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The Aces – The Aces And Their Guests (1975)

 ブルース史上もっとも有名なバックバンドThe Acesは、本作録音の前年にRobert Jr. Lockwoodとともに来日し、名盤『Blues Live!』を残している。はるか極東のコンサートホールで、演者より観客のほうがむしろ緊張していたようにさえ思えた録音だったが、この『The Aces And Their Guests』では打って変わって地元シカゴのクラブ「マ・ビーズ」においてラフでリラックスしたライブを繰り広げる。会場を包む雰囲気は全く対照的だ。
 Bobby King、Joe Carter、Johnny Drummer(畏れ多くもJohnny Guitarをもじった芸名だ)といったブルースマンをゲストに有名曲を連発する。これらはブルースがダンスミュージックとしての役割をしっかりと果たしていた時代の貴重な記録であり、Marcelle MorgantiniがJimmy Dawkinsとともに、シカゴの文化を後世に残そうと心血を注いだその結晶でもあった。
 The AcesはElmore Jamesの曲を得意としていた。「Worried About My Baby」はおなじみの3連リフとCarterのソウルに満ちたボーカルが心身に染み渡り、通好みのインスト「Bobby's Rock」へと続く。「Sweet Home Chicago」は再発盤に収録された。Robert Johnsonによるこのブルースの古典は、60年代後半にMagic Samによって決定版というべきバージョンが歌われており、Drummerのボーカルもそれに則っている。Fred Belowのドラムも『Blues Live!』の演奏と比べると飛びはねるように軽やかだ。
 ライブこそがThe Acesの真骨頂である。かつてヴォーグ・レーベルから発表されたスタジオ作の再発は滞りがちだが、彼らのライブ作品はシカゴ・ブルースの良心として聴き継がれている。