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世界で大ヒットした映画「アベンジャーズ」が日本で苦戦したのは手塚治虫のせい説【漫画VSコミック】

こんにちは! ドラグティガ・プロジェクトの西村虎次郎です。

最近YouTubeで面白い動画を見たので、シェアしたいと思います。

「日本でHIPHOPがはやらないのはダウンタウンのせい説」なんか引きがあるタイトルですよね。

……はい、パクりました。

この動画の内容を要約すると、こんな感じになります。



・日本でアメリカほどHIPHOPがメインストリームになっていないのは、HIPHOPが与えている価値をお笑いが代替しているから。
・松本人志のカリスマ性によって、様々なジャンルの才能とセンスのある人材が、お笑い界に引き寄せられていった。
・一人の天才によって、一つの分野に才能を集中させてしまうことがある



とても面白い考察だったので、是非動画も見てもらいたいんですが、僕はこう思ったわけです。

「あれ? これって漫画とコミックの関係にも似てるな」

これがアメコミが日本で流行らず、ひいてはMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)という世界の興行収入ランキングを独占している作品群が、日本市場では漫画原作映画に惨敗している異常事態の元凶なのです!

それがどういうわけだか、僕なりに分析したので解説していきたいと思います。

手塚治虫が日本を漫画大国にした

冒頭の動画では、お笑いにあらゆる才能を呼び込んだカリスマがダウンタウンの松本人志だとすれば、漫画界に才能を集めたのは手塚治虫だと語られています。

それはその通りです。手塚治虫がいなければ今の漫画はないといっても過言ではありません。おそらく誰も異論はないでしょう。

手塚治虫の功績や影響は色々あります。

・ストーリー性を重視した作品づくり
・漫画アシスタントを導入
・スピーディーなアクション・構図
・コマ割りとその読み方
・擬音の使い方

ざっと挙げただけでとんでもないことが分かりますね。
これ全てが一人の天才による発明なのですから。

そんな手塚治虫の作品を見て、あらゆる才能を持った人材が漫画家を目指し、日本において大量の漫画が作られるようになりました。
今ある漫画はすべて、手塚治虫の子供たちなんです。

だからコミックは作られない

手塚治虫の仕事ぶりは凄まじかったらしく、調べるといくつもの武勇伝がいたる場所で語られています。

「一度に10タイトル以上の連載を抱えていて、ほとんど寝る暇もない殺人的スケジュールの中で休まず仕事をしていた」
「入退院を繰り返している時でも漫画を描いていた」
「鉄腕アトムの海賊版の漫画にも原稿の修正をした」

などなど、挙げれば枚挙にいとまがありません。
こんなこと、真似できる漫画家は他にいないでしょう(居たら止めたほうがいいです)。

ただ、こういった彼の武勇伝が発しているメッセージは明確です。
それは――

――「漫画は一人の天才が描くもの」

ということ。

大勢のアシスタントは居るものの、彼の漫画は手塚治虫という一人の天才が心血を注いで作ったという印象が強く残っています。

なので、漫画には分業という概念が一般的ではありません。
原作と作画に分かれている漫画はありますが、コミックほど細かく役職が分けられていて、そのどれもが同じようにスポットライトが当たる一人のアーティスだという認識はありません。

漫画では、基本的に著作者はひとりです。
ひとりの天才が、脚本・コマ割り・デザイン・人物作画・背景・吹き出し・効果音、場合によっては彩色まで、すべての工程を行います。実際には様々な状況があると思いますが、少なくともそういう印象が世間では一般的です。

なので、面白い話を考えるだけの才能の人も、絵を描く才能だけの人も、構図や背景だけの才能の人も、ひとりで漫画を描いています。

それは手塚治虫のひいた漫画というレールの上では当然のことで、彼らの頭には分業で自分の力を発揮するコミックという選択肢がないからです。

漫画に様々な才能が集結しているこの日本において、現在コミックが作られることはありません。

「鬼滅の刃」が「アベンジャーズ:エンドゲーム」の6倍も興行収入を稼ぐ国

手塚治虫という偉人によって漫画の固定概念を作られてしまったので、コミックという文化の土壌は日本で育ちませんでした。

アメリカなら本来コミックのアーティストになったりする人や、ライターになってもいいような人が、一人で漫画を描くか、もしくはイラストレーターや小説家など別の道に進んでしまっています。

出版社も漫画の方が売れるので漫画を作ります。
日本においてコミックが作られることは一向にありませんし、そうなるとアメリカンコミックもごく少数の読者が読むとてもマイナーなカルチャーに落ち着いてしまいます。

そんな状況でどうして「アベンジャーズ」が流行るでしょうか?

アイアンマンやキャプテンアメリカという、海外では超超超メジャーなキャラクターも、日本では映画が公開されるまでほとんど無名でした(実は僕も彼らを知ったのはそのあたり)。

もちろん、全く話題にならなかったわけではありません。
10年以上にもわたり、さらに20作品以上にもわたって綴られてきた、MCUの最高傑作であり世界最高興行収入を記録した「アベンジャーズ:エンドゲーム」は、日本で興行収入60億円という凄い結果を残しました。

しかし、日本のいち連載漫画の、たった一部分をアニメ化した映画「鬼滅の刃:無限列車編」は、400億円の興行収入をたたき出します。

ざっとエンドゲームの6倍以上です。

もちろん鬼滅の刃という作品の完成度の高さや面白さも関わっているとは思います。しかし、今よりもっとコミックを作るクリエイターがいて、コミックを読む読者が居れば、もう少し結果は変わったでしょう。

みんなコミックを作ってくれよ!!

長々と語ってしまい申し訳ありません。
要するにここまでで僕が言いたかったのは

日本のみんなもコミック作ってよ!

ってことです。

散々手塚治虫を元凶のように書いてきましたが、僕自身は漫画も大好きです。「ブラックジャック」は全部読みましたし、「呪術廻戦」だって毎回楽しみにしてますし、僕の体はほとんど「名探偵コナン」でできています。

ただ、コミックの素晴らしさも同時に知っていますし、だからこそ現状の日本コミック市場がとても歯がゆくて仕方ありません。
漫画がコミックって呼ばれてたり、「アイアンマンって原作あるの?」って聞かれたり、好きなコミックの邦訳が一向に出なかったり(バットマン:ウェディングについてまだShoproさん許してないですからね)……。

一億人の人口がいる日本で、その才能のほんの一部がコミックに向くだけで、とんでもないコミック作品が出来るはずなんです。
イラストレーターさん、小説家、アニメーター、脚本家、デザイナー、そして漫画家。彼らにコミックという新しい選択肢があれば、日本のエンタメ業界がさらに面白くなっていくはずだと、僕は確信しています。

というか読みたい!!

日本人の日本人による日本人のためのコミックが読みたい!

だからみんな、お願いだから作ってくれよ!!!!



……あ、僕らも作ってみますんで、よかったら見てやってください。


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最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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