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IT業界の「ごみ収集車」として生きたい

前回のnoteでガラにもないことを書いたせいでしょうか。予想外の反響をいただきまして、嬉しい限りです。

そんな前回は、ドヴァが「エンジニアファースト」を掲げる理由をお伝えしました。

その上で、ドヴァはこの世の中でどのような存在でありたいのか。今回はこの部分について、私たちの思いをお話ししたいと思います。

IT業界の「ごみ収集車」になりたい

ドヴァはこれまでに数多くの顧客をサポートさせていただきましたが、それはまだ日本企業全体の数パーセントに過ぎないかもしれません。ただ、それでも創業以来、培ってきたのは、「誰もやりたがらない仕事を引き受ける」ことで、社会の皆さまの役に立とうとしている点です。

ドヴァは、世のため、人のためにという信念を持って、ICTサポートを事業の柱としてきました。IT業界の案件の中でも、他社がやりたがらない、かつ、廃れない領域を常に見つけて、そこで顧客をサポートしていこうというのが、創業時からの変わらぬ方針です。

私はドヴァの存在をIT業界の「ごみ収集車」だと思っています。人間の生活において「なくならないゴミ」を収集してくださる「ごみ収集車」は絶対に必要です。ただ、それを誰もが積極的にやろうとはしませんよね。他人任せにしたいと思う仕事かもしれません。しかし、そこで働く人は、社会のためにそれを引き受けてくれているのです。台風が来ようとも、新型コロナウイルスがまん延しようとも、真摯に仕事をこなしています。だからこそ、私たちは毎日快適に生活できているのです。

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ドヴァもそうあるべきだと思いました。企業にとってITシステムはなくてはならないものです。ただ、そのためのわずらわしい仕事は山ほどあります。さらに、作り上げたシステムを運用したり、トラブルがあればすぐに保守対応したりするのも苦労が伴います。誰もがやりたがる仕事ではないですが、それを担う人がいなくては、多くの企業は困ります

あるエピソードがあります。創業から数年経ったころ、新入社員へのメッセージでこんなことを伝えました。

「われわれはICTサポートの会社です。ですが、いずれロボットがメインで働く世の中になるかもしれない。そうしたら自分たちの仕事がなくなるのではないかと思う人もいるでしょう。でも、たとえロボットが人間の仕事をやってくれる世の中になったとしても、僕らはそのロボットのお守りをする立場でやっていこう!」

私たちはそういう存在でありたいと思っていたら、今ではソフトウェアのロボットを作る組織になっていたのです(笑)。

誰もが社会の中で生きている

最後に、なぜ世の役に立ちたいと思うのかについてお話しします。

理由はシンプルで、ほぼすべての人間は、一人では生きていけないからです。これに気付いたのは、個人的な体験に基づきます。

やんちゃだった私は10代のころ、母親に対して「自分一人で生きてやる」と言い放ちました。それに対する母の言葉は忘れもしません。

「だったらお前は電気もガス、水道も使うな。すべては人の手によって生み出された社会インフラで、社会にいるから得られるものだ。当然お金なんか使うな。ましてや洋服なんて着るなよ。生産者によって作られたものだぞ。一人で生きていくなら山奥でも暮らして、雨水をこすか、川の水を飲め。火を起こしたくなってもライターなどを使うなよ。包丁だって石でも削って自作しろよ」

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やんちゃではありましたが、矛盾が嫌いな私は、悔しいかな、ぐうの音も出ませんでした。何もできない無力な自分には実現不可能だからです。いくら口では偉そうなことを言っても、自分は何も社会の役に立っていないことを痛感しました。そして、人間は社会の中で生かされていることを再定義させられました

だったら自分も社会に必要とされる存在になろう。そう誓いました。では、一体何が世の中の人たちに喜ばれるだろうか。それを知るために、とにかく会う人、会う人に困りごとを聞き回りました。その中で、企業の経営者の方々や、大学の研究者の方々などから出てきたキーワードが「電子化」「ネットワーク化」でした。これらがさまざまな問題を解決できると知り、このテーマに沿った領域で事業を立ち上げることを決めました。

面倒な仕事は全部引き受けよう

当時、米マイクロソフトのOS「Windows95」によってクライアントPCは広く普及していましたが、ネットワークでつながれた先にあるサーバ環境はUNIX(主に米サン・マイクロシステムズが多かったです)の独壇場でした。これは日本社会の電子化の弊害だと感じていろいろと調べていくと、オープンソースOS「FreeBSD」に行き着きました。そこで、これを軸にしたサービスから始めました。

また、一緒に会社を設立したのが、現在も取締役を務めているエンジニアでした。エンジニアリングスキルは到底敵いませんでしたが、当時の彼は一日動くと一日寝るような人でした(笑)。でも、彼が生き生きと働いて、好きなことを研究開発できるように、面倒な仕事は私が全部引き受けることにしました。これがエンジニアファーストの起点となっています。

それから24年。基本姿勢を変えることなく、エンジニアが極力働きやすい環境を作ってきたつもりです。そして、多くのエンジニアが楽しく仕事をしている姿を見たり、「今までの環境とはいい意味で違います。ただ会社にいるだけでも相当鍛えられます!」といった声を聞いたりすると、「やってきたことは間違いではなかったのかな?」と改めて確信しています。

(文:株式会社ドヴァ代表・土橋整)

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