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掃き出し窓のガラス

「掃き出し窓」といって伝わるのは建築関係の知識がある人だろう。「掃き出し窓」とは、ベランダなんかへと続く、人が立ったまま通れる大きさの窓のことだ。私はその掃き出し窓に関する思い出がある。今回はそれを綴っていく。

それは中学生の頃で季節は冬、私は自分の部屋に居た。九州在住だから、雪国程室内の防寒は良くない。子供部屋にエアコンなんて当然無く、電気ストーブを使っていた。その時の私はふと閃く。この冷たさは部屋で1番大きな窓である、掃き出し窓から入ってきているのだから、その窓を温めれば部屋の冷えはマシになるのではないか、と。
しかしその考えは危険だった。一般的なガラスは、温度差が60度あるとヒビが入ると言われている。外気は1桁の気温でも、電気ストーブを目の前に近づければ温度差は簡単に目安の60度を超えていく。そして、掃き出し窓にはヒビが入った。この体験により、私はガラスに温度差を生じさせることが良くないということを学習した。

それから15年は過ぎただろうか、私は1Kのアパートで暮らしていた。そこの掃き出し窓は、下半分が網入りガラスになっていた。網入りガラスは、ガラスにワイヤーが網状に入っており、火災時の延焼やガラスの飛散を防ぐ効果がある。但し、その代わりに通常のガラスよりも、温度差で熱が入りやすいという特徴もあった。
電気ストーブでの失敗もあった私は、冬場ではガラスに熱源を当てないよう過ごしていた。しかし、ある時、網入りガラスにはヒビが入っていた。私は、私自身が何かしてしまったのかと気にして、とりあえずガムテープで目張りし、ヒビが入った側の掃き出し窓の正面に本棚を置き、冷気が中に入るのを防いだ。
しかし、その部屋から引っ越す際のこと。ガラスのことを何か言われると思ったら、経年劣化だろうとのことだった。そう、網入りガラスは通常より温度差でヒビが入りやすいが、経年劣化でも更にヒビが入りやすくなるのだ。私は早く管理会社へ伝えておけば良かったと思ったが、もう退去時。この経験は次の機会でもいいが、このnoteで綴って誰かの役に立てばいい。この失敗で誰かが学んでくれればいいと、そう思う。