砂浜にテントを張って、日が暮れたら火をおこして即興で料理をして。

フルーツのサラダやタンドリーチキンなどお洒落な料理を並べて、
たまたまあった炒った麦をお刺身に合わせたら信じられない美味しさで一緒に食べた4人で大興奮しました。(これは本当に美味しかったので食べて欲しい)

料理に夢中になっていたらいつの間にかあたりは真っ暗で、そんな夜の暗闇に浮かぶパチパチ音を立てながら燃える火を見ながらお酒を飲んで、お洒落だねえなんて言いながら話し込んで。

「あーーーー!流れ星!!!!」

「そうそう、いつも見えるんよね。」

そんな穏やかな自然と海を見て、その自然と一緒に生活する人に出会ったらこんなふうに思ってしまったんです。

「私の生活って仕事しかないなあ」

誤解がないように、先ほど書いたとおりで仕事は大好きなんです。

仕事での出会いや、ひとつまたひとつと自分が関わった料理や商品ができていくことはものすごく楽しいことなんです。

でも、好きな気持ちの裏面でどこか
「仕事をしている自分が認められている自分」
「好きなことをしている自分=正しい」
みたいな。なんかこれって贅沢なんだけど、自分のことばっかり…。

「この景色、ええよね。みんなにもっと知って欲しいんよね」

何なん。
ずるいなあ。


この朝の穏やかな風を真っ青な海を見てたら、そんな気持ちにもなるよね。
知らず知らずに自分のことばかりを考えていた自分はやっと気づくことができました。
人はひとりでは生きていけないんだよと。
ひとりで生きていっているわけではないんだよと。

それは困ったときに助けるだけじゃなくて
楽しさとか、綺麗なものも分かち合うことができるんだってことを。


東京に戻ってきてからも自然のパワーをもらって、

私は、食べてくれた人が慌ただしい中で、ちょっとだけ立ち止まってホッとできる料理を作りたい。そんな原点の気持ちに帰ることができました。

食べてくれた人が美味しさを分かち合えるような料理を届けたい。

DramaticDiningという日常をドラマチックに飾るイマーシブシアターでは私たち50人近くのスタッフ、

『Shadows of the Flower -華の影たち-』

あなたの人生とって大切にしたい気持ちってどんなこと?

どんな美味しさを作ることができるかな。

それは、扉を開けてからのお楽しみ。

東京・浅草でお待ちしています。

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