★読書愛好会(51)

弁護士事務所には所長含め五人の弁護士がいます。

交通事故の示談が得意な人、金銭面のトラブル解決が得意な人など、それぞれ役割分担があるようです。

僕は週二回ぐらい出勤しています。仕事は電話対応、コンビニに行って先生たちの弁当を買う、裁判所に書類を届ける、事務所の掃除、来客者にお茶を出す、など、雑用係ですね。

もう一人パートの女性がいますが主婦であり幼い子供がいるため週何回か出勤できない日があります。そのため僕が採用されたのです。事務所の先生たちはたいへん忙しく、夜遅くまで働いているようです。

事務所に相談に来る人は老若男女さまざまで、相談内容も多岐にわたります。旦那さんに浮気された、友人にお金を貸したが返ってこない、従業員を解雇したら訴えられた、親が死んだら見知らぬ人から親の借金を返済するよう求められた、など。子供に一切財産を残したくないという老人もいます。

僕はこの先、弁護士に何かを依頼することがあるだろうか。今は全く思いつきませんね。父に聞いたところ、商品の代金をなかなか払わない工場に対して弁護士を使い債権回収したことが何度かあったそうです。

世の中、話し合いによりすべてが円満に解決できればそれが一番良いと思いますがあくまでそれは理想かもしれませんね。最近は「SNSで誹謗中傷された、相手を訴えたい」という相談もあるそうです。

所長は50代前半で早稲田大学の法学部在学中に司法試験に合格し、大学卒業後、すぐに独立したそうです。開成高校出身。典型的なエリートでしょうね。

仕事は楽しいですか?と聞いたら、裁判でなかなか決着が付かない時はどうやって相手に勝つか朝から晩まで考えるのでしょっちゅう頭の中でマラソンをやっているようなものだ。それなりに体力が必要だしストレスも溜まる。しかし勝訴して依頼人に感謝された時は本当にうれしいと語っていました。

農耕が主体の時代は土地の広さ、雇える使用人の数がその人に莫大な富をもたらした。しかし、高度情報化社会においては必ずしも使用人の数が富をもたらすとは限らない、たくさんの知恵と知識がその人に富をもたらす。リュウ君もたくさん勉強して物心両面で豊かな生活を送って欲しいと先生は述べていました。

ちなみに先生は二回離婚して今は事務所の近くで独り暮らし、毎日コンビニ弁当です。この先生は物心両面で豊かなのだろうか?と考えましたが、まあ、人それぞれですよね。

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