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誰が取材するかで取材内容って変わることに気づいた話、「人工知能の核心」を読んで

今回は将棋棋士の羽生さんが書いた本についてです。

この本の内容


この本は、5年くらい前に放送された人工知能についてのNHKスペシャルをもとにした本です。番組を通して、羽生さんが得た人工知能についての知見とNHKのスタッフが書いた番組の裏側についての2つの内容からなります。

羽生さんが、フレーム問題、中国語の部屋など専門的な用語を交え、人工知能について解説していて、なかなか読み応えあります。取材を通して深い知識とそこから自らの頭で考えた考察を披露しています。読んでて人工知能についてなるほどと思わされます。

この本が出版された時代


この本のもとになるNHKスペシャルが放送されたのが2016年なんですが、その前年の2015年は、ディープ・マインド社のアルファ碁が当時囲碁界の第一人者のイ・セドル氏を負かし、世界に衝撃を与えた年です。

それだけではなく、当時将棋界では電王戦という棋士と人工知能が対戦するイベントが行われていて、棋士が人工知能にはかなわないようになってきた時代でした。これから人工知能はどこまでいくのか、人工知能によって人間は支配されるんじゃないか、仕事も奪われるんじゃないかと言われた時代ですね。

将棋界もそんな話があって、人工知能に負けたら棋士の仕事はなくなるみたいな雰囲気がまん延してました。電王戦のとき、対戦した棋士が負けたときはお通夜みたいだったことを覚えてます。まあ、僕は人間は間違えることに価値があると思っていて、そんなことはないでしょうと思ってましたけどね。有利になったほうがそのまま間違えずに勝つなんて面白くないよなと思ってました。

そんな時代、羽生さんは人工知能の進化に対しては、かなり中立、冷静に捉えていて、いい面はいい、悪い面は悪いと断じていてさすがだなと感じさせられます。人工知能を信じすぎてはいけないと書かれています。

取材者が寄ってくる

番組を見ていて驚いたのが、取材者が羽生さんだったことがあって、取材対象者がよってくるんですね。特に、ディープマインド社のデミス・ハサビス氏。先程も触れたディープマインド社にも取材に行ってるんですが、CEOのデミス・ハサビスさんが羽生さんのファンだとかでにこやかに寄ってくるんです。そして、二人でチェスを対局し、その後取材に応じてくれます。

それ以外にも、ソフトバンクにpepperの取材に行くと、孫正義さんが対応してくれたりもしています。このあたりは番組にも取り上げられていて、お二人とも羽生さんと話していて楽しそうなところが印象的です。羽生さんが取材者でなければこんな事にはならなかっだろうということをスタッフも書いています。

誰が取材者になるかによって、取材内容も変わるんだなと感じました。

タイトル戦の最中に2週間の海外ロケ

この取材は2016年の頭頃で、この頃って羽生さんは実は王将戦というタイトル戦の最中だったんです。2日制のタイトル戦で1月から3月の間、全国各地を転戦していくものです。

タイトル戦の最中に、一日二日の取材なら分かりますけど、なんと二週間の海外ロケ、本当に驚きでした。タイトル戦といえば、棋士であればすべてをかけて戦うべきと思っている人が多いので、他の棋士ではこんなことは考えられないと思います。こんな姿勢だからこそ多くのタイトルをとれたともいえるのかなと。あらためてすごいなと感じました。

今回は「人工知能の核心」の本の紹介でした〜NHKスペシャルもNHKオンデマンドで配信されてます。おすすめですよ!

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