自分で、あじわう
じゃまするな
ぼくはじぶんで たべられる
顔中で味わう 離乳食かな
息子・おもちくんは、経管栄養児である。
それはつまり、鼻から胃や腸(おもちくんの場合空腸)まで入った細いチューブを介してミルクや栄養剤を入れているため、必要十分な栄養分は自動的に取れている、ということである。
そして、母は本業の傍ら、食生活指導士1級まで取ってしまうほどの食い意地である。いや、産業医活動で使えるなと思ったところもあるが、女子栄養大学のレシピカードが正確かつ美味しすぎて栄養の計算まで勉強しちゃったのである、趣味で。
何をうだうだ言っているかと思われるかもしれないが、おもちくんにも楽しんでほしいのだ、食べることを。
もちろん、いろいろな理由で口から食べられない方がいるし、またおもちくんが将来的に口からものを食べるようになるかも今わからないが、使える機能をしっかり育てよう、食べることの楽しさを知ってもらおうと思い、毎日離乳食を与えている。
そしてその日もいつも通りスプーンでヨーグルトを与えようとしたのだが、おもちくん、すっと私の手からスプーンを奪い、不器用にフラフラしながらも、ガジガジとスプーンを噛み始めた。
そして、顔中ヨーグルト塗れにして、満足そうにこちらを見た。
私、にやり。
おもち、にやり。
そうそう、スプーンは、楽しいもの。
おもちくんを抱っこしている私もヨーグルト塗れになりながら、にやりにやりと笑い合う昼下がりであった。
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