ミノキシジル外用液の濃度は、濃すぎてもダメ?

毛髪ネタです。お付き合いください。

ミノキシジル外用液は、1%とか2%とか5%とか濃度の異なる製品がたくさんありますが、どの辺の濃度が最適なのでしょう。この問いに答えてくれそうな論文を紹介します。2019年にJournal of Dermatological Treatmentに掲載された文献です。

Ghonemy S, Alarawi A, Bessar H. ”Efficacy and safety of a new 10% topical minoxidil versus 5% topical minoxidil and placebo in the treatment of male androgenetic alopecia: a trichoscopic evaluation." J Dermatolog Treat. 2019 Oct 21:1-6. doi: 10.1080/09546634.2019.1654070. [Epub ahead of print]

【概要】男性型脱毛症(AGA)に対する治療として、FDAが2%ミノキシジルと5%ミノキシジルを認可している。これまでの文献は、2% vs 5%ミノキシジルの比較研究のみである。現在2-12.5%が使用可能であるが、10% vs 5%外用ミノキシジルとを比較するのは本研究が初めてだと考えられる。

【目的】AGA治療における、5%外用および10%外用ミノキシジルおよびプラセボの有効性及び安全性を比較する。

【方法】エジプトで行われた36週間のプラセボ対照二重盲検ランダム化比較試験。AGA90人が被験者。第1グループは5%外用ミノキシジルを、第2グループは10%外用ミノキシジルを、第3グループはプラセボ薬を投与した。有効性は臨床的および毛髪検査で評価した。

【結果】治療後36週での結果は以下の通り;
5%外用ミノキシジル(0.47 ± 0.26) (0.59 ± 0.64)
10%外用ミノキシジル(0.05 ± 0.13) (0.45 ± 0.74)
プラセボ薬(0.01 ± 0.05) (–0.03 ± 0.08)
5%外用は10%外用ミノキシジルとプラセボ薬に比して、頭頂部及び前頭部の毛髪平均数のベースラインからの変化が、有意に上回っていた。
5%外用ミノキシジルの患者はpull test(髪を引っ張る検査)で陰性だった。
3つのグループでは性機能障害の出現はなかった。

【考察・結論】5%外用ミノキシジルは、10%外用ミノキシジルとプラセボ薬に比して、毛髪再成長を増加するという点で、予想に反して優れていた。刺激性は10%外用ミノキシジルで顕著だった。10%外用ミノキシジル使用後の心理社会的ストレスは、5%外用ミノキシジル使用に比して、治療に対する高い期待と比較して髪の脱落や刺激性によって悪化した。

【コメント】本文は手に入れていないためアブストラクトだけしか読んでいません。でも、アブストラクトだけでもかなりインパクトがあります。有効性があまり変わらず安全性が劣るのであれば、高濃度である必要はありませんね。

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