3月11日14時46分18秒

その時僕は、長い廊下を歩いていた
どこまでも続く長い廊下を

初め僕は気付かなかった
余りにもゆっくりそれは動いていたから

『あれ?何か歩き辛いな…揺れてるのか?』

結構大きな…
高さというより長さのあるその建物は
やや大きめな『船』の様に揺れていた

『え?…これってもしかして地震なのか?』

ゆったりした違和感の横揺れは
かなり長い時間続いていた

僕は某有名子役、恐らく国民の殆どが知っている彼女が、まだ幼稚園児だった時の撮影で『長野』のロケ現場にいた

後輩に現場を任せ、トイレに行こうとしていたのだ

当たり前だが、怖くはなく
現場の上の階の為、スゴく静かな中で
違和感だけに包まれた

用を足し、現場には戻らず、昼食休憩でお借りしていた食堂に向かった

そこではテレビが付けられ、ニュース速報が流されていて、やっとコトの大きさに気が付いた

長野はまだ平和だった…その時は…

ロケを終え東京に帰り、僕の日常は忙しく普通に過ぎて行くんだろうなと思った…その直後

長野が揺れた

僕は全く被災しなかった
しかし、それなのに…
震災の影響は僕の心を蝕んでいった

そして、長年携わっていた仕事を辞める事になる

それぞれの311

皆さんも思い出している事でしょう

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