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がんのすべて

がん①

登場人物

 こんにちは、CLAP株式会社の代表医師 Dr.カワディこと 川田悠です。

 前回は肺がんのお話をさせて頂きましたが、今回は日本人の半分弱の方が罹患するがんに焦点を当て、「そもそもがんとは一体何なのか?」をテーマに、ご紹介していきます。

 この内容はYouTube「Dr.カワディのYouTube病院」にてご紹介しておりますので、あわせて動画でもご確認下さい。

1.がんの基礎知識

がんとは何か

 一口に「がん」と言っても、たくさん種類がありますが、「どういったものががんなのか」というのは皆さまご存じないと思います。

前回の医療辞典でもお伝えしましたが、日本では年間130万人が亡くなりますが、その死因の第1位はがんであることをお話ししました。

年間130万人のうち、約3割の37~38万人ががんで亡くなっており、1日に換算するとおよそ1,000人が、がんで亡くなります。

そもそも、生涯でがんにかかる確率については、男性60%、女性はそれよりも少し下がり45%の方が、死ぬまでに一度はなんらかのがんにかかるので、そのように考えると、意外と身近な病気といえます。

2.なぜがんが発生するのか?

 それでは、なぜがんが発生するのか。その理由をものすごく平たく言うと、

がんの発生メカニズム


 遺伝子の異常です。

 例えば、皮膚が古くなって垢としてポロっと取れ、そのうち皮膚が再生するように、絶えず細胞の入れ替わりが起こっているのですが、そのとき何もないところから新しい細胞は生まれてきません。

 それまでの遺伝子情報をコピーして新しい細胞が誕生するというのが基本になるのですが、例えば、肺がんでいうと、途中でたばこの煙にある発がん物質にやられたあとで、今までの遺伝子情報が傷つけられてしまい、誤ったコピーをしてしまう。そうすると、誤った新しい細胞が誕生するというわけです。

 例えば、FAXでいえば、正しくセットすれば正しく出力されますが、紙にシワが生じてしまったり、髪の毛やほこりが混じってしまったりすると、間違った情報が出てきてしまいます。

 つまり、間違ったコピーが行われてしまうのが、がんの遺伝子変異です。


3.がんの3つの特徴

 本来、細胞は必要な分しかコピーされないのですが、一度がんの遺伝子変異が生じると起こる、がんの大きな特徴の一つはこれです。

自律性増殖能

 自律性増殖能という言葉ですが、簡単にいうと、コピーをひたすらやり続けてしまう特徴をもっています。

 遺伝子が傷ついてしまう(=がん化)と、コピーをした後に、無限に誤った情報がたくさん出てきてしまうのです。

 ブレーキとアクセルが暴走してしまって、ずっとアクセルがフル回転の状態になってしまうので、もともと小さかったものが大きく育っていきます。

 この自律性増殖をしてしまうのが腫瘍の特徴ですが、この腫瘍には良性と悪性があり、悪性腫瘍のことを一般的にがんといいます。良性の方が一般的には育つスピードが遅く、悪性の方がはるかに速いのです。

浸潤・転移

 2つ目の特徴は浸潤・転移です。

 これはただ単に大きくなるだけではなく、周りの臓器に浸み込む「浸潤」が起こったり、付近の血管などにがん細胞が流れ出て、全身を旅して、どこかに転移を起こしたりするという特徴があります。

悪液質

 最後に悪液質というのですが、がんは最終的に周りの血管などを取り込んで、本来、身体が活動するために必要なエネルギーを奪っていってしまうのです。

 例えば、がん細胞が大きくなり、がんで身体が侵されてしまった方は痩せている状態をイメージするかと思いますが、これはがんの成長にエネルギーが奪われているのが原因で、これを悪液質といいます。

 以上、3つの特徴を持つのが悪性腫瘍、いわゆるがんになるのです。


4.「悪性腫瘍=がんではない?」

上皮性腫瘍

 細かい話になりますが、がんは上皮性腫瘍という言い方をするのですが、この「上皮性」というのは基本的には表面のお話です。そこのできた腫瘍のことをがんといいます。

 同じ悪性腫瘍でも、骨や筋肉にできるものはがんとは言わずに「骨肉腫」、血液のがんは「白血病」や「リンパ腫」と呼びます。正確にはわざわざ「血液のがん」と言い直すくらいなので、いわゆるがんとは違います。

 上皮というのは表面の細胞のイメージで、例えば胃の粘膜の表面→胃がん、口の粘膜の表面→口腔ガン、皮膚の表面→皮膚がんなど、そういった上皮性腫瘍のことをがんといいます。


5.がんの予防策は?

 皆さんが気になるのは、がんにならないようにするためにはどうすればよいのかという点かと思いますが、実はデータがいくつか出ています。

 そもそもがんの成り立ちは、


①理由がある
②運が悪かった


大きく2種類に分けられるのですが、運に関しては、現在の医学では限界があります。

 しかし原因があるのであればそれを予防出来ればリスクを減らすことが可能です。

生活習慣の見直し

 まずは、生活習慣を見直しましょう。

 男性のがんのうち5割、女性は3割が生活習慣の影響でがんに罹患するといわれています。

 この割合を削れるのであれば削りましょう。それがいわゆるがんの予防です。

 では、その生活習慣とは具体的に何かというと、下記6点になります。

具体的な生活習慣


 上記を意識するだけでがん予防になりますが、特にその中でも、たばこが要注意です。

 たばこというと、肺がんをイメージすると思いますが、実はあの煙の中に約70種類の発がん物質が含まれています。

 煙を吸い込むので、肺だけではなく、通り道である口(→口腔ガン)や喉(→喉頭がん)、食道(→食道がん)、胃(→胃がん)にもなりやすいですし、もう少し下部へ行くと、すい臓(→すい臓がん)、肝臓(→肝臓がん)、子宮(→子宮頸がん)もたばこによってリスクが上昇するということが明らかになっています。

 ちなみに、男性の癌の約30%がタバコによる罹患で、たばこを止めればがんになる確率を減らせるので、一番の対策は禁煙といえるでしょう。

 一方、女性の場合は、約20%が感染による罹患が1位を占めるのですが、男性ほどたばこの占める割合が多くないのが特徴です。

 感染というと、ピロリ菌で胃がんになる、ヒトパピローマウイルスで子宮頸がんになるといった例が挙げられますが、こちらが第1位となっています。

 ですので、ピロリ除菌やヒトパピローマウイルスワクチンを打つのが、がん予防の観点からだと、効果的であるといわれています。

がんの予防策まとめ

 「〇〇さえ食べればがん知らず」「〇〇をすれば大丈夫」ということではなくて、分かっている原因を正しく理解して、そこを予防しようとする心がけで減らせるものは減らしましょう。

 運の部分に関しては、今の時点ではそのままになりますが、その点を意識するだけでもかなり効果があると思います。

早期発見・早期治療

 がんは放っておくと、どんどん大きくなっていきますが、大きくなって症状が出てからでは手遅れになることも多いので、症状が出る前に検診を受けて、早めに見つける、早めに治療することが大事なことになってくるでしょう。

6.まとめ

・がんは原因別死亡数で最も多く、年間37~38万人の日本人が死亡する
→男性60%、女性45%ががんに罹患するので、非常に身近な病気
・がんは勝手に増殖していくだけでなく浸潤・転移や身体必要なエネルギーを奪ってしまう
・具体的な予防にはまず生活習慣の改善を
・男性は禁煙、女性は感染症対策をすることで罹患予防に貢献も
・症状が出る前から早期発見・早期治療することが重要

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